いまさら真面目に読む『美味しんぼ』各話感想 第32話「うどんの腰」
「初期の『美味しんぼ』からしか得られない栄養素がある…そんなSNSの噂を検証するべく、特派員(私)はジャングルへ向かった…
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■ あらすじ
今回の栄養素:パワーがあればなんでもできる
両国に相撲観戦に来た東西新聞文化部一行、谷村部長がマス席のチケットをプレゼントしてくれたそうだが、手に入るのは役得なんだろうなあ。観戦の帰りに、山岡おすすめのうどん屋でちょっと食べていこうという話になって訪れたところは、なんだか煤けて寂れている。おまけに「いらっしゃいまし……」といって出てきた親方は元気もないし、痩せこけて、これまた人間として煤けている。山岡はこんな事になっているとは知らずに案内したのだが、不穏なものを感じる。しかし味は抜群だ!
親方がうどんの秘訣として教えてくれたのが足でうどん玉を十分に踏みこむこと。今ならそう珍しくないものだが、当時としては相当物珍しかっただろう。というか、うどん屋がどうやってうどん捏ねてるかなんて殆どのひとが知らなかったはず。(やっぱ『美味しんぼ』って日本の食リテラシーを大きく向上させたよなあ…)
親方が足で踏み込み、打ったうどんの味はやはり格別だった。変わらず美味しいうどんを出しているのに、なんでこんなに寂れちゃったんだ??というと、最近近所に暴力の事務所が出来て、そこの若い者が出入りするようになってしまって客足が遠のいたからのようだ。暴対法ー!暴対法ー!はやく成立してくれー!(*暴対法成立は1991年のこと)
折り悪く、その事務所のヤーの者が来店して、もうやりたい放題。文化部女性陣に絡んで、酌をしろとかいうし昭和ってやっぱり修羅の国…
山岡が一味唐辛子を目潰しに使ってヤーの者をひるませ、その場から脱することに成功するも、旧知のうどん屋がそんな窮状に立たされているとあって、山岡は浮かない顔だ。
どうにかならないもんか…と、窮地を脱した文化部一行ととぼとぼ夜の街を歩いていると、相撲取りが橋から身投げしようとしている!なんだ今日のレアモン遭遇率は!助けようと駆け寄る山岡だが、相撲取りのフィジカルに負けて山岡だけ橋から川へとダイブ。そりゃないぜお相撲さんよぅ… まあ山岡が必死で体を張ったので今日のところは身投げを思いとどまってくれたようだ。相撲取りは実力主義の世界、彼は来た後輩にどんどん追い抜かれ、ずっとちゃんこ番をやらされて腐ってしまったようだ。まあそれにしたって生きようはあるだろうに、山岡がいなかったらほんとに終わってたぞ。
日を改めて、相撲取りが東西新聞社に先日のお詫びのため山岡を訪ねると、谷村部長のところには元柔道選手、スポーツ部の部長のもとには元プロレスラーがそれぞれ廃業の報告に来ており、偶然3人の大男が出会ってしまった。これが運命の始まりだった。
3人とも怪我や力不足で競技生命を終わらせることとなり、将来の不安に苛まれていたところ、山岡が一計を案じ「身を粉にして働くなら仕事の口があるんだけどな…」と持ちかける。3人は「なんでもやります!」と即答。そう、仕事の口とは両国のあのうどん屋だったのだ。
さて、うどん屋では今日も今日とてヤーの者がとぐろを巻いている。底に出てきたのが大男三人衆だ。
バチコリとヤーの者を叩き出すことに成功する。
3人は腕っぷしだけではなく、「この道しかない」と一意専心にうどん道を邁進した結果、しっかりとうどんの腕も上がっていく。相撲取りはちゃんこ番としての経験を活かして、「チャンコうどん」という鍋物を開発し、これがスマッシュヒット。他2人も外から様子が見える麺打ち場でうどんを打ち、腕前とそのパフォーマンス性もあいまってお客で賑わう姿が復活した。
親方は「あいつらをはやく一人前にして、暖簾分けをしてやらなきゃ」と意気込み、往時の活力を取り戻す。山岡の機転で3人の男の運命の歯車が噛み合い、人生救われたお話でした。
◆ 実はここにもう一人、ヤーの者がいます
本来ならお前さんもお天道様の下を歩ける身分と違うんじゃあないかい?天下の東西新聞社にヤーの者が…?一体、どこの◯畑さんが…?
これはもう少し後の話で明らかになる。
特に考察することもない、ふつうにスカッと良い話なので今回はここまで!お読みいただきありがとうございます。これからもぼつぼつ続けていきます。
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私の本業は観光促進、移動交通におけるバリアフリーを目的とする組織のイチ職員で、食い物のことに関しては偉そうに話せる立場にないんです。
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