#198 なぜ、考えたのに言葉が出てこない
「ハイっ!ハイっ!」
「〇〇さん。」
「ハイっ!・・・・忘れました。」
教室での定番の場面だろう。低学年でよく見られるので、微笑ましい場面でもある。お笑いでも使われるくらいだから、誰もが経験したか、見たことがあるだろう。
さて、なぜこんなことが起こるのだろう。
目立ちたいがために、考えもナシに手を挙げたのだろうか。いやいや、その予想はあまりにも子どもに失礼だ。確かに、みんなが手を挙げているのを見て、後から手を挙げる子はいる。そうではなく、先生の問いに対して、考えた上で手を挙げた=考えた、のにも関わらず答えられないことが起こってしまう。
実は、同じことが高学年になっても起こっている。
考える時間を取る、子ども自身も「よし、考えたな」と思う。しかし、実際に考えを発表す場面になると、言葉が出てこない。あれだけ考えたはずなのに、ちゃんと発表できると思ったのに、と思う。
こうした「悩み」をもっている子は多い。もしかしたら、大人でも多いのではないかと思っている。
こうした状況に陥る理由が、3つ分かった。(子どもに直接聞くことで分かることがあるんですね。)
① 考えが進んでいくと、最初に考えたことを忘れてしまう
② 頭がいっぱいになったことを、よく考えたと誤解してしまう。
③ 考えにまとまりやつながりがなく、考え散らかしていることに気付いていない。
こう整理すると、子どもたちの姿に理由が分かる。低学年は①が多いのだろう。学年が進むにつれ、②③が増えてくる。
原因が分かれば、手が打てる。
僕が主に行っていることは「書く」ことだ。
・書き出すメリットはいくつかある。考えたことを覚えておく必要がなくなり、「忘れました。」ということがなくなる。(①)
・頭の中の考えを書き出し、目に見える形にすることで、どれだけ自分が考えているかを把握することができるようになる。(②)
・頭の中を客観的に見ることができるため、自分の考えがいかに筋道だってなく断片的であるかにも気づくことができる。(③)
子どもの姿を微笑ましく肯定的に受け止めることは大事だ。しかし、そこに立ち止まっているわけにはいかない。子どもの姿には理由がある。その理由を探るのも、教師のおもしろさだと思う。