#276 正しくても子どもは動かない
人は正しいから動くわけではない
子どもに限らず、人は正しいから動くわけではないですよね。
皆さんも身に覚えがありませんか?
今日は叱らないと決めたのに、叱ってしまう・・・
テストはすぎに丸付けして返すのが大事だが、貯めてしまう・・・
バランスの良い食事が望ましいが、食べたいものを食べてしまう・・・
僕はそれなりに本を読むので、正しいこと(ロジック)は知っているつもりですが、なかなか全て行動できているわけではありません。
心が動くと、身体が動く
では、どんな時に人は動くのでしょうか。
僕が子どもたちに話す時に大事にしているのが、心が揺さぶられることです。子どもたちは正しさは分かってくれますが、どこか他人事のように受け止めます。そこで、心を揺さぶる必要があります。
心が揺さぶられると動き出すのです。
心揺さぶる事例を入れよう
「どうして(望ましい行動を)やらないんだろう?」
「どうして(望ましくない行動を)やってしまうんだろう。」
こんな疑問をもったことがある方は黄色信号です。論理的に正しいことを伝えれば、子どもは動くと考えているのかもしれません。自分がそうでも、相手も同じとは限りません。人が動くのは、ロジックも気持ちも、両方がそろった時です。
そこで、効果的なのが事実・事例を使うことです。
「先生のクラスに、すごく声の小さな子がいたんだ。その子の目標は卒業式で大きな声で返事をすることだった。その子に相談されて、二人でまずは授業にあいさつから取り組んでみることにした。なかなか変化は見られなかったけど、確かに毎時間ちゃんとやっていた。3か月が過ぎた頃、先生は学級にみんなに聞いてみたんだ。『授業のあいさつのことで、何か気が付いたことがある人いるかな?』って。そしたら、ある男の子が『○○さんの声が最近大きくなったと思う。』って言ったんだよ。その時の○○さんの、うれしさ半分、恥ずかしさん半分の表情が忘れられないなあ。~~~~。」
これは私の学級で起きた事例です。
「あいさつ、返事が大事。なぜなら、~~~。」と正しさだけの話は短く済ませ、前述のような事例を合わせて話します。
すると、子どもたちの態度が変わってきます。前のめりになる子、目が生き生きとしていくる子など。きっと、「もしかしたら自分も○○さんのようになれるかも。」と良いイメージを想像することができたのだと思います。
相手に寄り添う
自分の感覚ではなく、その子がどうしたら動くのか、常に相手を見る、相手に寄り添うことが大事です。学級全体への話でも、「今日はAさんには絶対伝えたい!」とターゲットを決めます。その子に寄り添い、その子の心が揺さぶられるような事例を用意して話します。
仕事の特性上、どうしても先生は正しいことを話すことが多いと思います。でも、子どもたちはそんなことは知っています。子どもによっては何度も同じ話を聞いています。そこで、その子に寄り添う、その子だけの事例を用意して話すんです。すると、きっと子どもたちは動きだしてくれるはずです。