パシフィックの、2023年を振り返ろう。
はじめに
早いもので2023年も残すところ数日となりました。
頭の中の記憶を辿るだけでも、実に情報量の多い1年だったなと。漠然とした記憶に留めておくと風化してしまいそうなので、今年も振り返り記事を書くことにしました。
ちなみに、2022年の振り返り記事の最後に
"2023年もパシフィックはパシフィックらしく過ごしていこうと思います。
「海を越え、山を越え、ビールと旅するブルワリー」結局、この言葉に集約できそうだ。"
というフレーズがあります。まさにその言葉の通り、パシフィックらしさにあふれる1年だったと思います。大長編で退屈な内容になるかもしれませんが、マイクロブルワリーのリアルを感じられるような記事になればいいなと。暇潰しに的に読んでいただければ幸いです。
昨年のまとめ↓
1月
今年も最初のリリースはYero。ユズを使ったWallonian Pilsというスタイルで、新年の風物詩的なビールになってきたのかなと。この時期は柑橘がシーズンになるので、みかんを使ったKajyuの仕込みも行いました。良くも悪くも、麦とホップからは季節を感じ辛いのでこうして旬のものを使ってビールを仕込めることはとても嬉しく思います。
1月中頃にはChili Contestに出店!2022年はコロナの影響で中止になってしまったので念願の開催でもありました。このイベントはビールの提供だけでなく、各ブルワリーや飲食店によるオリジナルのチリを提供してその味を競うというユニークなもの。僕らは料理人不在の素人チーム。試行錯誤の結果、Peppers.jpが栽培するチポトレやフレッシュな唐辛子をふんだんに使ったチリを作りましたが、"辛すぎる!"という意見多数。どうやら僕らは辛党のようです。せっかくなのでこれに合わせて、チポトレを使ったスタウト"Popopica"をつくったり、オリジナルのホットソースをつくったりと目一杯楽しみながらの出店となりました。2024年は1/20(土)に開催予定。次こそ優勝するぞ!と今から意気込んでおります。
郡山でブルワリー"Pironoを"開業準備中のぴろ君と、施工を担当するコウヘイさんが工場の施工準備の一貫でパシフィックに遊びに来てくれました。Pironoは12月現在、搬入に向けた工事の真っ最中。1月はまだ、物件にも手をつけてなかったんだななんて、この写真を見て思いました。ブルワリーをつくるのって本当に時間も労力も(お金も)かかるのですが、みんないくつもの困難を乗り越えながら前に進んでいく様子には僕らも勇気づけられます。
1月の末には湯河原の貸し別荘を会場にブルワー新年会を開催。元々都内の飲食店で行う予定でしたが、気づけば温泉付きの別荘を予約していました。せっかくなので、「餐」の原くんに出張料理人をやってもらったり、ビールサーバーを持ち込んで各社のビールをしこたま飲んだりとさながら職権乱用パーティー(合法)の様子でした。9割くらいはくだらない会話ではあるのですが、そういう中にも新しいビールのヒントがあったり、頼れる仲間の存在を感じられるという意味でもとても大切な機会だったかなと思います。
2月
2月は野沢温泉でスキーからスタート。野沢温泉といえばAJB Brewingがありますが、なんとMikkellerがポップアップレストラン"Schuss!"をオープン。日影ゲレンデ内にあるので、スキー靴を履いたままビールが飲めたりバーガーが食べれたりしちゃうのです。スキーとビールの相性って最高なんですよね。味をしめて今シーズンは2度も行きました。引き続き今年もオープンするみたいなので、いつ行こうかと今から楽しみにしています。
そして、高井戸にはreverbがオープンし、そのパーティーに参加してきました。これは千歳烏山のNovel Craftの姉妹店。しかもブルワリー併設!この頃はまだ空っぽの部屋でしたがいよいよ設備も搬入されたようです。長年、鋭いラインナップでビールを提供してきた芦名さんがどんなビールをつくるのだろうととてもわくわくしています。
ブルワリーの日常を語るPodcast「パシフィック通信」も始めました。SNSでは商品の紹介や告知ばかりになってしまうので、もう少し日常のことを話せたら、と。忙しいことを言い訳にこのところ更新できていないのですが、そろそろ再開しようと思っているのでしばしお待ちください。
「浅草橋ヤング洋品展」の出店も!会場を日本橋に移し内容もパワーアップしての開催。今回はフードの提供も可能だったので茅ヶ崎が誇る"カナリヤ"と一緒に出店できたのもいい思い出です。Replicant.fmの世界観そのままに、人やカルチャーが渦巻くとてもエネルギーに溢れた1日でした。ビールの文脈とも少し違った人との出会いはとても刺激的で、ここから生まれた縁はユニークな発展を遂げることも多く毎回とても楽しみにしているのです。
パシフィックのアパレルで世話になっている友人が、いつの間にかラグアーティストに。初の個展を東京で開催したのでお祝いに駆けつけました。和のテイストとラグの相性は斬新でその世界観も素晴らしいものでした。その発想と行動力は友人でありながら見習いたい部分もたくさんあるのです。
三島にオープンしたボトルショップ「Speakeasy Bottle Shop」とのコラボレーションビールのリリースも。元々RePuBrewが缶詰め室として使用していた倉庫をリノベーションしてボトルショップとして再オープン。ただのボトルショップに留まらず、ゆくゆくはホームブリュー用の機材や原材料の販売も行うとのこと。現在の日本ではアルコール1%以上のお酒を自宅で造ることは法律で禁止されているので色々と越えなければいけない壁はありますが面白い取り組みだなと。アメリカではホームブリューは合法で、エントリー層が家庭でのビール造りを経てプロブルワーになるケースも多く、業界全体の底上げに間違いなく貢献しています。このビールも手に入りやすい原料で、複雑な行程を極力避け、家庭での醸造が簡単にできるようなレシピでつくりました。いつの日か、日本でもホームブリューが合法化する日を楽しみにしています。
3月
横浜の大桟橋で行われる"Japan Brewers Cup"にお客さんとして遊びにいきました。その名の通りビールの品評会も開催されるこのイベント。審査員は実績のあるブルワーに限られ加点法による"味わい"重視で評価されるのが特徴でもあります。いわばどのビールが一番美味いか、を素直に競える訳なのです。また品評会後は参加ブルワリーのビールが楽しめるビアフェスも併催。こういう所に行くと示し合わせもなくたくさんの同業者と会うことにもなります。今年はGod Speedのルークさんなど懐かしい顔ぶれも多く気づけば夜更けまでビールを飲み続けたのでした。
12月以来となるタップルームの営業も行いました。鎌倉よりBarchie's Kamakuraさんにも出店していただき看板商品のスペアリブやチリコンカンなどを提供していただきました。言わずもがな、ビールとの相性は最高でしたね。スペアリブの誕生秘話なんかも聞けてとても楽しい1日だったのをよく覚えてます。
NEWROSEとのコラボビールのラベルデザインの作成に伴う打ち合わせのためWHW!のアトリエを訪ねたのもこの頃。各所にイラストが散りばめられた素敵なアトリエで、打ち合わせの後は手作りのタコスを振る舞っていただきみんなで親睦会も。この日がきっかけでWHW!チームとの親交も深まり、"Ohayo!"を一緒につくることになったのです。
度々登場するPironoのぴろ君。開業準備と並行して、南会津マウンテンブルーイングを間借りする形でビールの醸造を開始。そんな記念すべくビールのお披露目会が三軒茶屋のPigalleで行われました。僕らもブルワリーができる前にBarbaric Worksさんにご協力いただきHello Passificというビールを醸造し、勝手も分からずドキドキとしながらビールと共に各地を回ったのは良い思い出です。そういう意味でも、Pironoのスタート地点を一緒に共有できたことはとても嬉しい出来事でした。
プライベートでは関西方面へ足を伸ばしました。せっかくなので京都醸造と箕面ビールにも立ち寄りご挨拶を。京都醸造のクリスは実は元同僚。といっても知識も技術も大先輩ですが。彼らは、日々新しい情報を仕入れながら様々な取り組みをしているので会うたびにとても勉強になります。クリスといえば今年の12月をもって京都醸造を退職されましたね。オーナーでありヘッドブルワーでもあるので最初はとても驚きましたが、ビールが好きという気持ちに向かって真っ直ぐに進んでいる様子でした。これからもビールつくりを続けるようなので一安心。早くまたクリスのビールが飲みたい!そして、箕面ビールは訪ねる度に驚くような変化があります。この日もこれまで無かった屋外タンクが立ち並ぶ様子をみて呆気にとられました。規模は変わってもいつまでもその人柄が滲み出るようなビールをつくっているのは本当にすごいことだなと。追いたい背中の一つです。
開業当初から何かと賑やかしてくれた地元のパイセンミノワくんが仕事の都合で茅ヶ崎を離れることになったのでその送別会も行いました。Metal Workチャレンジの日本記録保持者でもある彼は、この日もたくさんの強敵を抑え王者の座を守り抜きました。
2月に行われた通称浅ヤンの出店者打ち上げも。都内在住の人がほとんどですがせっかくなので!とカナリヤでの開催となり皆さんが茅ヶ崎へ。こういうことがきっかけで人と町の接点が生まれることはとても面白いことで、次第に町が変化することへと繋がるのです。怪我の直後ということもありケンタローさんの顔がぱんぱんなのも今では笑えるところ。
ブルワリーでは小さな設備投資も。Keyence社製の超音波式流量計です。麦汁やお湯がどれくらいのスピードで、合計何L流れたかを計測できる機器です。これまでは釜についてるメモリやそれこそバルブの感覚的な開き具合などで調整していましたが、仕込み品質の向上のための、いわゆる"見える化"を目指して導入しました。感覚に頼るというとなんか職人感が増してかっこいいような気もしますが、基本的には機械や数値を正しく扱うということの方が重要だと思います。その上で、味覚などの感覚の部分があってようやく良いものが作れるのだと。この機材を導入してから仕込み時の行程管理の精度もあがり結果的に安定した品質でのビールつくりを行えているのです。
学芸大学の美容室「groovy」が1周年を迎えました。10代の頃から業界は違えど切磋琢磨してきた仲間なので本当に嬉しい気持ちでした。開業後もお互いの悩みや夢など今でもたくさん共有しているとても良い関係です。この調子でお互い頑張りましょうね!
そして、ビールの値上げに踏み切ったのもこの頃でした。コロナ前後で物価は大きく変化し、原料のほぼ全てを輸入に頼ってるのでその影響も特に大きかったです。その他、上がらない賃金の問題など色々な事情もありとても心苦しい思いでしたが値上げをする結果に。市場や社会情勢を鑑みた適正価格はこれからも意識し、またある意味での非効率を実現するための効率化を行い無駄を減らす努力は現在も継続中です。
茅ヶ崎のブルーパブBarbaric Worksのヘッドブルワーである永石さんが卒業。設備や技術面で開業当初からとてもお世話になっていましたし、これだけ頼れるブルワーが同じ町にいるというのはとても心強いことでした。副業で行っていたSpent Grainの事業に本腰を入れ、設備の販売だけに留まらずブルワリーの建設を計画中だそうです。そしてGold'n Bubのくるみちゃんも大学の卒業を期に同店を退職。そのキャラクターと細やかなサービスは彼女の年齢を疑うほど素晴らしいものでした。醸造に興味がある、という話しをよく聞いていたのですが、どういう縁かこの後パシフィックに入社。その強い好奇心と行動力からブルワーとして大活躍中です。
4月
茅ヶ崎の気まぐれ屋台料理「カナリヤ」が5周年を迎えました!この日のためにカナリヤの料理にもぴったりなサワーエール"酸羅愛鳧/Slurp"も一緒につくりました。当日はカナリヤの盟友の皆さまの出店もあり豪華かつ、豪快な1日に。本当にたくさんの人が集まり、愛されているお店だなと感じたなと同時に、町って人がつくりあげていくものだよなという思いがより強くなったりもしたのです。
翌週には平塚のModern Japanese Curry「Newrose」が4周年!こちらもそれを記念して一緒にビールをつくりました。Newroseが大切にしている"Complex"をキーワードにBelgian Black IPAを醸造。せっかくなので!とラベルはWHW!チームにお願いしました。店主のコニーさんの行動力からなる、湘南という枠を飛び出した繋がりが産んだ結果でもあります。パーティー当日も、仲間達によるフードの数々や店主の生ライブなど大盛り上がり。そしてNewroseの営業を日々支えるイッコーの涙の演説と、なんとも素晴らしい1日でした。
鎌倉に拠点を構えるアウトドアガレージブランド「山と道」の皆さまがブルワリーを訪ねに来てくれました。これは山と道の京都店をオープンをするにあたりクラフトビールの販売も始めるということから。僕も山登りが趣味なので、山と道の1ユーザーであると共に、彼らのプロダクトを通したカルチャーを伝えるその姿勢にはいつも刺激を受けています。そういう意味でもこうしてビールを通して繋がれたことは本当に嬉しいことでもあるのです。
今年1番のイベントといっても過言ではない2週間に渡るヨーロッパ研修にも行きました。長いビールの歴史を持つベルギー、ドイツ、チェコのブルワリーやパブを訪ねました。ここぞとばかりにビールを飲み続け体はぼろぼろになりましたが、その経験はしっかりとこの体に刻まれました。知った気になっていたような事も、やっぱり現地で体感するのがとても大事だなと。旅の様子は「ヨーロッパ、ビールへの旅」と題してまとめてありますので是非そちらも読んでみてください。(まだ書き終わってないですが...)旅から戻ってからは、すっかりヨーロッパスタイルのビールに傾倒。今まで試したことも無かったスタイルや原材料と、とことん向き合うことでビールつくりの幅も広がりました。まだまだその全てを消化するには時間がかかりそうですが、来年もまたどこかへ行けたら良いなと思っています。そしてこの旅は2名の同行者も。2人ともこの旅をきっかけに一緒に働くことになりました。素晴らしい仲間が増えていく感覚は初めてのことであり、実に誇らしいことでもあるのです。
5月
旅の間の溜まった仕事を片付けるべく、ゴールデンウィークはひたすら働きました。ちなみに僕らが留守にしている間はSpent Grainチームがビールの面倒を見ていてくれました。頼もしい存在。その傍、ヨーロッパのビール事情について色々教えてもらった方々に旅の報告も。三軒茶屋のPigalleさんにはDe La Senneのアポを取ってもらったり、バンベルグ周辺のローカルブルワリーのことをたくさん教えてもらいました。また、泉岳寺のPilny Pijakの神林さんにはチェコのパブ情報を。現地を何度も訪れたことのある人たちの生の情報のおかげでとても有意義な旅になったことは言うまでも無いことなのです。
5月の後半はイベントラッシュ。まずはMikkellerが主催するKeep Pouring Nipponに出店。これはMBCTのいわば日本版。デンマーク大使館で本家さながらの雰囲気で行われ、今の日本のビールシーンを造り出すブルワリーの方々に混ぜてもらえたことはとても光栄なことでもありました。
同じ週末には茅ヶ崎のQueの14周年パーティーも。昨年に引き続き松本の「餐」による出店などもあり、とても素敵な1日になりました。この日のためにつくった"麦秋"のラベルデザインはウノさんによるもの。昨年のQuotidieに引き続き、最高のラベルになりました。この調子であと4年やれば、その時はタップ全てがQueのオリジナルビールで埋まるねなんて話しもして、その時間の積み重ねがとても楽しみになったのでした。
月末には2度目の参加となるCraftrock Festivalにも出店を。たくさんの友人の力を借りながらの出店は、普段少人数でやっている僕らからすると文化祭のような気分で楽しみながらやらせてもらってます。出演するアーティストの方との交流や、普段とは少し違ったお客さんとの接点が生まれる機会はとても大切なことでもあると思っています。そして、このフェスは2部制なんじゃないかと錯覚するほどの連日の打ち上げは実にハードでありながら、毎回強烈な記憶と共に良い思い出へとなっていくのです。来年はイベント10周年ということもあり、僕らも気合いをいれて参加させていただこうかと思っています!
6月
四国に縁の合った6月。山と道が主催する"山道祭"に参加するため、まずは松山へ。数年ぶりに訪れたこの町では名物の鍋焼きうどんを食べたり、パシフィックをお取り扱いしていただいているBokkeさんにも立ち寄りました。茅ヶ崎からほど遠い町で自分達のつくったビールが飲まれているというのは、なんだか不思議な気分になるものです。イベント前日から山に入る予定でしたが、台風の影響もあり急遽予定変更。レンタカーを借りてしまなみ海道にある大三島を訪ねました。何かと縁があるこの島では、ぱん屋まるまどや大三島ブルワリーにご挨拶を。初めて来た時はまだ移住したてだったお二人も、お店を初めて島の生活にも溶け込んでと、すっかり馴染んでいた様子でした。またパシフィックではCitrushなどで大三島の柑橘を使っていて、その生産者である花澤さんにもお会いすることができました。ビールを通して生まれる人や地域との繋がりを大切に、というのはこういう事なのかなと実感することにもなりました。
天気も快復したので、いざ山道祭。松山市内から電車とバスを乗り継いで石鎚山に向かいました。山の中で、ハイカーが集まるこのお祭り。盆踊りやテントサウナなどもありますが、主なコンテンツは参加者同士の交流なのかなと。僕らは出店ではありませんでしたが、山道酒場でビールの提供をしていただきました。初めましての人も、顔馴染みの人も、ハイカーらしく地べたに座り込んで輪を囲み、夜遅くまで酒を酌み交わしたのは今でもとても良い思い出です。
帰りは寄り道をしながら、高松で1泊。せとうち醸造チームに付き合ってもらって市内の馴染みの店を回りました。高松は7年くらい前に一度来たことがあるだけなのですが、それでも自分の居場所があるというか、町の人たちが暖かく迎え入れてくれてとっても居心地のいい町なのです。
茅ヶ崎市美術館が開館から25年を迎えたことを記念した展示企画「渉るあいだに佇む-美術館があるということ」の関連イベントで、"アウトリーチトーク"と題して美術家である「やんツー」さんとパシフィックによるアート×ビールをテーマにしたトークイベントをブルワリーにて行いました。トークのテーマや、そもそも会場がブルワリーであることなど、ユニークな企画で僕自身もとても楽しみにしていました。ブルワーはサイエンティストであり、アーティストであるなんて例えもされるのでアーティストの方の想像に対する思考にはとても興味があります。また本企画を通じて、やんツーさんとの親交も深まり、後の一房一献の十周年記念ラベルへと繋がるのです。
プライベートでは会津若松方面へ。開店間近のGiraffe General Storeを訪ねたり、磐梯山へ登ったりと福島を満喫。こうして同世代の人達が着々と自分の城を各地で築き上げています。悩みを共有することもあるし、その挑戦的な姿勢などにはいつも刺激を受け、何より訪ねたくなる場所が各地にあるというのがとても嬉しいことなのです。
すでに何度か登場していますが、パシフィックの3人目として"くるみ"が加入。ヨーロッパの旅を共にしたメンバーですが、現地の光景を見て改めて醸造に対する気持ちも強くなったようで、ちょうど僕らもアシスタントを探していたところということもあり、入社する運びとなりました。20代前半の女性と、この業界的には圧倒的マイノリティではあるのですが、それはある意味チャンスなのかも。すでにたくさんの仕事を覚えて現場で大活躍中ですし、彼女のような存在がクラフトビールの新時代を創り上げていくのだと、そう信じているのです。
月の後半には再びの四国。まだまだ遊び足りない高松にも再訪しました。Ohloy Brewingのなべちゃんに準備中のお店を見せてもらったり念願だった串カツayanoさんを訪ねたりと大満足の1日。そして、翌日には徳島県へと向かいました。これは代々木の”FarmMart & Friends”が関連事業で”Food Hub Project”という、神山町にて農業を起点とした食に関する事業を行っていて、是非その現場を見せていただきたいとお願いしたことがきっかけになっています。チーム総出で神山町周辺の人や場所などをご案内していただき、Sukittuで使っているすだちを栽培するしーちゃんともついに対面することもできました。2年目を迎えたすだちつくりに対する思いや姿勢などは共感することも多く、また今年のすだちの出来映えからその成果がしっかりと感じとれ、改めてそういった農作物を分けていただけることに感謝の気持ちが芽生えるのでした。地方と農業というと、どこかお気楽な田舎暮らしのイメージもありますが、現代における地方のリアルというのは結構厳しいもので、それらの課題解決を自然な人の営みをベースに行っているFood Hub Projectの活動には刺激を受けざるを得ないのでした。
ところ変わって、再びreverbへ。ありがたいことにパシフィックのTTOを企画していただき僕らも総出で参加してきました。日頃ビールを飲んでくれているお客さんや仲間達が集い賑やかな夜に。顔が見える生産者とはよく言いますが、顔が見えるお客さんというのも僕らにとってはとてもありがたい存在であるのです。
中村酒造場の新作「Aqua」と「Flare」には痺れました。室付き麹と蔵付き天然酵母の利用という伝統的な製法をベースとしつつ「the traditional」と「+innovative」という真逆のコンセプトで仕上げた焼酎です。同じ原酒というのが信じ難いような味の違いはもちろん、その圧倒的な風味を副原料などを用いずに実現しているところは、日々芋と麹という原料にとことん向き合ってるからなせる業なのだなと。クラフトビールはその自由度の高さも魅力の一つではあるのですが、選択肢があるが故に創造性を失ってる部分もあるのではないかと、そんなことを考えさせられる焼酎でした。
ブルワリーには嬉しい来客も。春に行ったベルギーでDe Rankeに伺った際「明日から日本人がインターンにくるよ」という話しを聞いていて誰だかとっても気になっていたのですが、それがこの日来てくれた古本さんでした。都内のベルギービール店で長年勤め自身の店舗の開業準備を進める中でもっとビールのことを知りたいという思いからDe Rankeでのインターンをすることになったそうです。何よりその経験はとても羨ましいですし、De Rankeのブルワリーやそのメンバーの話しなどを聞けてとても嬉しかったです。広島で物件も見つかったそうなのですが、ベルギーを始めとしたヨーロッパのビールカルチャーを自分の言葉で語れるお店は、今の日本のビールシーンにおいて重要な役割を果たすのではないかと今から楽しみでならないのです。
7月
7月は怒涛のスケジュールからスタート。Son of the Smithが企画するLake Siderに遊びに行きました。前日には松本の町に立ち寄りイベント参加者や松本ローカルの方々と夜を楽しんだりも。翌朝、全員寝坊という奇跡を起こしながら大町へと向かいます。この日はあいにくの荒天だったのですがアフターパーティまで含めてサノバワールド全開でとても楽しませていただききました。翌朝「餐」の原くんも引き連れ茅ヶ崎に戻りvertereのフーカを招いて夏の開幕戦を。翌日には、なんと鹿児島チームが湘南へ遊びに来てくれました。中村酒造場の中村さん、杉本酒店のゆうげん君、そしてS.A.Oのユウヤくんと日々三位一体を創り上げているチーム。パシフィックはもちろんのことヨロッコビールさんなどにも見学に行き湘南のビールカルチャーを肌で感じていただきました。何か少しでもためになれば良いなと思っていましたが、僕らからは気づかないようなローカルとの関係性というところに大きな刺激を受けていただいたようです。鹿児島に戻ってからも、地元の霧島市でイベントを企画するなど、精力的な活動をされているそうです。ヨロッコのあきおさんも3人の焼酎に対する思いなどに感銘を受け、この秋に今度は僕らが鹿児島を訪ねるということにも繋がっていくのでした。また鹿児島チームと入れ替わりで京都からはBugalowチームが湘南へ。開業当初からお世話になっているお店でもあるので久しぶりの再開はとても嬉しいものでした。彼らもまた、湘南エリアのクラフトビールとローカルとの関係性を肌で感じることで日々の営業におけるビールとの向き合い方にも少し変化があったようです。今このエリアで起きていることは、当の本人達には当たり前になりつつあるのですが、俯瞰してその現状を把握し、より良いものへと発展させていきたいなという思いも湧いてきたのでした。
と、そんなローカルとの関わり方を考え直すタイミングでヨロッコビールのパブがオープン。"パブ"の名に相応しいビールを媒介としたコミュニティが生まれるような空間は流石だなと。チェコ製のタップから注がれるラガービールはこれからのクラフトビールシーンにおいて大きな影響も与えていくのだろうと思いますし、何より大きなジョッキになみなみと注がれたビールを飲む瞬間というのは、なんとも幸せなことであるということに気付かされたのでした。
新作ビール"Yeedle"と"Yooble"はヨーロッパの旅の影響を色濃く受けた2種。旅の中で"美味しいビールこそ、シンプルな造りだった"という印象がとても強く、シンプルであることを最優先に仕込んだビールです。パシフィックではバランス感は重要視しつつも小さな味の要素を積み重ねていくイメージでビールをつくることが多いので、ある意味ではつくりの根幹が真逆でもあるのです。決して安くはない飲み物なのでシンプルなものに価値を感じてもらえるのかという不安がありましたが、蓋を開けてみればとてもいい反響もありホッとしました。つくりに対する幅もこれを経てグッと広がった印象もあり、これからのパシフィックの方向性に大きな影響を与えることになりそうな特別なビールです。
代々木のFarmMart&Friendsで行われた「Yoyogi Mountain & Craft Day」に参加してきました。“山”というキーワードで繋がった出店者が集い、フード、ビール、クラフト、トークと多彩なコンテンツの提供が行われたこのイベント。ビールが軸のイベントでは無いからこそ、お客さんや出店者の幅も広く色々な出会いが生まれたりもするのです。前述したYeedleとYoobleもこの日がお披露目。本当に暑い日だったからこそ、シンプルなビールがハマったのかなと思っています。
プライベートですが、白馬で開催されるOmm Bikeにも参加してきました!これは地図とコンパスを頼りにチェックポイントを目指しながらゴールを目指すというレース。パシフィック2名+Barbaric WorksのJPくんを迎えたチームで挑みました。JPくんは元メッセンジャーということもありシングルギアのバイクで出走。こちらの10段変速が無駄に思えるほど、ごりごりと坂を登る姿に惚れ惚れしたのでした。キャンプ地での過ごし方もこのイベントの醍醐味の一つなので、たくさんのビールを持っていき振る舞い酒も。一部に闇酒防空壕と名付けられましたが、これまで出会ってきたたくさんの仲間達が集ってくれて最高の夜を過ごすことができました。レースが終わってからは長野市に場所を移しBirdで打ち上げを。志賀高原ビールの2人も来てくれて懐かしい話しにも花が咲きました。翌日は車を1時間ほど走らせ野尻湖にあるYamatoumi Farm & Distillにも立ち寄りました。鎌倉のオイチイチを営む通称チュンさんが数年前から行っている、野尻湖と鎌倉の2拠点生活の中で作り上げた蒸留所です。建物の中からは湖が見渡せ、敷地内にはジンの原料となるハーブ園も。汗をかいたら湖で泳ぐ、などなんとも羨ましい環境でした。ほぼ独学でつくるジンはボタニカルの香りが鮮烈に香りつつもジン独特の強さはなく実にバランスのとれた味わいですっかりその虜になりました。僕らも種を蒔くところからの酒つくりにはやっぱり挑戦したいという気持ちも強く、この時見せてもらったハーブ園はその大きなヒントの一つにもなっていくのです。
茅ヶ崎の銘店"HOPMAN"は13周年を迎えるとのことで、今年もChopmanを一緒につくりました。昨年からはスタイルを変え少しバージョンアップ。何を隠そうHOPMANで飲んだ1杯のIPAがきっかけで僕はクラフトビールの道に進むことになったので当然思い入れも人一倍です。変わりゆくこの業界の中で今でも存在感を示し続けていることは本当にすごいことだと思うのです。
月末には台湾から友人たちが湘南に遊びにきてくれました。コロナの影響もありしばらくぶりでしたが、皆元気そうで何より。ブルワー、 ブルワリーのデザイナー、台北のビアバーの店主などなど。みんなパシフィックTを着てきてくれたのには感激しました。こうなると、次は僕らが遊びに行く番。台湾行きたいわん!
8月
さあ、夏本番。まずは群馬県にあるPeppers.jpの畑を訪ねました。前職時代からのお付き合いで、パシフィックではCuriousやPopopicaなどでお馴染みですね。世界の唐辛子、という名に恥じぬ圧倒的な栽培品種には驚きました。唐辛子の業界事情も面白く、毎年いくつもの新品種が生まれているのだそう。そのルーツによって栽培環境も異なるため時には温室なども活用しながら多品種の栽培をしているようです。本当に暑いので農作業はおすすめしませんと言われていましたが、お時間をいただいた分少しだけ収獲のお手伝いを。"本当に暑くて"参りそうになりましたが、改めて農の現場を肌で感じることは僕らにとってとても重要な経験でもあるのです。帰りがけに軽井沢に新しくできたKaruizawa Qにも立ち寄りました。醸造を担当する井沢さんは元ヤッホーブルーイングのブルワー。当時から親交があるのですが、今回パシフィックと同じ醸造設備を導入するにあたって頻繁に連絡をとっていたり、見学に来ていただいたりしていたのです。経歴的にも実力的にも当然僕の大先輩にあたるのですが、いつ会っても腰が低くてなんだか恐縮してしまいます。ブルワリーの上階はタップルームにもなっているので、近くに行った際には是非お立ち寄りください。
夏になるとアルプスもシーズンイン、ということで泊まりがけで北アルプスの大天井岳に登ってきました。山の上で見える景色というのは本当に幻想的で、日が暮れる、日が昇る、といった毎日起きる当たり前の光景ですら感動的なものであるのです。下山後は松本に立ち寄り、またまた「餐」の原くんと遊びました。会ったばかりじゃないかという感じもしますがついに物件が決まったとのことで是非一目見ておきたかったのです。松本の市街地にある古民家でこれから新しい何かが始まると思うとこちらまでワクワクとしてきました。資金調達など苦労も多かったようですが無事に工事も始まり来春のオープン目がけて絶賛準備中です。
お盆の頃にはカナリヤでビアガーデンも開催!元々タップルームをオープンしようかと思っていましたが流石に暑すぎ?となって、どうせなら涼しいところで美味しいご飯を食べながら飲みたいよね、と思いカナリヤさんに相談させてもらったという次第です。ビール日和だったこともあり本当にたくさんのお客さんが来てくれてやった甲斐があったなと。カナリヤでは普段からパシフィックのビールを提供してくれていることもあって、みんなこの組みあわせに虜なのかも。なんてったって僕だってその1人なのだから。来年は"ジョッキフェス"企画中です。こちらも乞うご期待!
8月も折り返し地点というところで三軒茶屋のSanityが2周年を迎えました!今年は周年ビールとしてSaniityを一緒につくりました。エネルギッシュな彼らを見ていたら、いてもたってもいられなくなり、周年当日は何故か"一緒に朝日を見る宣言"をしてしまったのです。有言実行は何よりも大事ということで、迷惑承知で朝まで飲み明かしたのは本当に良い思い出です。他業種からの挑戦であるSanityチームは何事にも真剣で、その姿勢にはいつも刺激を受けているのですが、今回ビールつくりも通してその原動力のようなものも垣間みれたりと、とても良い経験をさせていただきました。
再びの福島も。ついにオープンとなったGiraffe General Storeはコウジ君の世界観そのままにその魅力がギュッと詰まったお店。見た目によらず?酒に向き合う姿勢は本当に真剣でそんな場所でパシフィックを取り扱ってもらえてることがとても嬉しいのです。まだオープンしてそれほど時間も経っていないのにすでに顔馴染みのお客さんがいたり、そんな人達がパシフィックのファンになっていてくれたりと日々の一杯を本当に丁寧に届けているのが伝わってくるのでした。翌日は郡山へ移動してSonora Burgerが主催する月一イベント"ドラフト会議"に参加。同店移転前のラストということで、僕ら以外にもPirono,AJB,Vertereも参加となりました。初めての町、初めての店でのイベントで始まる前はなんだかドキドキとしていましたが、人が集まってくるとそこはまるで茅ヶ崎のパラレルワールドのような、なんだか落ち着くローカルコミュニティがあったのでした。仲間が集まれば宴が始まるもので彼らの青春を支えたローカルカラオケで文字通り声が枯れるまで歌い尽くし、そのかけがえのない時間を共有したのでした。翌日にはPironoのブルワリーとなる物件も見学しました。まだ片付け途中の建物にはブルワリーの気配は無いものの、これから始まることが素晴らしいものになることが間違いないと感じさせる素敵な空間で、自分のことのように嬉しい気持ちになりました。この物件との出会いも実に運命的なことでありながら、ぴろ君自身の人柄や歩みが自然と引き寄せたものでもあるのかなと思わずににはいられないのでした。そして欲張りな僕らはもう一泊。郡山市内からほど近い山中にオープンしたLoggersのキャンプ場へ。川辺のキャンプサイトで、テントサウナに興じたり持ち込んだビールについて真剣な話しをしたりと、普段とは違った環境だからこその濃密な時間を過ごしたのでした。
9月
9月もまたまたキャンプからスタート。10代からの友人たちと毎年の恒例行事です。現在地点の把握には比較対象が必要、と僕は思っているのですがこのキャンプはまさにその最たる例。数年前には、俺達ビール屋始める!なんて宣言をしたのもこのキャンプで、当然周りのみんなもその時々の悩みや、新しい挑戦への決意などあったりと毎回特別な時間を過ごしています。
そして久しぶりの札幌も!Mikkellerが狸小路の"空き地"でポップアップビアバーをオープン。せっかくなので!とそこでイベントをやることになったのです。札幌へ到着するやいなやサッポロビール園でのウェルカムパーティー?を。その後も札幌の街へと繰り出し夜な夜な飲み明かしたのでした。翌日はTyson Pizzaも合流しイベントスタート。文字通りビル建設前の"空き地"が会場なのですが、公園のようにパブリックに開かれた空間は独特でした。札幌ローカルの皆さまが駆けつけてくれて、色々なお店にも足を運んだりとなんだか楽しい一日。でも、パシフィックの知名度の低さを痛感するようなシーンもあり、日々の積み重ねの上にこうしたイベントが成り立つことがほとんどだな、ということを考えたりもしました。せっかく北海道まで来たので小樽にも足を運びました。Hello Passificのイベントを一緒に行ったOtaru Taproomも再訪。旧友あやのちゃんは今も変わらず彼女のペースを崩さずビールを提供していて、なんだかほっとしました。念願だった金太の金太に行ったり、合宿のごとくホテルで朝まで語り明かしたりと実に思い出深い1日でした。帰りがけにはStreet Light Brewingを訪ねたりと、進化を続ける北海道のクラフトビール事情を肌で感じる出来事も。改めて気づいたことは、ジンギスカンとサッポロクラシックは最高、ということ。道民が羨ましいってば!
つい先日会ったばかりですが再びPirono in 湘南。今回はPironoを一緒に立ち上げたアンドゥーも。湘南ローカルでお出迎えをしてヨロッコのパブや茅ヶ崎の町で目一杯遊んでもらいました。きっと彼らもこんな風に、また行きたくなる町を創りあげてくれるのだろうと僕は楽しみにしているのです。
翌日には千歳烏山のNovel Craftの周年パーティーにみんなで駆けつけました。今年はコラボビールとして"Broskev"を一緒に仕込ませていただいたのですが、100kgを超える桃を両チーム総出で加工したことはこの夏の良い思い出の一つでもあります。イベント当日もお客さんやブルワー、バーの方々などたくさんの人が集まり改めて芦名さんの信頼感や求心力のようなものを感じました。仕事の都合で途中で帰らなけれれば行かず、散歩を強制終了された犬のような気持ちで帰路についたのも記憶に残っているのです。
たまたまではありますが、雑誌の掲載も2つ。「食楽」では"次世代のクラフトビールの担い手"と題する特集で取り上げていただきました。業界的には確かに次世代とも言えそうですが、僕らからすると更なる次の世代の存在も日々感じています。多少の危機感のようなものを抱きつつも、そもそもそれだけの"世代"が語られるようになったことはこの業界にとって大きな一歩だなと。やっぱり新しいものは若い人達が作っていくものだと思うし、僕らはそのための基盤をつくったり、道を切り拓いたりするのが仕事なのかも、なんてことを考えています。「湘南スタイル」は一冊丸ごと湘南のクラフトビール特集。巻頭の企画や、ヨロッコさん、バーバリックさんとの対談企画などで掲載していただきました。湘南エリアのビールシーンを創り上げてきた2つのブルワリーの対談に混ぜていただいことはとても光栄で、そして僕らがこうしてすんなりと町に受け入れらているのは彼らの地道な活動あってのものだなと。一言で言えば運が良いのかもしれませんし、マイクロブルワリーを営む上でこれ以上無い環境だなと。それに甘んじず、良いビールをつくり町を良くしていくことが僕らができる最大限の恩返しなのではないかと思っているのです。
月末には大町から"ハカセ"が湘南に。昨年のShukudaiを始めとってもお世話になっているブルワーの1人です。夏のホップ収穫なども含め湘南エリアとの親交も深くお互い行き来するような関係が続いてます。この時はBarbaric Worksとのコラボビールの醸造もあり、せっかくなので仕込みの見学もさせてもらいました。ハカセの圧倒的な知識と知見を基にしたレシピ造りはとても面白く、毎度勉強になります。この日も彼なりのエッセンスが多分に盛り込まれたレシピでその場にいた皆が興味深々だったことは実に印象的でした。こうして、ビールやサイダーを媒介として町や人がつながっていく光景はこの仕事の醍醐味の一つだなと思ったのでした。
10月
10年ぶりに茅ヶ崎で開催となったサザンオールスターズのライブでこの町は沸き立ちました。観光客の少ないこの町では、珍しく人の出入りも多かったですね。会場は海から道路を一本挟んだ野球場。ライブの期間は音漏れ勢が海に集結し、皆一体となってライブを楽しんでいました。道路越しに聞こえる名曲に体を揺らす光景はなんだかとっても良かったですし、僕は愛しのエリーを聞いて涙しました。
3度目となる鹿児島にも行きました。この夏に鹿児島チームが湘南に来てくれた際に次は仕込みの時期に遊びに来てください!と言っていただいたことがきっかけになっています。パシフィックチームに加えヨロッコのあきおさんやスペントグレインの永石さんも同行。初日は白石酒造さんにお邪魔し、自社畑や蔵を見学させてもらい、夜は天文館の街で一緒に焼酎を飲みました。2日目は中村酒造場で仕込みのお手伝いを。当然ビール造りとは原料も製法も違う訳なのですが、酒造り対する姿勢や思いは共通するところもあるのです。やっぱり土地や風土に根差した酒というのはある意味での説得力があるというか、そこに存在する価値のようなものがあります。けれど焼酎も元を辿れば外来酒。日本で作られるようになってまだ数100年の歴史です。ビールだって気づけば国酒のような扱いを受ける日が来るのかも、なんて。そのためには目の前のことを大切に正しい道を一歩一歩進むことが大切なのだと、僕はそう思うのです。鹿児島の皆さんに会うと本当に色々な刺激を受けますし、このご縁は今後も大切にしていきたいなと思っています。
鹿児島から帰ってすぐに、今度は長野の小諸市へ。葡萄酒倶楽部とのコラボレーションビールに使う葡萄の果皮を受け取りにいきました。ちょうど収穫と仕込みのシーズンが始まり、どこのワイナリーも大忙し。いくつかの蔵を周りながら選果や除梗、収穫などをお手伝いをさせていただきました。ナチュラルワインなんて言葉が普通に使われるようになってきましたが、農薬を使わない農法ということの大変さを改めて身をもって体感しました。虫や鳥による被害も多く、またそれらの実には菌が繁殖していることから、ひとつひとつ手で取り除いていく必要があるのです。ナチュラルとは、極力人の手を加えないことであるとも思うのですが、それはその言葉ほど生易しいものでは無く、苦労や努力の末に実現できるものなのだなと。正しく、良い酒をつくるということは、誰にでも出来ることでは無いのかもしれません。
10月は何かとイベントの多い季節。出店は少なかったのですが、色々なイベントにお客さんとして参加してきました。まずはJapan Spirits Festival。文字通りジンやウイスキー、焼酎などを作る蔵元さんが集まるこのイベント。年内休み無し、というほど多忙な中村さんも会場にいらっしゃるとのことで遊びにいって来ました。まさかこんなすぐに会えるとは、という嬉しい出来事でした。その足でお次はMBCTへ!今年は海外勢のみの出店だったのでお客さんとして参加。世界トップクラスのブルワリーが集まるなんて、本当に贅沢なことですよね。会場ではOxbowのティムさんとの念願の再会も!前職時代に何度もコラボしたり、彼らのビールの大ファンでもあるのでとても嬉しいことでした。10代を東京で過ごしたティムさんはさながら高校生のような日本語を話すところもまた大好きなポイントなのです。場所を下北沢に移し、Neutral Caseにも参加。こちらは主に日本のブルワリーが集まるイベント。来場しているお客さんの年齢層も比較的若く、まさに東京を代表するようなイベントになっていました。たくさんの仲間たちとの再会もあり、とことんビールを堪能する1日となりました。翌日には茅ヶ崎のスペインバル「エルマンボ」の20周年を記念したイベントも。茅ヶ崎中の飲食店が集いとても豪華な空間でした。この日限りのイベントでは無く、毎年恒例になるようなものを目指しているようで、こういった取り組みが町の暮らしを豊かにしていくのだなと思ったのでした。
翌週には千葉県にある「Mitosaya Botanical Distillery」のオープンデイへ。植物園の跡地にあるこの蒸留所はジンをはじめとした様々なスピリッツを作っています。蒸留所の多くはベースのスピリッツを購入しそれにボタニカルを浸漬/蒸留するなどして風味を得ますが、Mitosayaには木桶の発酵槽があり、そこでりんごや梨などの醸造酒を醸すところからの蒸留酒造りも行っているようです。醸造酒をつくる僕らからすると、これはなんとも羨ましいことで、蒸留の世界への興味もグッと増しました。またテイスティングバーで色々と試飲をしましたがどれも原材料の風味が活きた解像度の高い味わいでその技術力の高さに驚きました。
学芸大学の美容室"groovy"で行われたhood x giugiuのポップアップイベントにも出店してきました。サロンで行われる、洋服の販売会という異質な状況でありながら、普段はあまり無い接点が生まれる空間でとても面白かったです。ビールの提供はgroovyの屋上部分を使ったさながらルーフトップバーで、洋服めがけて来た人や、近隣の友人などが足を運んでくれました。この屋上本当に気持ちが良いので暖かくなったらまた何かやりたいね、なんて話しもしているのでお楽しみに。
今月2度目の長野は南信エリアの中川村を訪ねました。今回ブドウの果皮を分けてくださったGetta Winesの上田さんはまだ醸造所が無いため委託醸造という形でワイン造りを行っています。この日は南向醸造で醸していたガメイのプレスが終わるとのことでその果皮を受け取りにいったという次第です。いくつかのワイナリーを見学させていただき感じたことはどこも驚くほど小規模で営んでいるというところ。栽培できるぶどうの量との兼ね合いなどもあるようですが、1品種で数100本くらいの出来高のところも多く、そりゃ手に入らないよなと納得。人手もかかるので簡単に畑を大きくすることも出来ないし、そもそもそれが正解というわけでも無いし。原料の多くを輸入品に依存している僕らとの大きな環境の違いも体感しました。
毎年恒例となりつつある「Lazy Afternoon」がQueにて行われました。DJ陣による演出やUnoさんの作品の展示、Tyson Pizzaのピザ、そして僕らのビールとローカルの皆さまが集まりユルっと良い午後を過ごすのがこのイベントの醍醐味でもあります。この町の縮図とも言えそうなその空間をつくる要素の一つに僕らのビールがあるというのはとても誇らしいことでもあるのです。
新しい製法に挑戦した"Equis"のリリースも。パシフィックでは初めて容器内での二次発酵を行ってみました。ベルギーでは今でも主流の製法なのですが、やはりこのスタイルにとって重要なことの一つだという思いもあり挑戦してみたという次第です。ベルギー系のビールはその華やかな香りが特徴ではあるのですが、場合によってはそれが重さに繋がったりもします。容器内二次発酵を行うと独特の抜け感がでるというか、華やかさと飲み口のバランスがより向上するという印象があります。瓶なら比較的リスクは低いですが缶の場合、最悪破裂することすらあるので正直一か八かの実験ではありましたが無事に成功して一安心。今後、専用の発酵室を作り継続的に取り組んでいきたい分野でもあるのでこちらも楽しみにしておいてもらえれば。
11月
11月はヨロッコビール主催の収穫祭から始まりました。コロナの影響などもあり久しぶりの開催となった本イベント。開催を待ち侘びていた人で会場は賑わい、日々ローカルの風景を作り上げている出店者さんが"特別な日常"を演出していました。ヨロッコ、バーバリック、パシフィックは一つ屋根の下でビールの提供を。気づけばスタッフは30代前後が中心で、女性スタッフも何名か。変わりゆくこの業界を象徴するような雰囲気で、なんだか人ごとのようですが嬉しい気持ちにもなったのです。各ブルワリーの小さな一歩の積み重ねが確実に変化を起こしていると、そんなことを実感する機会でもありました。
奈良醸造が企画する、「ALE & BOOKS」ビールと読書に参加させていただきました。これは本を読みながら飲みたいビールを各社で醸造し、また本にまつわる人からビールに合う本を紹介してもらうというもの。実はまだブルワリーが出来る前に本企画に寄稿したことがあって、その時は冒険とクラフトビールの世界の共通点についての書評を書かせていただきました。この企画には色々な意図が当然あるのですが、その中の一つに地味で売り辛いビールに、ある種の付加価値を持たせるというものがあります。今でこそ、IPA以外のスタイルにも注目が浴びるようになりましたが、数年前までは本当に厳しい時代もありました。僕自身もクラフトビールという文化の存続の危うさを感じていたので、そういった意味でも斬新な企画だなと思っていたのです。時は経って僕らもブルワリーができたタイミングで声をかけていただき二つ返事で参加させていただくことになったという次第です。せっかくなので、ビール単体だと売り抜く自信が無いような、でも美味しいビールはなんだろうと思いアルトをつくることに。正直これまで見向きもしていなかったのですが、春にデュッセルドルフで飲んだアルトが美味しくて、またアルトが生まれた時代背景なども面白くいつか作りたいなと思っていた訳です。結果的には本企画も相まって全量お客さんの元へと届き、普段なかなか手に取り辛いビールを試してもらえる良いきっかけになったのかなと思っています。
茅ヶ崎の「一房一献」が十周年を迎えたことを記念して、限定ラベルのビールをリリースしました。中身は同じでラベル違いというのは普段なら敬遠しますが今回はこのビールが起点となり次への発展性を持たせたことから、敢えてラベルだけ違うというのが面白いのでは、というアイデアからそうなりました。アートワークを手掛けたのは"やんツー"さん。6月のトークイベントをきっかけに距離も縮まり、また茅ヶ崎を拠点に活動しているという縁もありお願いすることに。このアートはやんツーさんの作品の一部でもあり、またこれらが缶のラベルになることでPassific IPA自身が、再びPassific IPAのラベルになってその役割を全うするというユニークなものになりました。アートとビールが呼応するように中身のビールも変化しながら展開していく予定ですので、そちらも楽しみにしていてください。
再びの長野県。大町にあるSon of the Smithでりんごの収穫のお手伝いをするつもりでしたが、前倒しで収穫は終了。代わりにバレルの移送をするということで、そちらのお手伝いをさせていただく事に。これまでにもバレルの管理は何本もやってきましたが、ハカセ式はまた勝手も違いとても勉強になりました。その足で、毎年恒例となりつつある、OMMに参加するために北八ヶ岳へと向かいます。会場ではTakao Beerさんのご厚意でタップでパシフィックのビールも提供していただいています。前日は近くの民宿でまったりと過ごし、翌朝再び会場へ。今年もバディはPironoのぴろ君。夏のレースと違って、バイクには乗らず、また1泊2日分の荷物を背負って山を駆け巡る必要があるのでよりハードな内容となっています。天気こそ良かったですが、夜はテントが凍るほど冷え込みました。今年は白馬ビールやサノバのメンバーなども出走していて初日の夜は担いできたビールを飲みながらと、キャンプの時間までとても充実しました。ぴろ君とはもう4度目の出走なので相性はバッチリ。お互いの体力や気力に合わせて役割を分担しながら地図に記されたチェックポイント目がけて時に走りながら、前に進み続けます。地形や時間を照らし合わせながら行う状況判断の連続で、独特のアドレナリンが湧き上がる感覚は何にも変え難いものです。順位こそ昨年より落としましたが、ミスもほぼ無く、やり切ったよねと気持ちよく終われとても良い思い出となりました。レース終了後はOMM打ち上げ恒例?の長野市のBirdでご馳走を。美味しいご飯をたらふく食べながらレースの反省会をしたりと非常に充実したものになりました。翌日はForet Coffeeなどに立ち寄りながら再びの野尻湖へ。冬支度直前のチュンさんに野尻湖の周辺を案内してもらったり、ハーブについて色々教えてもらったりしました。この日は長野界隈でも初雪だったのですが、やっぱり季節の変化を感じられる環境というものは厳しさもありますが、うらやましいなと思ったのでした。
ビールの免許を取得してから2年が経過したところで仕込み回数はついに200回を迎えました。100仕込み目は100回ホップを入れるIPAを作ったので、今回も200にちなんだビールの仕込みを行いました。こちらは年始のリリース予定。どんなビールかはまだ秘密。乞うご期待!
鎌倉に新しくオープンする「EENY breakfast&shop」と一緒につくった、朝から飲みたいビール"Ohayo!"のリリースもありました。EENYを運営するのは、「What a Hand-Written World!|すばらしき手描きの世界」を合言葉に活動する「WHW!」によるもの。鎌倉にアトリエを構える彼らが、イラスト業の枠を超え朝ごはん屋さんを始めちゃうという訳なのです。WHW!とは春にリリースした"Be My Baby"のラベルを作成していただい事をきっかけに仲良くなりました。その頃から朝ごはん屋さんの計画は始まっていて、お店が出来たら朝から飲みたいビールを作りましょう!という話しがこうして形になりました。工事の都合で当初の計画より遅れていますが来春までにはオープン予定とのこと。個人的には、6~7年くらい前からチョークボーイの活動にはとても興味があり一ファンでもあったので、今回こうして一緒にビールをつくれたことはとても嬉しいことでもありました。
月末には前職時代の後輩である飯野君が研修のためパシフィックに来てくれました。現在新工場建設中の南会津マウンテンブリューイングでヘッドブルワーを務めることになり、設備も同じだしちょっとうち来なよ、なんて流れで2泊3日の合宿?を行いました。これまでの経験からビール作りにおける知識や技術は折り紙つきですが、マイクロブルワリーの運営というのは実に見えない仕事も多いので、そんな細かいところも含めたリアルな日常というのを体感してもらいたいという思いもあったのです。自分たちより若い世代の活躍や挑戦というのは本当良いもので、親心的な感じで全力で応援したくなるのです。仕事の後は湘南エリアの飲食店も満喫してもらいました。直前までヨーロッパに旅行に行っていた事もあり、僕にとってもとても勉強になる有意義な時間を過ごしました。
12月
10月からコツコツ進めてきた葡萄酒倶楽部とのコラボレーションビール"Kafoh"がついにリリースに。同店はオーナーが帰国するまでの間借り営業で、今年の年末で遂に閉店に。最後に地元のぶどうを使ったビールを作りたい、と店主のかほちゃんに相談されたことが今回のコラボのきっかけです。長野県小諸市のGetta Winesの上田さんにご協力いただき、Sauvignon blancとGamayの2種類のぶどうの絞りを終えた果皮を使わせていただくこととなりました。ぶどうの果皮を使うのは初めてだったので、色々なワインやビールを飲みながらイメージトレーニングをして仕込みに挑みました。出来上がったビールは素材の良さを感じる豊かな味わいで僕自信もとても気に入ってます。およそ2年間ビールつくりをしていて今思うことは、良い素材を使うと自然と酒はうまくなるということ。当たり前のことでもあるのですが、なかなか麦とホップからはそういうことが感じ辛かったりするのもまた事実です。また今回のコラボレーションを通してワイナリーや畑をいくつか訪ね、現場の風景を肌で感じられたことはとても良い勉強になりました。パシフィックの未来につながるようなヒントもたくさんあり、またまたやりたい事がひとつ増えたのでした。
次のタップルームはいつ?と言われ続けて気づけば12月。年内滑り込みということで重い腰?を上げました!せっかくなので心地の良い空間を作りたい、という思いからたくさんの出店者さまにご協力いただきました。フード部門はTyson PizzaとNEWROSE。それぞれの定番メニューはもちろんのこと、この日のために作ってくれた夢のコラボピザQuattro "MLC"は最高でしたね。Kafohを一緒につくった葡萄酒倶楽部にも国内外のナチュラルワインやホットワインなどを提供していただきました。僕自信もそうですが、クラフトビールもナチュラルワインも分け隔てなく飲んでる方もだいぶ多くなってきたように思います。料理やシーンに合わせて飲むお酒を選ぶというのは実に贅沢なことでもあると思うのです。飲食スペースとなる空き地にはWAO!!に協力していただき立ち飲みカウンターWAOSK!!を設置していただきました。色々なイベントに行くたびに感じるのは食べたいものはあるけど、ビールで片手が塞がって食べれないということ。せっかく美味しい料理が揃うのだから快適な飲食をしていただきたいと思っていたし、せっかくなら気分の良いテーブルがあればと思っていたので願ったり叶ったりです。そしてブルワリー内ではumu.による"Painting with Flower Exhibition"として醸造釜を季節のお花で装飾していただきました。世界一大きな花瓶なんじゃないかと思うほどの存在感のある装飾は、名脇役といった具合に会場を華やかなものにしてくれました。また今回のようなことを、自然な繋がりのあるローカルの方たちと取り組めたことはとても嬉しいことで、少しずつ変化していくこの町の今を表現できたのではないかと思っています。タップルームの営業後は恒例となっているカナリヤでの打ち上げも。せっかくなのでと仲間たちにも声をかけ大忘年会を開催しました。様々な人が集まり、自然な交流も生まれ双方の刺激になっていたのならばこれ幸い。そして何より、楽しい夜でした。
タップルームでも活躍中?のブルワリーの2軒隣にある空き地。これまで日ごとでお借りしていましたが、この度正式に借り受けることとなりました。ひとまずは倉庫スペースを拡張し、資材や空き樽などを保管する場所として、効率的な発注を行うことでそれらのコストを下げることが狙いです。そしてゆくゆくは容器内二次発酵用の部屋を設けたりして、更なるビールつくりの幅を広げていく予定です。
東京の酒屋界の雄"Caliquors Tokyo"の白石さんとカナリヤによるイベント、百升組み手にも遊びに行ってきました。百升ってまたまた〜なんて思ってましたが秘蔵ストックも含めて本当に百升持ってきたことには驚きました。酒を飲ませるカナリヤのフードメニューからも本気度が伝わり、こちらも臨戦体制。普段なかなか出来ない飲み比べを中心に心ゆくまで燗酒を堪能しました。好きなことや、やりたい事が明確な両者。そしてその経験から実現力もハンパじゃなく、ただただ圧倒された夜でした。
年末も近づき、パシフィックチームで忘年会も開催。日頃お世話になっている恵比寿の"創和堂"さんにお邪魔させていただきました。凛としたスタッフの方々の雰囲気やプロの仕事ぶりを見ていると毎度こちらの背筋も伸びるのです。料理とお酒をとことん楽しめるお店で唯一提供しているクラフトビールはパシフィック。改めて料理との相性を再確認したり、色々なお酒を飲んで英気を養ったのでした。そして、メンバーが増えて自分の役割も変わってきたのかな、なんて感じる場面も。とにもかくにもみんな一年間お疲れさまでした。
年内最後を飾るビックイベントは物件の契約。そう、この度茅ヶ崎駅からほど近い場所でお店を始めることにしました!前々から茅ヶ崎でもっと色々なビールが飲めたら良いななんて思っていたのです。縁あってこの夏頃に今回の物件と巡り合い、諸々の調整を経て遂に契約となりました。順調に行けば来年の春頃にはオープンの予定です。なんでお店をやるの?なんて話しはまた今度じっくりとさせていただきますね。
最後に
一年って700日あんねん。なんて言いたくなるほど濃密な一年を過ごさせていただきました。
こうして振り返ってみると、とにかくたくさんの"人"が登場します。結局のところお金とか地位とか名誉なんてもの自体には大した価値なんてなくて、人との繋がりの中で生まれるコミュニケーションや関係にこそ価値があるのだと思います。有難いことに自分たちの周りには本当に素敵な人がたくさんいて、その多くがビールを通して形作られた関係だったりします。ビールには人と人の繋がりや関係を円滑にする働きがあるなということを実感しますし、それはつまり僕らがつくった一杯のビールがどこかでそんな役割りを果たしているのかもと思うと、実にこの仕事が誇らしくなるのです。
冒頭にもありましたが、今年の目標の一つにパシフィックらしさ、つまり「海を越え、山を越え、ビールと旅するブルワリー」を体現するような年にしたいという思いがありました。それに偶然も重なり、とにかく外に外にと目を向けた一年であったとも言えそうです。その結果ビールを軸とした人との繋がりを再確認できましたし、コラボビールなどを通してたくさんの刺激を受けました。来年はそんな外から得たエネルギーをきちんと咀嚼し、自らの成長に繋げていくような一年になったら良いなと思っています。今年と比較するとより内面的な成長を遂げる年とも言えるかもしてません。
とは言っても決して殻に閉じこもるつもりでは無いのでご安心くださいね。すでに楽しくなりそうな出来事が僕らを待っているのだから!
大変長くなりましたが、今年の振り返りはこれでおしまい。
日々、ビールを飲んでくれている方々、それらを届けてくださっているお取り扱い店の皆さま、そしてかけがえの無い仲間たちと、とにかく全ての人に大感謝です。
まだまだ未熟な僕らですが、来年もどうぞよろしくお願いします!
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