山陰の旅④
【3日目】続き
神社めぐりを終え、そこからVIVANTでも取り上げられていた「たたら」の里に向かいました。雲南市吉田町にあり、『もののけ姫』の舞台となったところだそうです。
向かったのは、VIVANTの乃木家のモデル櫻井家住宅ではなく、奥出雲のたたら御三家でいちばん規模が大きかった田部家所有の菅谷たたらの里です。
最盛期には3万人が従事していたというたたら産業の玉鋼も、明治に入り外国から質は落ちるが量で優る洋鋼に勝てず、昭和に入ってその火が完全に消えてしまったそうです。
ただ、近年復活の兆しもあるのだとか。
田部家ではたたら操業当時の建物などが比較的多く残されていて、現在菅谷たたらの里として公開されています。
このように残っているのは今や全国でもここだけだそうで、ガイドのおじさんが詳しく説明、案内してくださいました。私達のほかにもう一組が見学に来られていて、一緒にお話を伺いました。
そのたたらの里から下ってしばらく行くと、田部家の白壁の土蔵群と鐡泉堂というお店があります。土蔵群の奥には現在25代当主の本宅があり、鐡泉堂には玉鋼を使ったゴルフのパター(古閑美保など有名ゴルファーのサインがありました)や地元の陶器などの産品が展示されていました。
お店の女性がとても親切で、これまでの歴史や田部家がこれから地元振興のために行おうとしている事業のことなどを説明して下さいます。
お話を聞きながら、たたらをもっとこの地方の観光資源として活用して、田部本家のおうち拝見ツアーとかがあったらいいのに・・・と内心思っていると、
なんと既にあのトワイライトエクスプレス瑞風のルートになっているとか!
そのときは通常非公開の庭園なども特別に拝見できるそうです。(道理で、訪れる人があまりいなさそうなたたらの里が綺麗に整備されているはずだ)
でももっと活用した方がいいと思う。この文化財を埋もれさせておくのは勿体ないです。
田部家では地元吉田町の振興のために今いろいろ計画があって、すでに始まっているのは鶏を平飼いする卵農場があってその卵を使ったお菓子を作っていたり、お蕎麦屋さんがあったり。そのほか温泉源もあるので宿泊施設を作るなど計画しているとのことでした。地元に産業を根付かせて、若いひとびとの働く場所を作りたいという目的があるそうです。当代はまだ40代半ばということで、これからが楽しみですね。
ここを紹介してくれた彼にお礼を言うと「田舎には磨けば光るすごいものがたくさんあります!それを知ってもらうことができて良かったです」と返事が返ってきました。
たまたま、旅から帰ったタイミングで松本清張の特集番組をNHKのBS番組で観ました。
そこに出てきたエピソードのひとつがやはり島根県の大田市で、地域に産業を根付かせている事業家の話でした。創業者の中村俊郎さんが中村ブレイスというアメリカで学んだ義足などを作る知識と技術を生かす会社を地元で興し(当初は都会でやるべきだと猛反対を受けたそうです)、とにかく地元にこだわって雇用を創り、廃屋寸前の建物をよみがえらせて社屋や社宅にし、今では60棟を超える建物がお店や宿泊施設などに活用されているということです。とても素敵な光景でした。
島根、なかなか奥深いなぁ。
話は逸れましたが、紹介してもらわなかったら絶対に訪れなかったところから、思った以上の感銘を受けました。本当に山の中なのですが、せっかくの日本の文化をもっとみんなに知ってもらいたいなぁと思います。
そして、私もほぼ初めて山陰地方を訪れたのですが、とても豊かな時間を過ごすことができました。
今度は窯元めぐりもしたいし、奥出雲をもっとゆっくりまわりたいし、松本清張ゆかりの大田市にも行ってみたくなりました。
天ぷらも美味しいと教えてもらっていたお蕎麦屋さんへ行ってみたら、臨時休業で残念!(今回、ランチ運がちょっとなかったかも。。)
それではと、たたらば壱番地という道の駅へ向かい、そこで出雲名物の割子蕎麦と蕎麦アイス、蕎麦ぜんざいをいただきました。あまり期待していなかったのだけど、結構美味しかった!お土産物も地元産品の農産物などもあり、仁多米やおもちなどもありました。あまり規模は大きくないけど、良いところでした。
インターチェンジも近かったので、ここから帰途に就きました。
途中休憩を入れながら、4時間弱。やっぱり島根は遠いな。(苦笑)
でも、とても楽しく有意義な旅でした。絶対、また行きたいです。
田舎は嫌いとか言っていた、過去の私が聞いたらビックリするかも。(笑)
でも、ひとは成長するのだ。(知らんけど)
今回の旅のもうひとつの目的は、愛車VOLVOでのロングドライブでした。
往復740㎞ちょっと走ったけれど、腰が痛くなったりせず疲れ知らずのシートが素晴らしかった!この旅行のためにタイヤも交換したしね。
これがVOLVOでなかったら、きっと寝込んでいたかも。また行こう!
おしまい。