ありがとう、貸切公演!RRR/ヴィオレトピア 遠征と収穫
宝塚歌劇を見たことない家族に、初めて宝塚を見せることができた。
プリマハムとコーナンのおかげだ。
各企業が劇場を貸し切って、顧客を招待する貸切イベントに当選したのだ。
当選当初から「すごいラッキーうれし~」とは思っていたものの、いざ当日を終えて振り返ると、しみじみありがたい企画だと思った。
いくつか理由があるが、まず一つ目は、久々に母と小旅行ができたこと。
私は現在関東に住んでいて、実家は東海地方。たまに帰省はするものの、子供もいるし、何より退職後ずっと寝転んでる父のぐちでも聞いてあげたいが、なんせずっとリビングにいるから実家ではそんなことも難しい(笑)
そんな母と新大阪で待ち合わせして、カフェに入ってお茶をして、電車に乗って宝塚へ。二人だけでつらつらと何でもないことを話しているうちにあっという間に宝塚。
高校生の頃、リビングで頬づえついて、カウンターキッチンごしに好きな先輩の話を聞いてもらっていたあの頃と、いくら年齢を重ねても親子の間の空気は変わらない。
正直、一泊二日の電車旅で70超えの母にはハードな移動だったろうに、久々に“家”から開放されて伸びやかに過ごす母と共にいられた時間は、ここ数年でもじんわりあたたかな思い出になった。 こんな機会でもなければ、子供も家もなしに二人で出かけるなんて、意外とチャンスがないものだ。
母は、去年御園座の雪組ボニー&クライドに招待して以来の2回目の宝塚だった。
初めてのムラで、星組のRRRとヴィオレトピアを堪能したのはもちろん、あと何回持てるかな、とぼんやり思っていた母娘との二人だけの時間を過ごせたことがまた、うれしかった。
二つ目の理由は、宝塚歌劇に興味を持っていない層(私で言うと妹)を宝塚に出会わせることができたこと。これ、すっごく大きい。
登山にサイクリングにとアウトドアな妹に対し、用がなければ家にこもっていたいタイプの私は割と何もかも正反対だった。私は読書が好きだけど妹は大キライだったり、お笑いは好きだけど好きになるコンビは全然違ったり。
そんな妹は特に舞台には興味はなく、でもバレエやフィギュアスケートはテレビで見る分には好き、なアンテナ具合。姉がヅカオタとして見せる片鱗に多少引きながらも受け入れる、そんな感じだった。
それ故特に興味もない舞台をわざわざ見に行こう、とはならない。でもRRRが発表されたときは「みたい!」と言っていた。
チケ難を懸念した私は「これは取るのがかなり難しい」と牽制していた。
しかし、今回幸運なことにペアチケットをもらい、妹に声に声をかけると二つ返事で行く!と返ってきた。
当日までわくわくLINEを交わし、開演前の一時間でトップスターの礼真琴さん、トップ娘役の舞空瞳さん、二番手男役の暁千星さん、だけ頭に叩き込んで開幕を迎えた。
黙って隣りに座っているだけでも、ナートゥに熱くなり、黙っていた客席降りの存在にびっくりしている様子がよくわかった。なんならヅカオタよりめっちゃ拍手していた。
RRR終わって、なこちゃんがめちゃくちゃかわいい、とときめいていた。極美慎くんの顔の小ささと足の長さに「おかしい」と狼狽えていた。礼さんの上手槍回しに驚いたようで、もう一回みたいと翌日の母のチケットを狙い始めた。
姉の宝塚への没頭具合に引き気味だった妹だが、一度体感して何が姉をそうさせるのか、わかってくれたようだ。妹はもう宝塚をご存知になった。
これが本当に、収穫に感じた。
なにかの食指が動いて自ら宝塚に飛び込んで来る人もいる。でも大半の人は舞台観劇と交わらないまま日常を過ごす。
一枚の貸切招待チケットが、そんな無興味の中の一人を、ご存知な一人にしてくれた。
一生無縁で過ごすかもしれない舞台との出会いのきっかけとして、素晴らしい企画だなと思う。
無料招待なので誘う方も誘いやすい。
すっかり“宝塚もいいな”と感じたらしき妹には、星組が希望だそうで、ロックオペラモーツァルトの円盤を郵送したところだ。
また遠征して、次も姉妹で連席できる日が来るかもしれない。
せっせと毎朝香薫を食べ、日用品から多肉植物、ひいてはペットのカエル飼育用品までコーナンで買物した甲斐があった。
プリマハムさま、コーナンさま、貸切企画、ありがとうございます。
わたしの好きなものに家族が近くなってくれたこと、とってもうれし楽しかったな。