【クモの足を再利用】クモの死骸でロボットグリッパーを開発したぞ

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202201174

あらゆる死体の良いところを組み合わせて、一つの個体を仕上げたら、すごく強いんじゃね? というアイディアはよくよく創作には使われているけれども、なかなか廃れないし、バトルもので出るとまあ、だいたい負ける。

人造人間というカテゴリで一番古いのはフランケンシュタインだと思うけれども、もともとはフランケンシュタインって博士が人造人間をつくったって話で、フランケンシュタインそのものが怪物では無かった。時を経て、あの怪物がフランケンシュタインという認知が広まってしまったらしい。

ちなみにフランケンシュタインの原作者はメアリー・シェリー。20歳の時にこの作品を書き上げた。

そのフランケンシュタイン博士が作った人造人間は、とびきりいい肉体を備えて、優しい心を持っていたけれど、姿があまりにも醜かったので博士にも嫌われてしまったという。そこまで醜かったのかと思うけれども、自分だったら、人間のかたちをしていれば十分じゃないのかなと思ってしまう。

たとえば、指先をクモの足にしてみたら、足を馬にしてみたら、なぞと考えてみるとおぞましいかもしれないけれども、それはそれでかっこいいのでは。


アメリカ、ライス大学の研究チームは死んだクモの身体を使って、ロボットグリッパーを開発した。

クモは死んでしまうと足を内側に丸めてしまうが、それは身体の体液を使って足を動かしているからで、いわゆる油圧式ポンプのような構造をしている。クモの足は、人間のように屈曲に対して、進展するためにある拮抗筋が存在しない。足を縮めるだけの筋肉だけがあり、死んでしまえば体液がなくなるので縮むだけになる。

研究チームはこの特性に目をつけて、死んでいるクモに圧力をかけ手足を開閉させることで、アームが作れないか考えた。体液の代わりに空気を送ることで、油圧式ポンプの機構を構築した。

クモを低温で死なせておいて、クモの口に注射器を固定。空気を送ることでクモの足は開くことが出来た。

こうして出来たクモのグリッパーはどれくらい持てるのか実験をしたところ、自重の1.3倍以上のものを持ち上げることが出来た。

この研究はネクロボティクスといって、無傷の生物の身体をアクチュエータとして使用するもの。生物から複雑な工学的アイディアを得ることとは対称的に、生物そのものを使ってみようということ。

この手の話は命をもてあそぶ所業に見えて、嫌悪感を示す人もいるだろうけれど、そういう倫理観を抜きに考えれば、一見いびつに見えても伸びていく分野として有望なのではと考えもする。

たとえば、タコの足を自在に動かすことが出来たなら、深海探査の研究も少しは捗ろうもの。スパイダーマンみたいにビルをのぼるには指先にクモの手足があれば、出来るかもしれないわけで。人間の考える倫理観を無視してしまえば、科学はどんどん伸びていくんだろうけれど。


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