【会話でパーキンソン病を診断】言語処理能力を測ってパーキンソン病患者との比較をしたぞ

高齢者と話す機会がよくあるので、いろいろと会話をするのだけれど、大体同じことを繰り返すことがよくある。自分が話していたことを忘れてしまうのか、それとももっと伝えたいことがあるのかもしれない。

とある整体の大家が同じことをしゃべる人は伝えたいことを伝えきれていないからだと本に書いていた覚えがある。つまり、いま話したことの他にもっと大事なことがあるのだけれど、言語化ができていなくて、同じことばかりを伝えてしまうのか。

同じ話をしてしまうのは、割と健常者でもよくある話。まあ、若い人はどうでもないけれど、所労あたりになるとその傾向が顕著に現れるのは事実。

語りはじめに「あー」「えー」から、言い出す人も若い人で一定数いる。


名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学、国立長寿医療研究センターの研究グループは、愛知県立大学情報科学部、豊橋技術科学大学情報知能工学系との共同で神経変性疾患であるパーキンソン病に関する研究、解析を行ったところ、会話内容の解析を行うことで、パーキンソン病患者の会話の特徴の把握と、自由会話テキストからのパーキンソン病の診断の可能性を検討した。

この研究は認知機能が正常なパーキンソン病患者53名と健常対象者53名の会話を録音し、その内容を文章に書き起こした。つぎに、書き起こしたテキスト情報について自然言語処理を用いて分析し、機械学習アルゴリズムを用いて各グループの会話の特徴を明らかにすることを試みた。

この解析により、パーキンソン病患者は健常者との対照群に比べ、1文あたりの品詞数の数が少ないことがわかった。また、会話文全体での動詞の割合、格助詞の分散、1分あたりの同士の割合が高く、1分あたりの普通名詞、固有名詞、フィラーの割合が低いことがわかった。フィラーとは、「えーと」「あのー」などの間をつなぐための意味のない文句。

この会話の変化を利用して、パーキンソン病患者または健常対象者のそれぞれの識別を試みたとき、その識別率はそれぞれ80以上だった。

この結果から、パーキンソン病の患者は認知機能低下がなくても健常者と比べて異常があることが示唆された。

とはいえ、つねに語彙力が衰えないように気をつけて学習する姿勢はいいけれども、その態度が直接アルツハイマーの予防につながるわけじゃない。
高齢者福祉施設に働いている人はうすうす感覚的にわかっていたのではとは思う。

パーキンソン病はいまのところ不治の病ではあるが、早期に診断ができれば、対応できる選択肢を多く選べるだろう。診断する目安としては、もっと明確なものが必要じゃないかと思うけれども。当人の語彙力が最初から乏しければ、この判断は難しいだろうし。

#日本の研究

いいなと思ったら応援しよう!