クモの糸を初めて再現したよ
クモの糸はフィブロインというタンパク質が主成分で硬い部分と柔らかい部分がある。
以前からクモの糸はとても強靱と知られていて、引っ張り強さは鉄の6倍、耐亀裂性はケプラー繊維を越える。ケプラー繊維は防弾チョッキにも使われている。しかも耐熱温度は300度。
それを大量生産に成功して、繊維を作って服を作った企業がある。スパイバーってところ。
クモの糸を量産するってのは、簡単にはいかなくて、縄張り意識の強い凶暴なクモがおとなしく糸を作ってくれるわけでなく、養蚕みたいに箱に入れて巣を張って貰うというなんてできない。
で、この企業は何をしたのかというと微生物を使って、クモの糸を生産した。簡単に聞こえるけれど、クモの糸を遺伝子解析して、遺伝子配列と同じものを人工的に作って、微生物が糸のタンパク質を作りやすいように調整した。
というわけで、今回は理化学研究所(リケン)環境資源科学研究センターバイオ高分子研究チーム、慶應義塾大学先端生命科学研究所の共同研究グループがクモの糸の階層構造を人工的に再現することに初めて成功。
クモの牽引糸構成するシルクタンパク質の分子機構をしらべたら、タンパク質が網目状の微少な繊維を形成することを発見。
これで媒介なしに人工クモの糸が生産できるのかなと思ったら、天然には及ばないらしい。まだ基礎段階なので、人造品はしばらくかかるかな。
とはいえ、スパイダーマンみたいにクモの糸を自在に出せるようになったら、意外と世界が変わっていくかもしれない。簡単に破れない強靱なジャケットもちろん、インナーも作ることだってできるし、火災現場や災害による崩落現場ではこの糸を使って、落下しそうな器物をいち早く固定するなんてこともできそう。
自然に学ぶことがまだまだあるのね。
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