【エベレストに休眠していた細菌】登山者が残していた細菌は何世紀も生き延びるかもしれないぞ
生き物の身体には常在菌が生息していて、宿主にはあまり悪さをしないけれど、外敵が来たら守ってくれるようにできている。だから、あまり手を洗いすぎると常在菌を洗い流してしまって、外敵のよくない菌がやってきたとき、守り切れずに侵入を許してしまうこともある。
何事も清潔で無きゃいけないのは病院の手術室とかパン工場とかで、清潔が過ぎるのはやっぱりよろしくない。免疫ができるためにも、普段からちょっとは汚れておいた方がいいだろう、多分。
かつて栄華を誇っていたインカ帝国は天然痘という疫病に滅びてしまった。それは外国のスペインから持ち出してきたウィルスで1000万人いた人口が130万人まで激減していた。スペイン人はすでに免疫を得ていたので、発症はしなかったという。
これが意図的にやっていたら、間違いなく大虐殺であるけれども、違う場所では、文明人がしらずに未開の現地人と交流をしたおかげで、現地民に被害を与えてしてしまったという話もあって。相手によっては自分たちが爆弾のようなものだったと気づくのはことが起きてからだったりする。
アメリカ、コロラド大学ボルダー校のスティーブ・シュミット氏によるとエベレストの微生物群には人間が残した微生物が凍結されていると述べている。誰かが鼻をかんだり咳をしたりするだけでも、凍結されたまま残っているかもしれない。
日常で自分たちがくしゃみや咳をすると、周囲に微細な菌の雨を降らせることになる。そこがエベレストだった場合は、雪や氷の上に降り注ぐことになる。研究者の予想から外れていたのは、これらの微生物がエベレストの凍った土の中に休眠しており、ずっと生き残っていたという。
ネパールの南東稜からエベレスト登頂を目指す数百人の冒険家が毎年テントを張るサウスコルのベースキャンプから170メートルの地点で土壌サンプルを採取した。
この土壌を分析すると、微生物のDNA配列が明らかになった。そのほとんどが高地で生存するのに適した「極限好気性」の生物に属していた。しかも、エベレストでの高濃度の紫外線、低温、水不足に耐えることが出来ない人間に関連する微生物のDNAも発見された。
今回の発見は環境に大きな影響を与えるとは考えておらず、将来の宇宙旅行が始まる前に、惑星の影響を考慮する注意を喚起するものだという。
もしかしたら、宇宙旅行でたどり着いた他の惑星には実は生命体が眠っていて、我々がなんともない常在菌にことごとく弱いものであったら、たちまち絶滅させてしまうことストーリーも考えられるわけだ。
そういう映画が実はあったんですよね。もうあっけない結末でしたが。