洞窟の中で40日間暮らした15名が無事帰還。もうちょっと過ごしたかったそうな。
電気や電話や科学が生んできたものは、文明のくさびとなって、人間は後ろに戻れなくなってしまった。いまさら、原始人みたいな暮らしに変えていくことは不可能に近い。個人のレベルならできるだろうけれど、国民全体がそれをできるのかというと無理な話。
暗闇があったからこそ、好きなときに眠って、好きなときに起きられた。今はそれができない、我々の生活は刺激だらけの暮らしで、静かに暮らしたくても誰かが騒いでくれる。
時計、日光、外部からの通信を無くした状態で時間感覚がどのように影響するのか調べる実験で、フランス南西部にある洞窟に40日間15名のフランス人がそこで生活した。
DeepTimeというプロジェクトの一環として、このグループは洞窟に住み、探索をする。自然光は届かず、気温は10度で相対湿度は100%。相対湿度というのは天気予報で言う一般的な湿度のこと。
このグループは外の世界の情報は全く聞こえず、パンデミックに関する情報も友人や家族とのコミュニケーションも無かった。
この実験の結果、洞窟の中の人々は時間の感覚を失っていた。
無事に戻ってきた15人に聞いてみると、感覚的に30日間入っていたと証言。他の人は23日と推定していた。
フランスとスイスの研究所で協力して、科学者は15人のメンバーの睡眠パターン、社会的相互作用、行動反応をセンサーによって監視。
暗闇の中で自分の体内時計に従って、いつ起きて、寝て、食事をするのかを決める。時間という区切りがないので睡眠サイクルで生活していた。寝たいときに寝て、おきたいときに起きる。今となっては贅沢な時間だ。
参加者の2/3はもう少しとどまりたいと希望していたという。
日本人は時間に正確に動いているけれど、この時間という区切りから解き放たれない限り、幸せの水準が上がってこないんじゃないかなと思ってしまった。
今ひとたび、狩人のような生活に戻るべきなのだろうか。
そのためにはスマホを捨てなきゃいけない。それは無理。