アメーバの能力から新型コンピュータを
昨日の記事にアメーバは迷路を解いてしまうぞと言う話を書いたんだけれど、北大がこの能力から着想を得て、「巡回セールスマン問題」を解決するコンピュータを造ってしまった。
都市の集合と各都市間の移動コストを与えられたとき、すべての都市を一度ずつ巡って元に戻る巡回路を一番最小にする問題。
セールスマンが巡回する様子に似ているのでこういう名前になった。
これはなにが難しいのかというと、都市の数が増えると最適解を求めるのが大変になってしまう。従来型のデジタルコンピュータはこの組み合わせ問題がすごく苦手、アルゴリズムを用いても決定的な解法は見つかってない。
しかし、これをどうにかひょいと解いてしまうが、粘菌。アメーバは迷路を最短距離でむすんでしまうことができるほか、平面に置かれたいくつかのポイントの最短距離をむすぶことができる。
そこに目を付けたのが北海道大学。北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センターの研究グループが、amoeba energy株式会社と共同で新型アナログコンピュータを開発。巡回セールスマン問題を解くことに成功。
アメーバの行動に着目して開発した「電子アメーバ」が巡回セールスマン問題を迅速に解を導いた。量子コンピュータで力業に任せてしまう提案があったけれども、やっぱり実用上難しいという。
この電子アメーバならシンプルにコンパクトに扱えて、消費電力も低い新しい原理コンピュータにつながるのではと期待されている。
この問題はセールスマンが助かるという話じゃなくて、交通網の構成やインターネットの配信や水道、ガス管の配備にも役に立つ。物理的なインフラは資材もなるべく少ない方がいいしね。
マザーボードの配線もこれを使ったら面白いかな。たいした違いは無いんだろうけれど、生体感のある生々しいものが出来たりしないだろうか。なんて。