ヤシガニすごいぜ!
人類は科学を進めて、様々な物質や素材を開発してきたけれど、まだ自然から学ぶことがいっぱいあって、たとえば、コブゴミムシダマシは車にひかれても丈夫な殻を持っている。
この甲虫は層状のジグソーパズル状構造のジョイントが組み合わさったようになっていて、強い靱性を発揮している。こういう天然素材は未だに再現できない構造らしい。
国立研究開発法人物質・材料研究機構 構造材料研究拠点は一般財団法人沖縄美ら島財団総合研究センターとの共同で甲殻類最強の「ヤシガニ」のはさみが持つ強靱な組織、組成、堅さを調べ、複雑な構造を三次元可視化に成功。
このはさみは鉄鋼並みの薄い層と柔らかいクッションのような役割を担う多孔質層による「剛」と「柔」の複雑構造をしており、軽くて強靱。
ヤシガニは国内だと沖縄県に棲息しており、貝殻を持たないヤドカリから進化した甲殻類陸上最大級の希少生物。ズワイガニやタラバガニよりも固い殻を持っている。
最大サイズの4キロ級のヤシガニは360キロの把持力を持っていて、ライオンの咬筋力の同じくらい。把持力というのはつかむ力のこと。
研究チームはヤシガニのはさみを調べて、内部の組成や固さの変化、複雑な微細石構造の3D表示に成功。
はさみは鋼鉄並みの固さ。固い部分は薄くて固い石灰化されたそうで作られていて、それぞれの層は厚さ方向に水平に回転するねじれ構造となっていた。これらの層が100枚ほど重なっていて、一部が割れても硬い層がいっきに壊れない仕組み。
固い部分の内側は外側よりも柔らかくて多孔質。クッションのような役割で力を吸収し、はさみ全体が壊れないようにできていた。
この構造が再現できたらたいしたものだな。解体に使う重機のハサミなんかにこれが応用できたら、解体工事がはかどりそう。しかも、壊れにくいからはさみの交換コストが案外安くなるかもしれないね。