脳腫瘍の手術前後で感情と身体内部感覚が変化する
脳と心はつながりがあるのだろうかと問われたら、まあ、関連はあるだろうなと考える。
悪名たかき脳外科手術として、ロボトミー手術というのがあって、精神病の患者にそれを施して、外科的に改善させる。大脳の前頭葉をちょんと切り取ってしまうわけだけど、興奮、緊張などの症状が軽減した代わりに、無気力になるわ、受動的になって、意欲が欠如し、感情反応の低下が起きてしまった。
古くは古代インカ帝国の時代にも、脳の外科手術が存在していた記録があって、頭蓋骨に外科的に穴が開けられた遺体が見つかる。穿頭術といい、トレパネーションと呼ばれているこの技術は、穴を開けた後、皮膚を縫合して開けたままにする。脳の血流量に変化が起きて、大麻や幻覚剤と服用したときやヨガの呼吸法を行ったときに起こることが永続的に生じることができるんだそうな。
慶應義塾大学文学部心理医学研究室、名古屋大学医学系研究科脳神経外科学の研究グループは脳腫瘍患者に対する摘出手術の前後に感情認識能力の検査を行い、能力の低下が内受容感覚の低下と関連していることを明らかに。
つまりは脳腫瘍の手術で摘出した後は感情が薄くなって、ドキドキやそわそわすることが無くなってしまった。
心の動きが身体の感覚とつながっているというのは、自分たちが使っている言語の中に備わっていると言うこと。怒りたくなったら、腹が立つ。怖くなったら、背筋が寒くなる。嫌な予感がすると胸騒ぎがする。
感情の反応に関わっていたのが、島皮質(島回)であると考えられていて、ここを切除すると感情を感じづらくなるという研究報告を行っているという。
この島回が感情と肉体感覚をつなぐ場所であるというなら、今後の手術において、重要なポイントになるんだろう。
逆に言えば、ここのコネクションを強化すれば、感情的な反応を大きくすることもできるのでは。でも、そのチューニングはちょっと難しそう。