アスベストのがんの特効薬。ヒトでの臨床試験を開始。
自分が小学生の頃には石綿の有害性を教わっていたけれど、どこまで深刻なのかはよくわかっていなかった。小学生の時に学校の階段の天井に何かモヤモヤしているものがあったけれど、誰かがアレは石綿だ!って、叫んだら、みんな息を止めてその場を走り抜けた。今、思い出してもアレが石綿だったのかは定かではない。そんな、露出した状態で石綿を学校の天井に塗りたくるものだっただろうか。
石綿は耐久性や耐熱性があり、それでいて安価であるから「奇跡の鉱物」と呼ばれて重宝された。建築材料や自動車、家庭用品などの用途に幅広く使われた。
ところが、この石綿の繊維が空中に飛散して、人間の肺に入ってしまうと肺がんや中皮腫の誘因になることが指摘されるようになり「静かな時限爆弾」と呼ばれるようになったという。
その昔、古代エジプトでもミイラを包んでいたそうな。日本では平賀源内がこれを秩父山で発見し、火浣布と名付けて幕府に献上したという。
広島大学大学院医系科学研究科・細胞分子生物学研究室の研究グループは株式会社スリーディマトリックスとの共同でアスベストが原因で発症する悪性胸膜中皮腫に対して、治療効果の可能性がある抗がん剤の開発に成功。
悪性胸膜中皮腫とは、未だに有効の治療法が見つかっておらず、発症してから余命が約1年ほどという難治性がんの1つ。
共同開発した抗がん剤は天然型マイクロRNAを薬効成分とするもので、モデルマウスに対して腫瘍の縮小と延命効果が見られたとのこと。
Wikiを見る限りでは石綿の製造や提供、輸入、仕様など取り扱いは禁止されているけれど、すでに建材として使われている状態では禁止規定に適用されないという。
解体工事などによる粉塵が飛散することで、建築業者は中皮腫になる人が未だに増加している。
潜伏期間が存在していて、名古屋大学のプレスリリースによると2025年でピークを迎えるという見通し。
マスクをしたところで限界はあるものだし、長く働いて、あとあとになってがんになってしまっては。
ようやく人の臨床試験が始まったばかり、いい治療法になるといいけれど。これがうまくいったら、よその国でもきっと役に立つだろう。