【ホタルのコミュニケーション】ヘイケボタルは「またたき」で会話するぞ
少し遠いところに親戚がいて、子供の頃にはよく遊んでもらったのだけれど、当時うちに来るときにホタルを捕ってきてほしいとわがままを言ってしまった。
あのころは、それが大変なことだと全然知らないで、持ってきてもらったときにそれは喜んでいたけれども、従来の虫かごでは篭の目が大きくて、ホタルがひょいと抜けてしまって、すでに就寝中の部屋の闇を蛍の光がすーっと漂っているのを見た。
それをなんとなく見入ってしまって、捕まえてもきりがないので、逃げた分は捕まえて元に戻していたけれども、数日のうちに光るホタルはどんどん死んでしまって、結局あっという間にすべてが息絶えた。
火垂るの墓という映画があるけれど、本当にホタルはすぐに死んでしまう。捕まえて飼育するものじゃないから、やはりしかるべき場所で見学するのが一番だという結論に至った。
中部大学応用生物学部、慶應義塾大学理工学部の研究チームは、ヘイケボタルが光のまたたきを使ってコミュニケーションを行っていることを明らかにした。
ヘイケボタルは日本全国や朝鮮半島、中国北部などの分布し、7-8月ごろに水田や湿原で見かける。特に草の上に止まっている雄が点滅発光するときの光に、数ミリ秒の「またたき」を伴っている。
蛍の成虫は、光を使って、オスとメスがコミュニケーションを行っている。このとき、その光り方の違いがお互いが同種であることや異性であることを見分ける情報となっていることが過去の研究でわかっていた。
ヘイケボタルはオスもメスも「またたき」をともなう点滅発光をすると観察されていたが、これがどういう意味なのかわかっていなかった。
研究チームは愛知県知多郡東浦町の水田地域で野生のヘイケボタルをビデオ撮影し、その動画を分析した。
その結果、草に止まっている蛍には「オス」「未交尾のメス」「交尾済みのメス」の3タイプがいて、それぞれが異なる発光パターンを示すことが明らかになった。
そこで、ヘイケボタルと同じ黄緑色に光る小型LEDランプを使って、プログラミングにより、1回の発光時間とそのときのまたたきの強弱を変えた、人工蛍の光を作り、野外に設置した。
そのデータを統計解析した結果、草の上にいたヘイケボタルのオスは、またたきが小さく、発光時間が短い光により強く誘引されてくることがわかった。
このことから、オスはまたたきがなく、1回の発行時間が短い発光パターンを交尾相手として見分けているという仮説ができた。
少なくともメスは発光で自分の居場所を押すに知らせているだけということはなく、ホタルの求愛システムの理解がより深くなれば、ヘイケボタルの保全活動において重要なヒントになるだろうとのこと。
ここ、数十年ホタルを見かけていないけれども、絶滅しないように知恵を絞ってくれる人がいる。保全活動として、誘引させてホタルのマッチングを仕掛けていくことができるかな。いずれはホタルを引き寄せる発光ライトとか製品化したら、見学者の前にいっぱいホタルを呼び寄せるなんてこともできそう。