【世界初 タコの脳波を記録】タコにデータロガーをくっつけたぞ
ジョジョの奇妙な冒険第4部で、人気のあった岸辺露伴のスピンオフ「岸辺露伴は動かない」のエピソードに禁漁区になっているクロアワビを密漁する話がある。
友人であるイタリアンシェフのトニオさんに頼まれて、ともに夜の海岸へと潜る2人。たくさんのアワビを収穫することに成功したが、そのクロアワビが体中にまとわりつき、2人は海中に沈んでしまう。
岸辺露伴が命の危機にとった行動とはそばにいたタコを操って、クロアワビを引き剥がすことだった。
タコは8本の柔軟で力の強い腕を持っていて、堅く閉められた瓶の蓋も開けられる知能を持っている。瓶の蓋にうまく摩擦力を持たせて密着させればうまく開けやすい。タコの吸盤ならその点全方面に吸着できるし、柔らかい筋肉組織で骨もないから、実に正しい方向で廻せられるだろう。
沖縄科学技術大学院大学の研究チームは、覚醒した状態で動いているタコの脳の活動を記録する方法を考案した。
研究チームは、電極と電気信号記録装置(データロガー)をたこに直接埋め込むことで、自由に動き回るタコの脳の活動を記録することに成功した。沖縄科学技術大学院大学の元ポストドクトラルスカラーでタマーグットニック博士は「脳の働きを理解するために哺乳類と比較する研究対象として、タコは最適な動物です。大きな脳と驚くほど特殊な身体、そして脊椎動物とは全く異なる発達を遂げた高度な賃値能力を持っています」
タコは、ナメクジやカタツムリなどと同じ軟体動物おいう大きな動物群に属している。脊椎動物とは異なる進化を遂げており、宇宙人のようであると昔からいわれていた。
タコの脳波測定は、技術的に非常に困難だった。脊椎動物とは異なりからだが柔らかいし頭蓋骨を持っていない。なので、記録装置が外れないように固定することができなかった。
しかも、8本の強くて柔軟な腕を持っていて、ワイヤーで固定しようものなら、引きちぎられてしまう。ということで、タコの腕が完全に届かないようにするために皮膚の下に装置を設置することにした。
研究チームは小型で軽量のデータロガーに目をつけた。元々飛行中の鳥類の脳活動を追跡するために設計されたもので、これを防水加工しタコの体内に収まりやすくするために小型化した。バッテリーも空気が少ない環境でも作動できるようにすると、最大12時間連続で記録することができた。
そして、一般に昼行性であるワモンダコをモデルに選び、3匹のたこに麻酔をかけると外套膜の筋肉壁にある空洞にデータロガーを埋め込んだ。手術後はタコを水槽に戻してビデオで観察した。
12時間の記録を終えて、記録したパターンを調査したところ、残念ながら特定の行動と結びつけることができなかった。しかし、グッドニック博士は動物に特定の学習課題を与えたわけではないので、全く驚くべきことではありませんと述べている。
タコをはじめ、多脚類って人間と違って運動神経の仕組みが大きく変わっているんだろう。その辺の解明がなされたらちょっと楽しそう。SFでは多脚マニピュレータなんかが出てくるけれど、人間の脳波では多分操りきれなくて、8本を独立して動かすのはすごく難しいと思う。
こういう欠点を補うためにタコの運動神経をまねた補助神経回路なんてものができたら、ちょっと想像が膨らんでくるね。
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