『それでも町は廻っている』
◾️漫画の概要
人情あふれる下町の商店街で、ミステリー好き、メイド喫茶アルバイトの女子高生が繰り広げるSFありの日常コメディ。
◾️おすすめ
初めて読む方にはレビューなどを見ずに読むことをお勧めします。はじめのうちは、商店街や高校のドタバタ劇やキャラクターの紹介などが中心でやや退屈かもしれません。基本は一話完結形式ですが、クセがなくすんなり入ってくる画風のおかげでどんどん読み進んでいき、前に読んだ話が気になり遡って読み返すようになると、沼から抜け出せなくなるのです。
この漫画は女子高生の3年間のある一遍を、一話ごとに切り取って展開されています。回をまたぐと急に髪が短くなったり、人物間の距離感も変わったりします。初見では気づきませんが、さらっと書き込まれている情報量は想像以上に多く、読み返して気づく各話のつながりは重層的に絡み合い、それぞれのストーリーラインを補完していきます。
フラッとでてくるキャラクターは「こういう人いるよね」といった感じで、ひとクセある彼らの説得力ある動きが各エピソードに血を通わせ、瑞々しさを保たせているように感じます。
個人的におすすめなのは5巻の「学校迷宮案内」。小学生の弟が学校新聞をつくるネタ集めという、一見地味なストーリーなのですが、緻密な話の展開の先には、トラウマ級のオチが待っています(笑)
各話ごとに落語的なオチがありますが、積もりに積もってエピローグで達成されるカタルシスは必見です!