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早さへの叛逆が間に合うための1歩目

 私は急かされるのがずっと嫌いだった。人間は成長し、社会性を帯びるほど、急かされやすくなる。駆けっこの順位や学業や仕事の成績のを上げることが要求されるからだ。他の動物ではそういうことはない。野生では急がないと死ぬ状況で急ぐことが大半だ。

 社会で行われるあらゆる急かしに対して、子供の頃から反発していたので、体育をサボったり、仕事や家事を教わっているときにミスを連発することで、怒りを表明していた。ミスは故意ではなかったが、「あなたの言う通りにやってもできないじゃないか」と思いながらやっていたので、当時はミスをしたがっていたのだと思う。

 システマではゆっくり動く練習をする。ゆっくり動けば、自分達が立って歩いて座ることさえまともにできていないことが表面化する。そんな状況で他のことをセカセカやれば、筋肉が緊張し、神経が圧迫されて興奮する。そういう興奮や緊張に対して、自分は今までずっと叛逆していたことに気付いた。

 叛逆の炎をパワーに変えて、ゆっくりでも間に合う世界があることを広めていきたい。ゆっくり動く練習をすれば、誰でもそういう世界があることを少しずつ体感できる。普通に立って座って歩けるし、重いものや人を背負っても、怪我しにくくなる。呼吸さえできれば、年齢や性別、障害の有無に関わらず、誰でも練習可能なのだ。

 炎は内側から身体を焼いていく。気付いたら、外に出すようにしているが、どうせ出すなら、良い力に変えて、エネルギーを回していきたい。


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