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Das Lehrerzimmer(「ありふれた教室」日本語タイトル) 2023 ドイツ映画

カタール航空機内で凄い映画と出遭いました!İlker Çatakという監督も初めて知ったのですが、ファンになってしまいそうです。

初めはドイツ語リスニングによいと思って軽い気持ちで見ていたのですが、途中から、聞き取れない個所は何度も戻して見る程見入ってしまいました。

ドイツ映画のレベルの高さを思い知らされました。ちょうどカミュの「シーシュポスの神話: Le Mythe de Sisyphe」を読んでいるのですが、まさに『不条理』という言葉がぴったりの映画でした。

「ドイツ」らしい映画かとも思いました。実際にドイツに滞在している時の、ドイツ人と一緒に仕事をしている時の、なんとも言えない「重苦しさ」「寛容のなさ」を想起させてくれました。

未だ自分のなかで消化し切れていない部分がたくさんあります。いろんな切り口があるかと思いますが・・・

「正しい」とはなにか?
他者の「不正」を告発(Denunziantentum :denunciation)するとは何か?
「罪」とは何か?
「嘘」とは何か?
告発する際、「証拠」とは何か?
「囮(おとり)捜査」は許されるのか?
「理想主義」とは何か?
寛容とは何か?
不寛容とは何か?
「99.999…% = 1」なのか?
「両者の間に隙間があると思う」と言った生徒の「感覚」は「誤り」なのか?
「数学的論理」とは何か?
「数学的論理」は「人間社会の論理」に通じるのか?
人間に「論理」を振りかざす資格はあるのか?
「論理」を振りかざす資格がある人間は誰か?
「論理」を振りかざす資格がある人間はいるのか?
「真理」とは何か?
「正義」とは何か?
「SNS」は「議論」「民主主義」の手段たり得るのか?
インターネット社会は「正義」に貢献するのか?
インターネット社会に「正義」を、「論理」を振りかざす資格があるのか?
「みんなで議論する」とは何か?
「みんな」とは誰か?
「民主主義」とは何か?
インターネット社会の何処に「公平」が成立する場があるのか?
議論の「手続き」とは何か?
「教師」とは何か? 「教師」とは誰か?
「生徒」とは何か? 「生徒」とは誰か?
「教師」と「生徒」との間には「支配-被支配」の関係が成立するのか?
「教師」と「生徒」は対等か?
「教室」は「社会の縮図」なのか?
「職員室」は「社会の縮図」なのか?
「生徒」の『分』とは何か?
「教師」の『分』とは何か?
『分』とは何か?
ひとがひと(他者)を裁くことは許されるのか?
「社会」に『正義』は成立するのか?
頑固とは何か?
意地とは何か?
矜持とは何か?
「闘う」とは何か?
・・・・・・

この映画“Das Lehrerzimmer”は、他でもない私自身の体験に迫ってくる強い迫力がありました。あの女性教師の「叫び」は、まさに私が在職していた時の「叫び」そのものです。
この映画を客観的に批評して、誰がいいとか、誰が悪いとは断定したくはありません。少なくとも、あの女性教師はかつての私だったこと、あの男子生徒もかつての私だったことだけは認めます。
と言うか、ひとりの人間のなかに、私自身の中にも、SNSで正義を振りかざして「議論」する「親」、正義を振りかざして先生を糾弾する「生徒」、正義を振りかざして「論理」を叫ぶ教師もいることも認めます。

詳しいことは知りませんが、この映画を何処かで見れるかと思います。お薦めの一本です。
6.Sep.24 


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