【parkERsの中のヒト】「都市」への憧れ→植物を使った空間デザインプロデューサーの道へ/クリエイティブ室井上真紀子
バトンをつなぎお届けしているparkERs(パーカーズ)のnoteオリジナル企画「parkERsの中のヒト」。
「日常に公園のようなここちよさを。」をコンセプトに空間デザインを行なうparkERsのスタッフ、一人ひとりにクローズアップするシリーズ企画です。
前回クローズアップした小森さんからの指名を受けて、今回は、職業柄「商業施設に行くと商品よりも商品を飾っているディスプレイや仕上げの方が気になってしまう」というクリエイティブ室プロデュースチームの井上真紀子(いのうえ まきこ)さんをご紹介します!※このシリーズでは、親しみを込めて敬称ありでご紹介させていただきます。
7月でちょうど7歳になるparkERsで(設立7年目を迎えました!)約5年間活躍されている井上さん。どのような人生を歩みparkERsの空間プロデューサーとして活躍しているのか、ご覧ください。
幼ごころに抱いた、「都市」東京への憧れ
埼玉県出身の井上さんは、昔から“東京”や“流行り物”に対して漠然とした憧れを持つ子供だったといいます。旬の情報を特集してくれるテレビ番組の放送を楽しみにしていたり、母に連れられて原宿や渋谷にオープンした新スポットに行くことが多かったとか。
「年子の姉がいた影響もあるのか『個性を伸ばす』というよりは『手間なく育てられた』に近かったです(笑)あまり『これやりたい!』と自分からは言わず、姉や母のマネをして何事も『穏便にやる』ことを優先していたかも。」
そう語る井上さんですが、学生時代のことを聞いてみると、自分の道をどこまでも掘って突き進む一面が見えてきました。
父の背中、「建築」に生きた大学時代。
中高と女子校に通っていた井上さんは理系の道に進み、大学進学を機に建築学科に進むことを決めました。設計コンサルタントであった父の影響も大きかったそうです。
「大人になってから商業施設に行くと、飾られている商品よりもディスプレイの見せ方や細部を見てしまう癖がつきました(笑)消費者目線でないお店の見方や楽しみ方は、前職での経験はもちろんのこと、もしかしたら小さい頃からの父の影響もあったのかもしれません。」
気になるのは店づくりの細部のこだわり
建築学科では、デザインや構造、素材など、様々な基本科目を学ぶ一方、インタビューの中でも特に印象的だったのは課題と模型作りに明け暮れた日々。
3ヶ月に1回のペースで設計の課題を仕上げるカリキュラムで、課題を進めるとともに模型を制作し、完成したらまた新しい課題に取り掛かるような、課題に追われた日々を過ごしました。サークルに入っていなかった井上さんの放課後は、模型作りのアルバイト。学業でもプライベートでも建築にふれ、まさに建築抜きには語れない大学時代。
卒業制作の模型では、渋谷に実在するある敷地に文化施設を設計する構想を計画。渋谷という「大都会の中にある建物づくり」は、井上さんの興味関心が詰め込まれた集大成とも言えます。
卒業制作では渋谷の文化施設を計画
こうして課題に明け暮れ、“建築浸け”の学生時代を過ごすうちに、就活の時期を迎えました。周りには大学院へ進学する友人、設計事務所に入社する友人、イラスト系の仕事に就く友人など、様々な仲間がいる中で、自分は明確にしたいことが見つからず苦しい時もあったとか。建築の魅力に惹きつけられる反面、掘れば掘るほど深すぎて壁にぶつかったのです。
「最初は楽しいが勝っていたけれど、模型作りにしても何にしても、自分の段取りの悪さに苦しんだのを覚えています。頭にある考えを形として表現し切ること、図面を読み書きすることが難しく感じていて、憧れはあったもののデザイナーや建築家になるイメージはあまり湧かず...。でも働きたいと考えていた時、興味があった商業系の店舗デザインを行なう内装設計・施工会社にご縁をいただき、まずは数をたくさん経験したいという気持ちで入社しました。」
そうしてこの先、10年近く勤めることになる新しい世界が開きました。
チームをまとめる楽しさを知った前職での経験
前職で井上さんが担当していたのは、内装デザイン・施工の営業窓口。年間数十件の案件を抱え、5〜6億円相当のプロジェクトを回していたと言います。
当時会社の近くで見ていた風景
「工事音のびっくりするくらい大きな音とかホコリまみれの現場とか...泥臭さを知りましたね。」
中高が女子校だった井上さん。営業担当の同期は井上さん以外みんな男性で、先輩も業者さんも男性の多い男社会。ギャップもあったようです。特に学生時代は一人で作業を進めることが多かったため、人と交わり一緒に何かを進めること自体、会社に入ってから初めて経験したと言います。
「会社で初めて“世間”を知りました。折り返し電話すら正しくできなかった新卒時代から、現場で失敗しながら学んで、3〜4年経った頃からプロジェクトが進んでいく楽しさや人と交わる楽しさを覚えていきました。」
今でも仲の良い同期達
今でこそ訪問先での対応や、飲み会の席での周りへの繊細な気配りなど、parkERsイチ温かい目配り・気配りをされる井上さんですが、それが自然と身についたのも社会人になってからだそう。
「女性だと、同じことを言っていてもキツく聞こえる時もある。当時は同じ業界で働く女性は多くなかったので、自分なりの距離感や接し方を探って、周囲の協力を得ながらプロジェクトを遂行できるよう努めていました。」
ちなみに悩んだあげく、可愛く話すタレントをまねて話してみたり、時には格好いいイメージのある女性芸能人を意識して立ち振る舞うようにしていたとか!前職で経験したすべての出来事から学びを得て、井上さんというプロデューサーが誕生していきました。
結婚を機にライフスタイルを変化。そしてparkERsへ
前職に勤めて10年近く経った頃に結婚。日によっては昼夜を問わず働くこともあったため、もう少し無理のない働き方・新しいライフスタイルで仕事を続けることを目指した井上さん。
時短勤務で先輩や後輩のフォロー(裏方)に回るなど、働き方を変えてみるも、実際には多忙な日々はあまり変わらなかったと言います。
「一度裏方の仕事をしてみて考えた結果、やっぱりプロジェクトをコントロールしながら進めたいと思いました。商業施設や街の中に自分の手がけた店ができていくのが楽しかったんです。」
parkERsは、自然とのつながりが薄くなってしまった都市生活者に、植物とともにある豊かな空間、そして時間を届けているチーム。そのためメンバーの中には植物や森、生態系など自然界に関わる様々なことに興味を持って集まったメンバーも多いです。
その点、井上さんはどちらかと言うと「都市生活者に心地よい空間を」の「都市」の方に興味を持っている印象を受けます。なぜparkERsに入社したのかも聞いてみました。
「小さい頃マンションに住んでいて、窓越しに5mくらいの高木があったのを覚えています。木陰や新緑が綺麗だなという感覚もあったりして、植物はもとから好きな方だったんです。そして転職活動をする中で候補の一つにparkERsを見つけて、Aoyama Flower Market TEA HOUSEを実際に訪れてみました。その時も植物に癒されたというよりは、『こんなに植物に包まれた空間が、都会にあるんだ!すごく心地いい!』と感動したのを覚えています。」
Aoyama Flower Market TEA HOUSE 南青山本店(designed by parkERs)
parkERsに入社し、最初は前職で得た知識を生かし施工監理チームで活躍し、その後プロデューサーとしてプロジェクトを回す役割を担当するようになりました。
「都市空間」にもっとparkERsのデザインを
「parkERsは公園のここちよさをデザインに落とし込むのが特徴ですが、そこに“機能”も成立しているところに毎度驚きがあります。前職ではVMDの手法を見ていましたが、植物があることでより一層空間の機能を強める働きがあるように感じています。」
「parkERsのプロデューサーとして、普遍的なもの、長い視点で心地よいと思えるものを実現していきたいです。
昔から好きだった商業施設関係の案件やパブリックスペースを作るプロジェクトなどは特に力を入れていきたいですね。」
「さらに挑戦したいのは、5年後、10年後を見据えた街づくり。現在進行形で進んでいるものもありますが、今後は都市開発規模の広い視野で『都市』への空間づくりの幅を広げていきたいと思っています。」
* * *
コロナ渦の自粛生活では、旦那さんとレシピ動画をみて普段は作らない揚げ春巻きづくりに挑戦したりと、仕事以外の生活も楽しみながら、好きな仕事に突き進む井上さん。
「手がけた空間が『都市』に残っていく感覚は、とてもわくわくする楽しいことなんです。」と、穏やかに、でも熱く語ってくれました。
パートナーのみなさんと一緒に、未来の都市空間にどんな空間を広げていくのか今後ますます楽しみです。
さて「parkERsの中のヒト」、次回のバトンは誰に渡るのかもお楽しみに!
この記事を書いた人は
parkERs マネジメント室
ブランドコミュニケーションチーム 森み
在宅のあるある食ルーティーン:
朝は飲み物かパン、昼は麺類、夜はしっかりに定着しつつあります