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2015/10/18 入院と告知

点子、1歳5ヶ月。
ヒューヒューと息遣いがおかしく、喘息の兄と似て感じられたので総合病院のB病院を受診、そのまま喘息の診断で入院。

メプチンを吸入して点滴して、2日目になっても一向に呼吸が良くならない。そして常に脈拍が早すぎる。もう丸一日170を超えている。
弱りながらも点滴を痛がり、包帯に覆われた右腕の不快感にずっと泣き続ける点ちゃんを見るのがつらい。お互いほとんど眠れない。

回診に来た小児科医は、メプチンは脈を早める副作用があるのでと説明した。極まれに心臓病が隠れていることもありますが、それはないでしょうと言われる。
心臓病?
心配性の私はすぐiPhoneで調べる。すると喘息と診断されたが実は心筋炎でその後急変してお子さんを亡くされたという症例をいくつかみつけてしまい、急に怖くなる。間違いでいい間違いの方がいいから、念のために心臓を調べてもらうように、勇気を出して医師にお願いする。

その当時、B病院には小児循環器専門の医師A先生がおられた。A先生はさらに知り合いの小児不整脈の専門医と連絡を取り合い心疾患であると診断。

「今から点滴を切り替えるか、電気的除細動をして発作を止めます。(いわゆる電気ショック)
お子さんの体が跳ね上がってショックを受けられるかもしれないので、その時はご退室頂いてご両親はご覧にならない方がよいと思います。」

すぐに、脈拍を早めてしまうメプチンを中止、ベラパミルの静脈注射処置を受けて脈拍数は70台まで落ち着いた。電気的除細動の処置はせずに済んだ。

そして「ベラパミル感受性心室頻拍」を告知された。はじめて聞く長く不思議な病名がA先生の口から音になって放たれる。

「不整脈の病気で、心臓内に異常興奮の施回路が存在し、なんらかのきっかけで頻拍発作がはじまり持続します。ベラパミルという薬が発作を抑えるのに効果があることが分かっているので、この病名になっています。」

「お母さん大丈夫です、多額の寄付を集めてアメリカで手術するような病気ではありません。頻拍発作を抑える薬がありますし、15キロになれば手術が可能で成功率は70%です。」

言葉のひとつひとつを、数字を、どう受け止めたらよいのか分からない。

不整脈発作は今回が初めてでなく、今までもあったはずだとも説明された。なぜなら点ちゃんのBNP(心不全を表す数値、正常値40未満)はすでに500を超えていて、エコーで見る心臓はこまかく震えていた。心臓が弱り、肺にも症状が出たのだった。

兄の赤ちゃんの時と比べて体が弱いな、哺乳が弱いなという違和感はあったけれど、ごきげんでよく笑いよく眠り育てやすい赤ちゃんだった。弱々しさは男女差で点ちゃんの個性なのかと思い込んでいた。そういえば乳児検診の聴診で一度、すこし脈がとんだけれど大丈夫でしょう、と言われたことがあった。大丈夫なんだと思った。日頃、脈拍を測ったことはなかった。

その頃、我が家は中古で家を購入していた。
私は点ちゃんが生まれた半年後くらいから物件探しに新居のリフォームに引越しにと忙しく、大切に育てていたつもりでも、異変に気がつけなかった。2人目の子育ては精神的に楽、なんてまわりに話したりしていた。
身を長い釘で刺し抜かれるようにショックだった。

でもここで後悔に釘付けされているわけにはいかないとも思った。
今から取り戻そう。
小柄な点ちゃんは現在8キロ。
発作を抑えるというベラパミル(ワソラン)を内服しながら15キロまで頑張ろう、そして手術で絶対根治しよう、家族で点ちゃんに寄り添い乗り越えていこう、と夫婦で話す。

混乱する自分を鼓舞するように、前向きな気持ちを携えて退院した。きっと乗り越えられると何の根拠もイメージもなしに思っていた。

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