エキシビジョンレポート「ピーター・ドイグの魅力」@東京国立近代美術館
PARK GALLERY から自転車で10分、徒歩30分のところにある東京国立近代美術館で開催されているピーター・ドイグ展に滑り込みで行ってきた(今日まで)。台風の予報にも関わらずたくさんの人が会場に訪れていた。もし台風じゃなかったらもっとすごい客足だったろうなと思う。
ターナー賞のノミネートなど、海外ではすでに有名な画家ピーター・ドイグによる日本での初個展。決してわかりやすい作風の作家ではないと思うし、会場へのアクセスも微妙。メディアでの露出もコロナと前後したために遅かったのも覚えてる。日本ではまるで無名とも言える彼の展覧会に、なぜこんなに多くの人が駆けつけるのか、と、疑問を抱くと同時に、足を踏み入れた瞬間、そんなのどうでもよくなった。有名とか無名とか。
ただ目の前に現れる大きな絵画が、ぼくの心を次々に吸い込んでいく。ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』で真夜中、主人公が絵の中の世界に連れ去られていくかのように、絵の中の景色に没頭し、想像力を働かせ、物語に思いを巡らせる。
筆圧、色使い、立体感。どれも正直な感じでかっこいい。「これしかできひんのやあ」という感じが伝わってくる。だからステートメントにあった『ロマンティック』『ミステリアス』という言葉はピンと来なかった。どちらかと言えばハードでナードな印象だし、シニカルでニヒル(虚無的)な感じがした。「仕方なし」というような感じ。だから共感の渦を沸かせるのかと思う。もちろんロマンチックな部分を切り取ったほうが共感は得やすいかもしれないけれど。
1つの作品をじっと見てるひとはそんなにいなくて、流れるようにみんな見てたように思う。思った以上に不思議な絵なんだと思う。ブリコラージュのような景色の構築に身を委ねられる人(懐かしさや共感を得られる人)と、そうじゃないひとが現れるかのような、見る人をふるいにかけるような、そんな印象があった。絵の中に入れる人と入れないひとがいて、ぼくは入れたみたい。
会場にいくまではこんなに大きな作品だとは思わなかった。という作品ばかりで、本当に嵐の中、足を運んで原画を見てよかったと心から思った。このスケール感の絵で、エネルギーを感じられるってなかなかそういう機会は日本ではない。
いちばん見たかった絵も、予想の何倍も大きくて目の前に現れた瞬間に鳥肌がたった。ここだけ太陽の光が差し込んでいるのかと思うほどまぶしかった。ずっと見てられるなと思ったけど、絵の鑑賞をするというよりスマホでパシャパシャ写真を撮ってるひとたちが目の前をチラチラするので諦めた。こうして記録できるのはいいけれど(☝️これらは無音シャッター)、やはりあれは考えものだ。
途中で、なぜひとは絵を描くのだろうかと、思った。写真でもいいのに。と。自分との対話なのかな。
ダンカンばかやろぉ
今日(10月11日)までです。
ぜひ、見ておいたほうがいい。
ついでに神保町経由でパークにも足を運んでいただけたら幸いです。