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さにさ
2023年10月4日 22:44
ふと顔を上げると、同僚が背中を丸めて歩いていた。去年、中途で入ってきたばかりの彼女は、毎日きっかり始業1分前にタイムカードを切る堅実な社会人だ。だから、こんなにも早い時間に、こんなところを歩いているはずがない。しかし、ピッと張ったクリーム色のワイシャツ、小さめの紺のリュック、揺れる低めのポニーテールは、確かにあの同僚に違いない。今日みたいな特に眠くて気怠い朝に、普段は仕事外で殆ど話さな
2023年3月8日 13:43
先輩の右耳にみっつのピアス、そのうちのひとつはよーく見ると微妙に不自然な場所にある。先輩のピアスは、広めの耳たぶに三角形。ふたつは耳たぶのラインに沿って上下に。そして、その不自然なもうひとつは、その2点の垂直二等分線の上、耳たぶと顔のラインの境界ギリギリくらいにあいている。普通は耳たぶに沿ってみっつ仲良く並ぶんじゃないのか?普通と言っても、私はピアスをあけたことも、ピアスをバチバチあ
2023年2月19日 17:45
吉祥寺駅北口の鳥貴族でしこたま飲んだ帰り道。白い息を吐きながら、こいつは男と電話をはじめた。無事に帰れるか、見守るためだけに後ろをひょこひょこついていく。なんと滑稽なことだろう。昔々、自分でも思い出したくないほど昔、タバコを吸っていたことがあった。そんなことを呟いたら、私もタバコ吸ってみたいだなんて酔った勢いで言われた。若かりし自分はイキリにイキってピースの青箱を吸っていた。今でも