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私のファッション遍歴 その3
さて、前回の続きを。
前回は「オ・ヴレ・シック」で働くようになって、の頃でしたね。
その後というと、セレクトショップの時代がやって来るのですよね。
いや、もう時代はセレクトショップの頃か?
ビームス、シップス、ユナイテッドアローズなどが人気でしたよね。
働いていた「オ・ヴレ・シック」が惜しまれつつ閉店の時がやってきます。
まだ時代には早すぎたのでしょうか。すごく悲しかったのを覚えています。
個性というものがあまりなく、みんな同じ店で洋服を買い、
同じ格好をしていましたよね。そんな時代に60年代のフランスなんかを意識した
ブランドなんてごく一部の人にしか支持されませんよね。わかります。わかります。
仕方がないですよね。でもそういうお店が東京や大阪にあったという事実は残るわけですから、そのスタッフとしてお店に立てたというのは本当に誇りに思います。
それからしばらくは、なんかやはりセレクトショップ的なお店で色々見ながら自分のピンときた服を着るぐらいの感覚でファッションには触れていました。
それからしばらくして、あるバンドに出逢います。60年代のTHEWHOみたいな、
ガレージ感たっぷりの最高にイカしたバンドでした。
私はそのバンドのライヴがある毎に出かけそのバンドの繰り出す音にノックアウト
されまくっていたのです。で、そのバンドのお客さんの一部がまさに60年代70年代の
古着ファッションに身を包み、観に来ているのを知り、私もああなりたい!と思うわけなんですが、なかなかすぐにはそんな洋服売っている古着屋さんも知らないし、
勇気がまだなかったのです。
バンドのメンバーはといえば、フリルのついたブラウスに細身のパンツ、ポリエステル素材のラメ入りシャツなどまるで本当の60年代から70年代にかけてのロックミュージシャン。彼らに似合う洋服で観に行きたい!という願望は強くなりますが、まだまだ私はカジュアルな格好で観に行っていました。そういう格好で観に行きたいという願望はあれど、いかにもな感じになるのは嫌、私流に。と考えていました。
そんなこと考えるなんてまだ20代後半、若かったんですね。
でも、そう思いながらも東京に遊びに行った時にずっと憧れている、下北沢の
「レ・ミゼラブル」という古着屋さんに寄ったところ、なんとも美しいブラウスに
出会ってしまいます。イギリスの6、70年代のブランド、「JEFFBANKS」の小花柄の
ブラウス。袖はたっぷりのパフスリーブになっていて、襟は先がラウンドしたロングポイント。素材は多分、ポリエステルでしたっけ。すぐさま私は購入し、そのイカしたブラウスはクローゼットの仲間入りを果たします。
そして、そうです、次のそのお気に入りのバンドのライヴにそのブラウスデビューします。ヘアスタイルは重め前髪のボブヘア、濃いめのアイラインを引きます。
膝丈のスカートにそのブラウスの裾をインして少しブラウジングさせます。
足元はブラウンレザーのロングブーツ。そして、お気に入りだった大阪の古着屋さん
「フリークシーン」で購入したハートのペンダント。ハートの中には写真が入っていたかな。数年前のフレンチファッションからは想像もつかない昭和感満載のファッションです。その頃ハマっていた「鈴木いづみ」のような。その頃から、柄物のシャツを着るようになりました。古着ファッション時代の始まりです。
この頃、心斎橋には「ショートブレッドフィンガーズ」という最高におしゃれで可愛い
オリーブ少女の心をまた思い起こさせてくれる、それでいておいているものはデッドストックやヴィンテージの古着というツボを押さえまくられたお店がありました。
そこで映画「ガラスの墓標」に出てくるようなフェイクファーとレザーのコンビのアウターを購入した思い出があります。このコートは本当によく着ました。
そのコートの時はベルボトムのジーンズ。これで決まりです。
近所にあった先ほど出てきた「フリークシーン」で購入したフエルト生地のブリムの広い
ハットを合わせてまるでLATE60‘sのロックスターのよう。
その頃は本当に60〜70年代のファッションに夢中でした。
そういう古着を置いていた古着屋さんもまだたくさんあったんじゃないかな。
京都の「MILOU」、神戸の「ハバダッシェリー」、大阪の「ショートブレッドフィンガーズ」
「フリークシーン」、「ブラックベリーウェイ」。
東京は下北沢の「レ・ミゼラブル」、国分寺の「アヌーシュカ」、代官山の「スミス・あーティーク」などなど。お店に一歩踏み入れば、そこは60〜70年代のロンドンかというようなお店がたくさんありました。
今も古着ブームですが、古着の意味が違いますね。
私たちが来ていたようなとっておきの洋服たちを着ているのを見たことはあまりありません。数年前に行った「スミス・アーティーク」がハイブランドのヴィンテージ専門店に変わっていて驚愕した記憶があります。ここには90年代後半最高に可愛いスタッフのかたがいたのですがその方にもとてもお世話になったのですが今はどこにいらっしゃるのか。時代が私の思い出を徐々に葬り去っているように思えて仕方がありません。
なんか、悲しい。。
と、今日はここまで。
続きはまた次回。