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「エキストラホイップで」と言いたい〈常識のない喫茶店を読んで〉
結構な頻度でスタバに行きます。もちろん、エキストラホイップで、と言えばホイップクリーム多めにしてもらえることも知っています。でもなぜか恥ずかしくって言えない。
モリモリホイップに憧れてるのに、変な自我をこじらせて悶々としてるの、どう考えても損!!!ほしいものはほしいと言わなきゃ!!!
それなのに、わたしときたら、ドリンク一杯無料チケットがあるというのに、(無料のドリンクだけじゃ申し訳ないかな…)とか、(「あいつ無料ドリンクだけで居座ってるよ」と思われるんじゃないかなぁ…)と、不安になってしまう。
いや、でもこれはお店からいただいたものだし、ありがたく堂々と使おう!と、レシートをみせる。「わぁ、すごい!当たったんですね。お好きな飲みものをどうぞ」とお姉さんの微笑みがまぶしい。うれしい。
しかし、さっきまでの勢いはどこへやら。着席してもソワソワ、段々といたたまれなくなって、追加オーダーしに向かっていた。とほほ。だって、そっちのほうが自分が、落ち着いて時間を過ごせるから…。
こんなに店員さんの目を気にするようになったり、お店に気をつかうようになったのは、たぶん、喫茶店のマナーを守れなかったあの日が、こっぴどくこたえたからだと思う。
わたしは、レトロな喫茶店が大好きで、喫茶エッセイストという設定?で、新潟の喫茶エッセイzine(手作りの冊子)をつくってしまうほどだ。
しかし、とある喫茶店で、時間を忘れて久しぶりに会った知人とおしゃべりに夢中になっていたら、いつも柔和だったマスターが、「そろそろお帰りになるか?追加注文するかしていただけませんか?」と険しい表情で言い放ったのだ。
店員さんから注意など受けたことがない私たちは、ドキッ!とした。
⚫︎珈琲一杯でいられるのはせいぜい1時間
⚫︎お冷やをつぎにきたら、それは「帰れ」のサイン
わたしが知らなかった喫茶店のルールとマナーは、まだたくさんあったのだ。その出来事をきっかけに、飲食店での自分の振る舞いに、すごくナーバスになった。誰に対しても平等に接してくれるチェーンカフェがものすごく落ち着く日々が続いている。
そんな時、ふらっと立ち寄った小さな本屋さんで手に取ったこの本。
よっ…読みやすい…!!!(おもしろい)
集中力ゼロ、読書は苦手、ただ街の本屋さんで本を買うという行為がすき、というどうしようもない人物のわたしがこんなに一気読みできる本はなかなかないぞ、と感動していたのも束の間、読み進めていくうちに、段々と胃が痛くなってくる。こわい…
えぇぇ、店員さんからこんな風に思われていたのか…!と、ショックだった。今までの客としての自分な振る舞いがどうだったか?恥ずかしくなってくる。
特に、「喫茶店に行ったら写真を撮らずにはいられない病気」に罹患しているわたしは、「写真ばっかりに夢中になってないでこの空間を楽しもう、心のシャッターを押そう!」と我慢を試みたことがあるが、足がむずむず、禁断症状がでてきて、あえなく断念した。
Instagramに載せる時など、みなさん許可、取っていますか…?わたしはというとお店の方に余裕のありそうな時、聞けそうな時には、「お写真撮ってもいいですか?」とおずおずと聞くのだけど、お忙しそうだと逆に申し訳なくて聞けません…
もちろん人物はうつさないし、仮に写ってしまったとしてもトリミングしてモザイクして…とできる限りの加工はほどこしてはいるのだけど…
ただただ純粋にお店を紹介したい気持ちでも、お店が嬉しいかはわからないからむずかしいね。自閉傾向が強いから、どこからどこまでOKなのか?あいまいな「暗黙のルール」が苦手です。
でも、先日訪れたcafeは、メニュー表に
⚫︎動画撮影、インスタライブ等はご遠慮ください
⚫︎メニューの撮影はご遠慮ください
と書いてあったので、きっと色々大変な時代なのだろうなぁと予測する。
(常識でしょ!と思う方もいらっしゃるかもしれないけれど、常識って人によって違うこともあるから、わたしは文字にしてはっきり書いてあったほうが線引きが分かりやすくてありがたい)
さてさて、本の続きを読みたいけど、こわくて読みたくない。
接客業をされている方は、痛快で共感するお話なのかもしれないけれど、わたしのような小心者は、ただでさえきょどってるのに、今後店員さんに怯えながら注文する客に進化するだろう。
重い気持ちと胃をさすりながら、ページをめくってく。後半中の後半、「わたしの喫茶紀行」の章でようやく共感し、気持ちが落ち着いてきた。
⚫︎コーヒーが飲みたいというより、空間を味わいたい
そうっ!同じだ!(急に救われた感)
わたしは、くつろぎの場である喫茶店が、萎縮する空間になるのは、ちがうと思う。過剰なサービスは求めていないけれど、お客さんを影で馬鹿にするのはちょっと悲しい。ゆったりとした癒しのひとときを楽しむためには、お店の方に大切にされている感覚があるか?は、とても大事だと思う。
久しぶりに喫茶店に訪れた日。店員さんがお一人で大変そうだったので、オーダーのタイミングをずっっと見計らっていた。見計りすぎて30分経っていた。そして、わたしより後に来店した、大きな声で「新聞!」「注文!」と呼ぶおばさま方の方が、先に珈琲にありつく姿をみると、何が正解なのかわからなくなった。
しばらくチェーンカフェでリハビリをしてから、個人経営の喫茶店には行くことにしよう。
よ〜し、次こそは、エキストラホイップで、とお願いしてみよう。もうフラペチーノを飲める胃腸でも、季節でもないのだけれど。
よ〜し、スタバでドリップコーヒー&ホイップクリーム追加(エキストラホイップ)でウインナーコーヒーにしちゃおう。でも、4回に1回くらいにしよう。
毎回エキストラホイップで、とお願いしたら「あっ!来たよ、初心者エキストラホイップ(笑)」とあだ名がつけられてしまうかもしれないからね。
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