ビジネスにおける「心理的支配」とは
皆さんは「心理的支配」についてどういった印象がありますでしょうか。
「支配」というだけあって良い印象はないかと思います。
しかし、ビジネス上「心理的支配」を利用している企業は多いです。
このnoteでは、心理的支配について説明しようと思います。
◆「心理的支配」の意味
まずはその意味を理解しましょう。
「心理」とは、心の働きやそのありさま。精神状態を意味します。
「支配」とは、個人や集団を意思・命令・行動によって服従させることです。
「心理的支配」とは、個人や集団の精神を意思・命令・行動によって服従させることです。
◆ビジネスにおける「心理的支配」
ビジネスにおける「心理的支配」は極めて有効です。
ビジネスで心理的支配を行う時に必要なのは「新しい言葉」だけです。
「〇〇という未来に向かって全力で取り組もう」
「〇〇という新商品を広めることで、世界を良くしたい」
このような綺麗な言葉を使うことで、労働者をコントロールすることができるからです。労働者も自分の役割はこれらの目的のために行なっているんだと悪い気がしません。多くの企業がこの心理的支配を行なっているのではないでしょうか。
◆ドラッカーが「心理的支配」に嫌悪感を示す理由
経営学の祖ドラッカーは「心理的支配」に対して嫌悪感を示しています。
仕事の上の人間関係は、尊敬に基礎を置かなければならない。これに対し心理的支配は、根本において人をばかにしている。伝統的なX理論以上に人をばかにする。
つまり、心理的支配の根底には「人を馬鹿にする態度」が隠れているのです。先ほどの綺麗な言葉を経営者目線で見るとこうなります。
「(君たちのやる気のために)〇〇という未来に向かって全力で取り組もう」
「(会社の利益のために)〇〇という新商品を広めることで、世界を良くしたい」
心理的支配の根底にあるのは、人への尊敬でなく、「人を利用しようとする態度」だとドラッカーは言います。
「アメとムチ」で例えると、
・アメ:魅力的でやる気の高まる言葉
・ムチ:アメのために労働することを求める
そもそも仕事における人間関係は、「尊敬」に基づかなければいけません。人の目的と会社の目的は異なるものであり、その交差点を見つける必要があるからです。
でも「心理的支配」はその真逆です。
人を尊敬する「Y理論」ではなく、人を馬鹿にする「X理論」です。
労働者への尊敬ではなく、企業主体の考え方です。
◆まとめます
心理的支配は、一見すると魅力的で綺麗な言葉でついつい信じてしまいたくなります。多くの企業、信仰宗教、マルチ商法で多用されているから、その効果は絶大なのでしょう。しかし、心理的支配の根底にある考え方は「人を馬鹿にする態度」です。「ビジネスは尊敬に基づかないといけない」というのはドラッカーの考えですが、心理的支配はまさにそれに反することであり、だからこそドラッカーは心理的支配を嫌悪しているのです。
◆参考
・なぜ人への尊敬が必要なのかについてはこちら
・X理論とY理論の解説についてはこちら
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