6−1:現代社会の成長部門
「現代社会において、まだ成長の余地が残っている場所がある」とドラッカー先生は言います。
それはどこなのでしょうか。
また、その理由は何なのでしょうか。
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◆成長部門① 企業以外の組織
現代社会において、企業は組織の一つにすぎない。企業のマネジメントだけがマネジメントではない。政府機関、軍、学校、研究所、病院、労働組合、法律事務所、会計事務所、諸々の団体など、いずれも組織である。そして、いずれもマネジメントを必要とする。
組織という大きなカテゴリーで見ると、政府機関や労働組合なども企業と同じ組織です。
そしてこれら組織は企業と同様にマネジメントを必要とします。
これら企業以外の組織、すなわち公的機関こそ現代社会の成長部門である。今日われわれの社会は、企業社会というよりも多元社会である。
企業以外の組織(政府機関や労働組合)こそ成長部門なんです。
政府機関や労働組合は企業と比べてマネジメントが十分行き届いていません。そのため、これらの部門にマネジメントが行われれば、まだ大きく成長する可能性を秘めているんです。
実際、企業以外の組織がマネジメントを実践することで大きな成果を出した事例はいくつかあります。
例えば、東京の築地本願寺はイノベーションを起こしています。寺院内にカフェや図書館を設置したり、定期的な演奏会を行ったり、「拝む場所から気軽に立ち寄ってもらえる場所」へとイノベーションを起こし、多くの顧客を呼び込むことに成功しました。
有川浩先生の小説「県庁おもてなし課」は、お役所仕事にビジネス的視点を取り入れることで地方活性を実現した物語です。
役所は仕事が遅い、公営の学校は10年前から何も変わらない、公的機関はなかなか変化しないイメージがありますよね。でも、だからこそマネジメントがなされれば成長する可能性が存分に残っています。
◆成長部門② 営業以外の部門
企業内においても、成長部門はサービス部門である。大企業から小企業に至るまで、さまざまなスタッフが急増している。それら企業内サービス部門にもマネジメントがある。それらもまた、成果をあげるべくマネジメントしなければならない。
企業には複数の部門が存在しています。
営業部、総務部、情報システム部、経理部…などです。
そしてそれぞれの部門一つ一つがいわば一つの組織です。業務部、システム部、経理部、総務部など…、それぞれの組織にはそれぞれマネジメントが必要になります。
唯一営業部は顧客との接点が近いため、マネジメントが行き届いていることが多いです。しかし、その他の部門もマネジメントをする必要があります。マネジメントが行き届いていないからこそ、それらの部門は成長可能性が大きいんです。
実際、私も営業として仕事をするようになってから、営業部門とそれ以外の部門の意識の差を感じることが多々あります。でも、だからこそ、それらの部署は大きく成長する余地が残っています。
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現代社会の成長部門は、顧客との接点が遠く、マネジメントが行き届いていない場所です。
・組織:企業以外の団体(政府機関、軍、学校、研究所、病院、労働組合、法律事務所、会計事務所、諸々の団体など)
・企業:営業以外の部門(総務部、情報システム部、経理部など)
これらの場所にマネジメントを行うことで、大きく成長することができるんです。