科学でわかっている、幸せに生きられる幸福度の高い性格を解説
はじめに
この記事ではこんなことが学べます。
性格因子の神経質性が低く、他の項目が高いと幸せになる(遺伝的要因)
良い人間関係を築くと幸せになる(環境要因)
性格特性って面白い
海外の研究や論文は時にぶっ飛んでいて面白い
あなたは幸福について考えたことはありますか?
私は仕事をリストラされた時に「自分は不幸だ」と思ったことがありました。親からは仕事にいつ就くのか催促され、面接では30歳を過ぎた自分に何もないことに気づかされ、ハローワークへお金を貰う手続きに行く日々。
雨戸を閉め切った暗い部屋で一人でじっとしていると考えたくないことが次々と浮かんできて頭の中をぐちゃぐちゃに支配する。そんな自分が40半ばになって今はこうしてペアレで記事を書いて充実しています。
なにが人を幸福にするのか、幸福じゃないと思うのか。
幸福度についての知識を深めることによって損することはないかと思います。
この記事を読むことで、幸福度の高い性格特性と性格特性の面白さがわかると共に、世界ではより興味深いいろんな研究があるという知識が深まります。
日本の幸福度は54位
世界幸福度調査(World Happiness Report2022)によると日本の幸福度の順位は54位となっています。フィンランド、デンマーク、アイスランドなど北欧は上位。
色に対応する7項目は左から次の通りです。
「一人あたりGDP」
「社会的支援」
「健康寿命」
「人生の選択の自由度」
「寛容性」
「汚職による腐敗のなさ」
「全6項目最低ランクの架空の国との差(ベンチマーク)」
ランキングによると日本は先進国でありながら、幸福という点に関しては低いようです。日本のランキングに主に影響を与えているのは
「寛容さの低さ」
「汚職による腐敗のなさ」
「ベンチマークの低さ」
以上三つでした。
「ベンチマークの低さ」については、予測がつきにくい何かしらの要素ということになります。例えば
度々起きる大地震や地理的な世界情勢の影響の受けやすさ
英語教育不足による世界共通言語がないことでの情報の孤立
TVメディアによるネガティブなニュースによる思い込み
協調性をひたすら高める学校教育の制度
スマホ普及によるSNS依存度などの要素
などあると考えられます。
特に不安の感じ易さや影響の受けやすさについては、津波・地震など自然災害の多い島国であり、常に警戒している方が生き残る確率が高いという地域であるからというのもあるでしょう。
この特徴は、Blizinsky, 2009の研究によるとどうやら遺伝的な不安傾向の高さ(セロトニントランスポーターが少ない)が関係しているようです。
ところが国内の幸福度ランキングで連続1位、DODAによる国内年収ランキング最下位の沖縄県は、同じ日本にあって世界でも長寿の多い地域として論文でも研究されていました。
沖縄は地震や台風による危険度は少ないものの回数そのものは多い場所です。被害も実際に出ていますし災害という点に関しては共通しているはずです。この差は何が原因なんでしょうか。
どのような人が幸せなのかについて、科学でわかっていることを見ていきましょう。
幸福度が高い性格特性
結論
先に結論から書きますと、幸福度と性格特性には強い関係性があることがわかっています。そして幸福度が高いとされる性格特性はこちらになります。
メンタルの安定性が高い(神経質性が低い)
外向性が高い
勤勉性が高い
協調性が高い
開放性が高い
それぞれの性格について後述します。
性格特性についてはこちらをみていただければと思います。
Predicting psychological and subjective well-being from personality: A meta-analysis
こちらの論文のメタ分析の結果、幸福度にもっとも影響力のある性格特性は
メンタルの安定性が高い(不安傾向が低い)
外向性が高い
勤勉性が高い
協調性が高い
開放性が高い
上から順に最も影響力があることがわかりました。
余談ですが、メタ分析とは
メタ分析というのは論文の中でも特にエビデンス(根拠)の高いデータになります。
ドラゴンボールで例えると、自分の経験で語るテレビのコメンテーターの専門家の発言は少年時代の孫悟空の戦闘力くらいで、メタ分析は魔人ブウ編の孫悟空の戦闘力になります。
専門家の意見=ブルマと出会った頃の悟空
メタ分析=魔人ブウと戦っている頃の悟空
専門家の意見 <<<越えられない壁<<< メタ分析
テレビでコメンテーターが発言している個人の感想レベルは論文のメタ分析の説明力と比較すると圧倒的に超えられない壁が存在します。
臨床試験の信頼度、エビデンスより
ドラゴンボールのランチさんで幸福度をチェック
ドラゴンボールつながりで、性格特性を悟空の少年時代編に出ていた くしゃみ をすると性格が激変するキャラでお馴染みのランチさんで例えてみます。
穏やかな性格のランチさんの場合
金髪のランチさんの場合
こうして性格特性を調べてみると、この2つの人格で幸福度が高いのは穏やかなランチさんということがわかりました。金髪ランチさんは天津飯を追いかけてカメハウスを出ていってしまったようなので、くしゃみをしても穏やかなランチさんのままであったのなら今でもカメハウスでのんびり過ごしていた可能性はあったかもしれませんね。
性格特性で幸福度は調べられることがわかったわけですが、それでもあなたは「本当にそうなのかな?」とか「人それぞれなんじゃない?」と半信半疑な状態かもしれません。
そこで海外のぶっ飛んだ研究と比較して多角的に調べてみます。
80年間の追跡調査!?ハーバード大学成人発達研究
ハーバード大学成人発達研究というものがあります。
1939年から始まり、現在の第2世代まで何と80年間の長期間の大大追跡調査です。さすがハーバード大学って感じですね。ここまで大規模な研究はそうないのではないでしょうか。
ハーバード大学出身の268人の学生とボストン近郊の貧しい地域出身の白人男性456人の合計700人を選出して、彼らの人生を追跡調査するぶっ飛んだ研究です。
そのうちの一人の学生にはのちに35代目大統領となるジョン・F・ケネディという青年も含まれています。
この大規模な追跡調査の結果からわかったことは
幸福であることは良い人間関係を築ける力があるかどうかが重要であり、収入はそこまで大きな影響はないことがわかりました。
また幼少期に家族と温かい家庭環境で育ってきた人は大人になっても幸福だったそうです。
沖縄が大事にしていることは非地位財
YouTube Amebaニュース「【幸福度】"年収ビリ"沖縄が1位…若新雄純「競争をあえて大事にしていない」お金=幸せじゃない?持続的な幸せとは」で若新さんは沖縄は地位財と非地位財で非地位財の傾向が高いからだろうと分析しています。
ここではこのように説明しています。
地位財(他人との比較で満足を得られる。「持つことで」で幸せを感じる)
非地位財(他人との比較とは関係なく満足を得られる。「あること」で幸せを感じる)
それを1つ裏付ける沖縄の文化として「模合(もあい)」という風習があります。
人の集まりを大事にして寄付金を順番に受け取っていくという互いを信用していなければできない風習ですね。だからこそ、本土から入ってくる人を「ナイチャー」と呼んで自分たちの幸せを壊しかねないフリーライダーには相当厳しく目を光らせていたのではないかと思います。
沖縄の歴史や風土などをもっと調べていくと非地位財に関するデータが見つかるかもしれませんね。
まとめ
まとめます。
大規模な調査では人間関係が一番幸福に影響があるらしい。
日本一幸福度の高い沖縄県でも人間関係を大事にしているらしい。
幸福度が高い性格特性は
メンタルが高い(不安傾向が低い)
外向性が高い
勤勉性が高い
協調性が高い(影響力低い)
開放性が高い(影響力低い)
ここで性格特性についてもう一度おさらいします。
メンタルの強さ(不安傾向が低い)
遺伝的要因と家庭環境による温かさが影響します。
外向性の高い人は人との接触を好む傾向があり、低い人は内省つまり自分自身の内側に興味を持っています。
特にこの2つの性格特性の高さは幸福度に影響力があるとされているので沖縄での県民性がピッタリハマっている人たちは幸福度は高くなる傾向がある、ということなのかもしれません。
他人と関わることが好きな外向性の高い性格は、ハーバード大学の長期間の結果にも当てはまっていそうですね。成人発達調査のなかで性格特性(ビッグファイブ)の研究を行うとおそらく外向性が高い人は幸福度も高いという結果が出てくるのではないでしょうか。
ちなみに
開放性の高さはほぼ影響していない、というのは知識大好きな自分(開放性↑)としては残念な気持ちはあるのですがちょっと希望ぽい記事があったのでそれも載せておきます。
上の方でも同じ記事を載せていますが
Psychology Today / Understanding the Links Between Personality and Happiness
こちらを引用すると以下になります。。
仮に外向性が低くても開放性が高いのなら興味のあることに挑戦し続けているのなら幸福度は高いのかもしれません。ちょっと安心ですね。
参考資料
世界幸福度ランキングWorld Happiness Report2022
Psychology Today / Understanding the Links Between Personality and Happiness