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鋼のメンタル?麻痺してるだけ?親子で知りたいメンタルの種類

画像:tomo

鋼のメンタルに憧れている親子はたくさんいる

鋼のメンタルに憧れる人ってどのくらいいますか?常に冷静沈着で、物怖じせず完璧にあらゆる問題に対処できる司令官のような能力に憧れるって人は一定数いるんじゃないかと思います。また、自分の子供もそんな風に適切に対処できる子に育ってくれたらいいなと思いませんか?

今回は、そんな鋼のメンタルを作る方法があるのかどうか、またメンタルにどんな種類があるのかをそれぞれ絵で解説して実際にできることとしてどんなものがあるのかをみていきたいと思います。


とりあえず、メンタルを擬人化したら5タイプできた

メンタルを分類してそれぞれを擬人化すると、次の通りになります。

一個一個解説していきます。まずはこちらから!


1.疾患による鋼メンタル

あらゆる攻撃を跳ね除けています。全く矢が刺さらず、怪我もしていません。みなさんが、鋼のメンタルというとこのような状態をイメージされるのではないでしょうか?このタイプのメンタルは、実は作り上げることはほとんど不可能です。なぜでしょうか?

このタイプのメンタルは、疾患により扁桃体とよばれる不安や恐怖の関係のある脳のエリアが機能していません。そのため、本来誰しもが感じるはずの不安や恐怖を経験することができません。非常に珍しい疾患であるため症例はそれほど多くありませんが、事例報告(1)を紹介します。

「ウルバッハ・ヴィーデ類脂質蛋白症」と呼ばれる珍しい遺伝疾患により、結果的に恐怖を感じにくくなったSさん(女性)は、お化け屋敷に入ったり、ヘビやクモを近づけられたり、ホラー映画を見たり、命にかかわるような話をしたりしても恐怖を感じることができません。

この特殊な能力のおかげで彼女は人生の中で何度もトラウマになるような、命にかかわるような出来事を平気で乗り越えてきたようです。ただ例外もあって、こちらの研究(2)では、Sさんは酸欠状態になると恐怖を感じるようです。

恐怖を感じにくい人とはジェームスボンドやジェイソン・ボーンなどスパイ映画でしかみないような特殊能力です。扁桃体は記憶にも関与する(3)ことが知られていますので。扁桃体を抑制することで、不安を感じないかもしれないが記憶に問題がある可能性があります。不安や失敗による体験が人の学習を手助けしていることを考えると、不安を感じられないというのは必ずしも良いとは言い切れませんね。
このタイプの鋼メンタルを目指すことはベストではないですが、程よく必要最低限の不安を維持しつつ、強いメンタルを獲得する方法は意外とたくさんあります。

2.解決行動メンタル

まず絵を見てみましょう。傷つきながらも、刺さってた矢を片付けていますね。先ほどの「鋼のメンタル」くんと比べると、傷つくことがあることがまず分かります。その上で、矢を整理整頓しているので、現実的な行動をしているように見えますね。

これは、問題が起こった際に「解決行動」を取っている様子を表しています。ストレスフルな状況に陥り、心が傷ついた時にできることの一つとして、問題を分析し、整理整頓し、一つ一つの問題に対して原因を特定します。ちょうど、矢を一本一本抜いては危険が無いように矢筒にまとめているのに近いですね。

このように、速やかに解決行動を取ることで問題が長引くのを回避できるので、ストレスが長引くこともありません。このように間接的にメンタルを守ることは可能であるといえます。他にも間接的にメンタルを守る方法は存在するのでしょうか?

3.再解釈メンタル



3種類目となるこちらの画像をみてみましょう。飛んできた矢に対して、はたき落としたり盾で防ぐのではなく、体をスライムのように柔軟に形を変えて受け流しています。果たして人間のメンタルがこんなことができるのでしょうか?


これは「再解釈」と呼ばれるストレス対処法となります。何か嫌なことがあった時に「ああなんて自分は運が悪いんだ」と考えるのではなく「これは神様からの試練なんだ、俺を強くするためのテストだ!」と再解釈することでポジティブに受け止めようとしています。

神様を根拠に意味づけした場合、これ「宗教的な再解釈」となりますね。では、宗教色を無くした場合の意味付けとしてはどのようなものがあるでしょう?次の通りです。

状況:上司に送ったLINEに既読がついたが、返事がこない。
A:「ああ上司にメールを送ったのに、反応がない。もしかして怒らせてしまったんだろうか、嫌われてしまったんじゃないか?嫌なやつだと勘違いされているんじゃないか?ああもうおしまいだ!」

ここで再解釈をする

A:「いや待てよ、そういえば今色々と立て込んでいたな。ほとぼりが冷めたら返事が来るかもしれない。待っておこう。それか、明日会った時に直接確認すればいいか。」

このように、「もう世界の終わりだ」と思い込んでいたのを再解釈をすることで「自分の思い込みだった」と気づきました。心が傷つく代わりに、スライムのように柔軟に再解釈することで問題を別の角度からみることができるので、ネガティブ100%だったのが50/50にまで持っていけます。結果として、自分のストレスをある程度は軽減することに繋がる訳ですね。


4.レジリエンスメンタル


続いての画像はこちら。絵の様子をみてみると、傷ついていますが絆創膏を貼ってあります。自信満々な力こぶと、キラキラと輝いている様子から察するに元気がみなぎっているようにも見えます。傷だらけだったのもすっかり回復したようですね。これは一体どういうことなのでしょうか?

これは、ストレスから回復し元通りになった状態を表しています。このように回復力を高めたり、元に戻るスピードを鍛えるにはどうすれば良いのでしょう。主に2種類あると考えられます。

一つはトラウマを処理するときに使われる「暴露療法(ばくろりょうほう)」です。トラウマを抱えたとしても、何度も状況を再現することで慣れてしまう方法です。一見すると荒療治に思えますが、治療効果が確立された確かな方法であることは間違いありません。

ただ、これは医療行為であるため、専門家によるカウンセリングが必要となります。自己流でやろうとすると、かえって悪化する可能性はあるので、素人判断で真似をするのはやめておきましょう。

もう一つは、瞑想です。意外かもしれませんが、瞑想はメンタルを鍛え、回復力を高めてくれる効果があることが分かっています。メンタルを強化する親子で出来るおすすめの瞑想方法についてはこちらの記事を参考にしてください。次で最後の画像となります。


5.心の痛覚の麻痺メンタル


絵の特徴をみていきましょう。矢が刺さっており、出血をしています。しかし、手当をする様子はなく、自分の傷に無関心に思えます。痛くないのでしょうか?それとも怪我をしていることに気づいていないのでしょうか?そもそも、こんな状態の人間はありえるのでしょうか?

結論から申し上げると、あり得ます。非常に辛い出来事、トラウマになるような出来事に対処するために、脳がシャットダウンして自分を守ろうとする時に起きる現象です。いわゆる「解離」と呼ばれる状態で、ショッキングな出来事やストレスフルなことに直面すると自分を上から客観的にみているような感覚を覚えることがあります。ちょっとした幽体離脱のような感覚です。これは、解離の初期症状で、ある種のパニック状態ともいえます。

これこそまさに、傷ついているにもかかわらずその状態から逃げようと脳をシャットダウンしている様子が上記の絵の様子となります。解離症状が増えると、さらに重症化してさまざまな精神疾患につながります。解離症状で最も重症とされているのが「解離性同一性障害(4)」です。いわゆる、多重人格というやつですね。複数の人格を身代わりにして、本体を守ろうとしている状態といえます。

メンタルまとめ

以上、メンタルを解説させていただきました。以下5種類となります。


  1. 疾患によるの鋼のメンタル

    1. 生まれつきや遺伝的疾患による個性

  2. 解決行動メンタル

    1. 解決策を考える

  3. 再解釈メンタル

    1. 受け止め方を変える

  4. レジリエンス

    1. 瞑想する

  5. 心の痛覚の麻痺

    1. 不健全

一番と五番は再現ができないか、不健全なものなのでおすすめしません。2、3、4番はどれもおすすめなので自分に合うものを選んで、少しずつ出来ることを増やしていきましょう。親子でやれるものばかりでもあるので、普段から意識して少しずつメンタルの強い親子を目指していきましょう!

今後も親子関係に関して最強の子育てが出来るようになるための情報発信をしているので、ぜひともペアレのブログをフォローして、Twitterもチェックしてください!

参考文献

  1. Feinstein, J. S.et al.The Human Amygdala and the Induction and Experience of Fear. Current Biology, 21(2011)

  2. Feinstein, JS.et al. Fear and panic in humans with bilateral amygdala damage. Nat. Neurosci.(2013) 

  3. Joseph R.et al. Direct electrical stimulation of the amygdala enhances declarative memory in humans. PNAS 115 (2017)

  4. DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル


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