石川県に眠るあの偉人
旧約聖書に出てくる、キリストよりはるか昔の預言者モーゼ(モーセ)。
預言者って、予言者と違うんですね。
未来に起こる事を伝えるのが予言。
対して神様からのご託宣を受け民に伝える、それが預言。
科学コミュニケータならぬ神の意思コミュニケータといったところか。
エジプトからのヘブライ人の苦難に満ちた脱出行と「海割り」、「モーゼの十戒」などで知られていますね。
モーゼのお墓は石川に❓
キリストの墓は青森県、モーゼの墓は石川県、だとさ。
日本人ってこういうの好きなんですかね(笑)。
で、583歳まで生き永らえたというそのお方の墓は、石川県宝達志水(ほうだつしみず)町にある河原三ツ子塚古墳群の、十基あるお墓の中の一つ。
意外に(でもないか、本物じゃねえし)規模は小さい。
現地は観光地化され、設置された公園の名がド直球の「モーゼパーク」(※)。
ヘブライ風の石柱まで建てちゃって。
いや、観光地化するのはよいでしょう、元々古墳だし。
なんならモーゼまんじゅうでも、オムレツにケチャップでモーゼの顔書いてモーゼオムレツでも。
皿にモーゼの顔描いてヒゲが焼きそばのモーゼ焼きそばなんてどうかな?
お土産に、シナイ半島にちなんで「シナイ竹刀」、はさすがにムリか。
さてその根拠とは?
しかし商売繁盛とうわさが事実かどうかとは別問題なので。
このうわさの元ネタはと言うと、出ましたあの竹内文書(たけうちもんじょ、竹内文献とも)。
以前の拙ブログ、「日本の『ピラミッド』考」でもちょろっと出てきた。
この文書についての疑念は既に方々で語られ尽くしている今日。
私が殊更にここで云々しなくとも、それを古代から受け継がれた本物の文書と捉える人は既にごく一握りのビリーバーだけでしょう。
体系だった批判の嚆矢は狩野亨吉・元京都帝大教授の「天津教古文書(竹内文書のこと)の批判」(※3)に見られる。
文法、仮名遣い、律令制における位階の呼び名といったものの時代考証やその他の分析から、これを明治期以降に書かれた偽物とほぼ断定。
先祖より竹内文書を受け継いだとする竹内巨麿(1874?~1965)の証言は嘘で、おそらく当人の捏造だろう、ということに。
当然モーゼの墓もあやしくなる、まあ583歳まで生きたって時点でもうたいがいなんだけどさ。
ASIOS本城走る
元データたる竹内文書の怪しさは分かった、と。
さらに二次資料(※2)著者の本城達也は実際に現地を訪問して、更なる調査を行いました。
町の生涯学習課で話を聞き、うわさの更なる詳細について聞き取り。その結果は、
・戦後GHQの兵士が発掘調査をしたといううわさがあるが、それは真実
・発掘調査には地元の人も協力した。
・人骨が出たといううわさはウソ、出なかった。
また、地元の人もそれがモーゼの墓だと本気で信じているわけではないという印象を受けた、とも。
私が本城さんの調査結果をここに挙げたのは、竹内文書がらみでモーゼ墓説を信じるのは勝手だけれども、そういう人達が断続的継続的に現地を訪れ、市の担当部署に同じような質問をすることで市の業務に支障があるようではまずいと思ったから。
現地調査自体は大切なことですがね、一般的には。
現地住民の方々は訊けば親切に応えてくれるようです。
観光客はそりゃウェルカムでしょう。
私も時間があればツーリングがてら行ってみたいものです、宝達志水町。
能登半島の付け根に位置し、長大な砂浜は車で走行可能。日本海に沈む夕日なんて素敵じゃないですか?
(※)「伝説の森 モーゼパーク」、(宝達志水町観光サイトより)
https://www.hodatsushimizu.jp/kanko/kanko/3/others/1478.html
(※2)「謎解き 古代文明」、ASIOS、彩図社(2013)
○新刊 脳は心を創らない ー左脳で理解する「あの世」ー
(つむぎ書房、2023年)
心の源は脳にあらずとする心身二元論と唯物論を統合する新説、「PF理論」のやさしい解説。テレパシーやミクロ念力などの超心理現象も物理学の範疇に。実証性を重視し、科学思考とは何か、その重要性をトコトン追求しつつ超心理現象に挑む、未だかつてない試み。「波動を整えれば病気は治る。」こんな「量子力学」に納得しちゃう人、この本を読んだ方が良いかも!?あなたの時間・お金・命を奪うエセ科学の魔の手から自分を救うクリティカルシンキング七ヶ条。本書により科学力も鍛えられちゃう。(概要より)
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