ダニエル・ディアス選手の泳ぎのすばらしさを語ります。
とりあえずこの選手は本当にいい泳ぎしてる!
昨年のロンドン世界選手権でも金1銀2銅1メダルを取っているDaniel Dias 選手。インスタグラムも6万人以上からフォローされ、ファンの多さが分かる。
今回はじっくり泳ぎを見ていく。分かりやすくするため、アニメーション動画を作ってみた。
私の印象に残った、2012年ロンドンパラリンピックのS5、200m自由形の決勝の泳ぎを元にしている。
1.落ちない速いピッチ
ダニエルディアス選手の腕の回転はかなり速い。前半は1.0~1.2のペース(1秒に約1ストローク)の速さで腕を回し、その勢いを最後まで維持している。オリンピックの選手で200mのレースを泳ぐ場合は、このペースで泳げない。なぜなら速く回しすぎて、バテるか、逆に効率が悪くて腕を速く回すことを選択しない。
つまり、速いピッチはダニエルディアス選手ならではの泳ぎである。実は、腕の欠損選手にはよく見られる傾向なのだ。腕の欠損選手は、しっかり水をかくのではなく、ピッチを上げてテンポよく泳ぐ人が多い。腕の力から推進力を得ることは難しいのかもしれない。ついでに、ダニエルディアス選手の2012年ロンドンパラリンピックS5、200m自由形の決勝タイムを載せておく(下の図)。
2.キックのうねり
よく見るとバタフライに似たキックのうねりが確認できる。
右手の入水時に左足で大きくキックをうねりながら打つ。次に左手が入水後、呼吸前に右足で軽くキックを打つ。
まさに、第1キックは呼吸後に強くドン、第2キックはトン、と軽くキックを入れる。推進力を得るキックと呼吸をスムーズに行うキックを交互に打っているのだ。
これは片足の選手に多い傾向だ。キックの推進力だけでなく、体のうねりによって体全体を使ってより大きな推進力に変えている。そんなイメージである。
3.手・腕の使い方
最後に水中の腕の動きに注目した。左腕(右より少し長い腕)の水中動作は健常選手に近いと思う。肘を立てて水を腕全体でとらえている。逆に右腕は水をかくというより、流して速く水中に引き上げているように見える。右手はゆっくりかくと沈みやすいのかもしれない。
そして、左腕(右より少し長い腕)が水中の入った時に、呼吸をしている。これも右手より左手の方が安定して水をとらえることができるため、呼吸がしやすいのか?この点についてはまだまだ多くの選手の事例と照らし合わせて検討する必要がありそうだ。
以上、ダニエルディアス選手の泳ぎを解説してみた。速さの秘訣は
・速いピッチを維持する
・キックのうねり動作
・右手は肘を立ててかき、呼吸時に右手で体を支える
この3点にあるのかもしれない。
といっても、科学的な実験をしたわけではないので参考程度にしてくださいね。アニメーション動画を見たい方はこちら。
それにしても選手それぞれで泳ぎが違うからパラ水泳は面白い。
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編集長
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🔴Daniel Dias 選手の紹介
https://www.parasapo.tokyo/super-athletes/ダニエル・ディアス
🔴アニメーション(Daniel Dias 選手の泳ぎ)
https://youtu.be/a8GK5Rrloqs
🔴アニメーションの参考にしたDaniel Dias 選手の泳ぎ(7:30 ~あたり
水中映像)
Swimming | Men's 200m Freestyle S5 final | Rio 2016 Paralympic Games
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