水泳とメディシンボールは深く関係する
日常のトレーニングでよくメディシンボールを使用する姿を見かけませんか?
なぜ水泳選手はメディシンボールを使ってトレーニングをするのかを理解しておくだけで、その効果はより向上すると思われます。
知らない方はぜひ最後までご覧ください!
➀水泳×メディシンボール:なぜトップスイマーが注目するのか?
一見すると「水」と「ボール」という異なる要素が結びつかないように感じますが、その背景には科学的な理由があります。
結論から言うと、
メディシンボールは水泳動作に近い形でパワーを評価・向上させるための有効な練習方法なのです。
➁速く泳ぐために必要な“2つのこと”とは?
スイマーが速く泳ぐためには、次の2つのことが重要になります。
抵抗する力を少なくする(抵抗の軽減)
水中での摩擦や抵抗を最小限にすることで、効率的に進むことが可能です。推進する力を高める(推進力の増加)
前方へ進むための力を、いかに大きく、そして効率的に生み出せるかが勝負の分かれ目です。
そして、この「推進力」を生み出すためには、
“力”と“スピード”を掛け合わせたパワーが鍵となります。
メディシンボールは陸上でこの「パワー」を効率よく鍛えるための優れたトレーニングツールなので、皆さんが取り入れているということなのです。
③エビデンスに基づくメディシンボールの活用
ここからは論文を引用してメディシンボールの活用方法やどの泳ぎのパワーを向上させるかを紹介します。
研究により、クロールの25m・50mのレースタイムは、1kgと3kg
メディシンボール投げのどちらの成績とも良好な関係性があることがわかっています。
※ただし座って背中は壁につき前方へチェスト投げをする投げ方
また補足として、この研究はクロールの25m・50mのレースタイムと以下の体力テストの関連も調査しています。
6RMレッグエクステンション
6RM ベンチプレス
垂直跳びジャンプ
その中で1kgと3kgのメディシンボール投げがクロールの25m・50mと最も関連性が高いことが分かっています。
6RMレッグエクステンション、6RM ベンチプレスもクロールの25m・50mと関連はあります。
研究により、メディシンボールを使った「ダウンスロー」(両手でメディシンボールを頭上から下方へ全力で投げる動作)が、バタフライやクロールの上肢推進動作と関連していることが示されています。
研究で使用したメディシンボールは3kg、4kg、5kgで
クロール
バタフライ
背泳ぎ
が上肢動作のみの15m泳や牽引のパワー評価(錘をひっぱる)と関連するか調査しています。
結果として、クロール、バタフライ、背泳ぎのタイムと4kgボールのダウンスローには正の相関が見られました(タイムが良い選手ほど高いパワーを発揮)。
また面白い結果としてはその中でも
バタフライが一番メディシンボール投げと関連が強いことが分かっています。
ダウンスローは、クロールやバタフライの水中ストロークにおける牽引力と類似した動作です。
つまり、バタフライを得意とするスイマーの特異的なパワー評価として有効です!
4Kgメディシンボールを足もとへ全力で放り投げるだけで筋パワーを評価できます!
以下のテストを実施してみてください。
メディシンボール投げを軽い負荷で練習する(数回)
試技は3回(最大値を記録)
各試技間は60秒以上の休息
記録は踵からメディシンボールが地面に接地した箇所とする
クロールの全力泳とテストの結果は相関します。
論文には50mクロールのタイムとメディシンボール投げの飛距離も載っています。POTがメディシンボール投げテストになります。
例えば男性で50mクロールを25秒台で泳ぐ選手は、4㎏メディシンボールを4.5~5.4m飛ばしています。
ご参考にしてみてください!
まとめ
メディシンボールを使ったトレーニングは、単なる筋力強化ではなく、スイマーの特異的な動作に基づいたパワー向上と評価が可能です。
特にバタフライとクロールのスプリント力を高め、さらなる記録更新を目指す選手にとって、メディシンボールは欠かせないツールとなるでしょう。
陸上でのトレーニングが水中の未来を変える!
さあ、あなたもメディシンボールを取り入れたトレーニングを試してみませんか?