08_呼吸器系【救急救命士国家試験対策】
国家試験定期試験出題内容のまとめ
【呼吸器系】
1. 呼吸の基本概念
肺胞
肺胞は肺の最も末端に位置する微小な袋状の構造で、肺のガス交換の主な場所です。肺胞壁を通じて血液と空気間の酸素と二酸化炭素の交換が行われます。
気道
気道は大気と肺胞を繋ぐ通路で、上気道(鼻腔から喉頭まで)と下気道(気管から気管支、肺胞まで)に分けられます。
外呼吸と内呼吸
外呼吸は肺胞と大気間のガス交換で、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出します。
内呼吸は細胞レベルでのガス交換で、組織と毛細血管間で酸素と二酸化炭素が交換されます。
2. 気道の構造
喉頭の軟骨
喉頭は声を生成し、気道を保護する役割を持ちます。主要な軟骨には喉頭蓋軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、輪状軟骨が含まれます。
気管
気管は首の下部から胸部にかけて伸び、左右の主気管支に分岐します。この分岐点はカリナと呼ばれます。
3. 呼吸運動
吸気
吸気時には横隔膜が下降し、胸郭が上昇して拡張します。これにより肺に負圧が生じ、空気が吸い込まれます。
呼気
呼気時には横隔膜が上昇し、胸郭が収縮します。この動作で肺内の空気が外へ押し出されます。通常は受動的ですが、激しい活動時には腹筋などが活動し、積極的に空気を押し出します。
4. ガス交換と血液中の酸素輸送
酸素解離曲線
酸素解離曲線は、血液中のヘモグロビンが酸素とどれだけ結合しているかを示します。pHの低下(アシドーシス)、体温の上昇、二酸化炭素濃度の増加は曲線を右にシフトさせ、酸素の放出を促進します。
酸素飽和度 (SO2) と酸素分圧 (PO2)
SaO2は動脈血中の酸素飽和度で、SpO2は皮膚の表面で非侵襲的に測定される酸素飽和度です。
酸素分圧(PO2)が60mmHg以下になると、酸素飽和度は急激に低下し、組織への酸素供給が著しく減少します。
5. 呼吸の調節
不随意呼吸
橋と延髄の呼吸中枢が主にCO2濃度を感知し、呼吸の深さと頻度を調節します。
随意呼吸
大脳皮質からの信号により、意識的に呼吸の制御が可能ですが、基本的には自動的に管理されます。
化学受容体
頸動脈小体と大動脈小体は低酸素状態(低PaO2)を感知し、呼吸を刺激します。
延髄の化学受容体は高CO2濃度(高PaCO2)を感知し、呼吸を促進します。
6. 呼吸の指標
呼気終末二酸化炭素 (ETCO2)
ETCO2は、呼気の終わりに測定される二酸化炭素の濃度で、換気の効率を評価する重要な指標です。
問題
ガス交換を行う所を __________ という。
肺胞と外気との間のガスの通路を __________ という。
大気中から酸素を取り入れ二酸化炭素を放出するガス交換を __________ という。
組織で酸素を取り入れ二酸化炭素を放出するガス交換を __________ という。
気道は鼻腔から喉頭までの __________ と気管より末梢の __________ に区分される。
口腔の上壁の前方約 __________ は骨性部の硬口蓋、後方約 __________ は筋性部の軟口蓋である。
喉頭は主に4つの軟骨である、喉頭蓋軟骨、 __________ 、 __________ で形成される。
気管はおよそ第 __________ ~ __________ 胸椎の高さで左右の気管支に分岐する。
切歯から気管分岐部までの距離は成人男性で __________ cm、女性で __________ cmである。
__________ までは鼻呼吸であるため、鼻閉は換気障害の原因になる。
右主気管支は左に比べて __________ く短く、正中線に対する角度が小さい。
肺表面を覆う胸膜を __________ 、胸壁内面を覆う胸膜を __________ と呼ぶ。
安静時の吸気量は __________ %が横隔膜の機能によるものである。
胸腔内は常に __________ である。
横隔膜は頸髄神経第 __________ ~ __________ からの横隔神経で支配される。
主な吸気筋群には __________ 、僧帽筋、斜角筋、外肋間筋、横隔膜がある。
主な呼気筋には __________ 、腹直筋、外斜角筋、内腹斜筋、腹横筋がある。
気管、気管支、肺胞隔壁の栄養血管は肺動脈とは別に __________ が受け持っている。
呼気終末 __________ をモニターすることは換気の指標の一つとなる。
酸素解離曲線において __________ 、体温上昇、低酸素状態では右方移動する。
成人男性で血液100mL当たり __________ gのヘモグロビンが存在し、1gのヘモグロビンは __________ mLの酸素と結合する。
酸素と結合しているヘモグロビンの割合を __________ (SO2)という。
動脈血中の酸素飽和度を __________ といい、非侵襲的に測定した酸素飽和度を __________ という。
酸素分圧(PO2)≦ __________ mmHgでは酸素飽和度は急激に減少し、組織への酸素運搬量は著名に減少する。
不随意的な呼吸の調節は橋から延髄に存在する __________ によって営まれる。
随意的呼吸運動は __________ にその中枢がある。
PaO2の低下は __________ と __________ の末梢化学受容体で変化を感じ取る。
PaCO2の変化は主として延髄腹外側にある __________ により感知されて呼吸調節が行われる。
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解答
ガス交換を行う所を肺胞という。
肺胞と外気との間のガスの通路を気道という。
大気中から酸素を取り入れ二酸化炭素を放出するガス交換を外呼吸という。
組織で酸素を取り入れ二酸化炭素を放出するガス交換を内呼吸という。
気道は鼻腔から喉頭までの上気道と気管より末梢の下気道に区分される。
口腔の上壁の前方約2/3は骨性部の硬口蓋、後方約1/3は筋性部の軟口蓋である。
喉頭は主に4つの軟骨である、喉頭蓋軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、輪状軟骨で形成される。
気管はおよそ第4~6胸椎の高さで左右の気管支に分岐する。
切歯から気管分岐部までの距離は成人男性で25cm、女性で23cmである。
1歳までは鼻呼吸であるため、鼻閉は換気障害の原因になる。
右主気管支は左に比べて太く短く、正中線に対する角度が小さい。
肺表面を覆う胸膜を臓側胸膜、胸壁内面を覆う胸膜を壁側胸膜と呼ぶ。
安静時の吸気量は70%が横隔膜の機能によるものである。
胸腔内は常に陰圧である。
横隔膜は頸髄神経第3~5からの横隔神経で支配される。
主な吸気筋群には胸鎖乳突筋、僧帽筋、斜角筋、外肋間筋、横隔膜がある。
主な呼気筋には内肋間筋、腹直筋、外斜角筋、内腹斜筋、腹横筋がある。
気管、気管支、肺胞隔壁の栄養血管は肺動脈とは別に気管支動脈が受け持っている。
呼気終末二酸化炭素をモニターすることは換気の指標の一つとなる。
酸素解離曲線においてアシドーシス、体温上昇、低酸素状態では右方移動する。
成人男性で血液100mL当たり15gのヘモグロビンが存在し、1gのヘモグロビンは1.34mLの酸素と結合する。
酸素と結合しているヘモグロビンの割合を酸素飽和度(SO2)という。
動脈血中の酸素飽和度をSaO2といい、非侵襲的に測定した酸素飽和度をSpO2という。
酸素分圧(PO2)≦60mmHgでは酸素飽和度は急激に減少し、組織への酸素運搬量は著名に減少する。
不随意的な呼吸の調節は橋から延髄に存在する呼吸中枢によって営まれる。
随意的呼吸運動は大脳皮質にその中枢がある。
PaO2の低下は頸動脈小体と大動脈小体の末梢化学受容体で変化を感じ取る。
PaCO2の変化は主として延髄腹外側にある中枢化学受容体により感知されて呼吸調節が行われる。
練習問題
問題 1
ガス交換が行われる場所はどれですか?
A) 気道
B) 肺胞
C) 喉頭
D) 鼻腔
E) 胸膜
答え: B) 肺胞
問題 2
大気中から酸素を取り入れ、二酸化炭素を放出するガス交換を何というか?
A) 内呼吸
B) 外呼吸
C) 吸気
D) 呼気
E) 換気
答え: B) 外呼吸
問題 3
組織で酸素を取り入れ、二酸化炭素を放出するガス交換を何というか?
A) 外呼吸
B) 換気
C) 内呼吸
D) 吸気
E) 呼気
答え: C) 内呼吸
問題 4
気道は鼻腔から喉頭までの上気道と、気管より末梢の何に区分されるか?
A) 中気道
B) 前気道
C) 後気道
D) 下気道
E) 末端気道
答え: D) 下気道
問題 5
成人男性の切歯から気管分岐部までの距離は何センチか?
A) 20cm
B) 21cm
C) 22cm
D) 23cm
E) 25cm
答え: E) 25cm
問題 6
右主気管支は左に比べてどうなっているか?
A) 太く長い
B) 太く短い
C) 細く長い
D) 細く短い
E) 同じ長さ
答え: B) 太く短い
問題 7
肺表面を覆う胸膜を何というか?
A) 臓側胸膜
B) 壁側胸膜
C) 胸膜腔
D) 気胸膜
E) 横隔膜
答え: A) 臓側胸膜
問題 8
安静時の吸気量の約70%がどの筋肉の機能によるものか?
A) 胸鎖乳突筋
B) 横隔膜
C) 内肋間筋
D) 腹直筋
E) 外肋間筋
答え: B) 横隔膜
問題 9
胸腔内の圧力は通常どうなっているか?
A) 陽圧
B) 等圧
C) 陰圧
D) 正圧
E) 大気圧
答え: C) 陰圧
問題 10
横隔膜はどの神経によって支配されているか?
A) 肋間神経
B) 横隔神経
C) 副神経
D) 顔面神経
E) 頸神経
答え: B) 横隔神経
問題 11
呼気筋として働くのは次のうちどれですか?
A) 横隔膜
B) 外肋間筋
C) 胸鎖乳突筋
D) 内肋間筋
E) 斜角筋
答え: D) 内肋間筋
問題 12
気管、気管支、肺胞隔壁の栄養血管を受け持つのはどれか?
A) 肺動脈
B) 肺静脈
C) 気管支動脈
D) 大動脈
E) 肺静脈洞
答え: C) 気管支動脈
問題 13
呼気終末の何をモニターすることで換気の指標になるか?
A) 酸素
B) 水蒸気
C) 二酸化炭素
D) 窒素
E) 一酸化炭素
答え: C) 二酸化炭素
問題 14
酸素解離曲線においてアシドーシス、体温上昇、低酸素状態では曲線はどう移動するか?
A) 左方移動
B) 右方移動
C) 上方移動
D) 下方移動
E) 移動しない
答え: B) 右方移動
問題 15
成人男性の血液100mLあたり存在するヘモグロビンの量はどれですか?
A) 10g
B) 12g
C) 13g
D) 15g
E) 17g
答え: D) 15g
問題 16
酸素と結合しているヘモグロビンの割合を何というか?
A) 酸素分圧
B) 酸素飽和度
C) 酸素解離度
D) 酸素量
E) 酸素換気率
答え: B) 酸素飽和度
問題 17
動脈血中の酸素飽和度を指す用語はどれですか?
A) PaO2
B) SpO2
C) SO2
D) SaO2
E) PO2
答え: D) SaO2
問題 18
酸素分圧が60mmHg以下になると何が急激に減少するか?
A) 酸素濃度
B) 酸素分圧
C) 酸素解離度
D) 酸素飽和度
E) 二酸化炭素飽和度
答え: D) 酸素飽和度
問題 19
不随意的な呼吸の調節を行う呼吸中枢はどこに存在するか?
A) 大脳皮質
B) 延髄
C) 小脳
D) 橋
E) 脊髄
答え: B) 延髄
問題 20
PaCO2の変化を感知して呼吸調節を行うのはどの受容体か?
A) 末梢化学受容体
B) 中枢化学受容体
C) 筋紡錘
D) 圧受容体
E) 温度受容体
答え: B) 中枢化学受容体
参考文献:救急救命士標準テキスト
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効率的な学習の3ステップ
講義の復習
授業で強調された内容をメモし、理解できなかった部分は講師に質問!参考書や資料を活用して理解を深めましょう。問題を解く
問題を解くことで理論を実践に結びつけ、時間制限を設けることで試験本番への準備が整います。特に間違えた問題を重点的に復習することが重要です。解答と選択肢を見直す
間違えた問題を振り返り、なぜ間違えたのかを理解して次に活かしましょう。微妙な選択肢の違いにも注目し、落とし穴に気づく力をつけていきます。
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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト
08_呼吸器系
①音声解説
②聞き流し1問1答
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