さなコン3の好み作品の感想
さなコン3の反省をしていて、
……と書いたんだけど、人外SF盛り上がりのためには、自分がさなコン3参加作で、好みに合った小説の感想を書いたら良いのではないか? と思い至った。というわけで完全に「萌える人外(できれば男性の方が良い、非人間、亜人、ロボット、AI等)が登場した」という基準で五作の感想を書いた。本当に好みで選んだので(見当たらなかったので記憶を頼りにした作品もある……)失礼や思い違い等あるかもしれない。そこは予め断っておく。あとネタバレ配慮しない。
あと、「批評をする時は相手の作者がもうこの世にいないものだと想定しなさい」「批評をする時は自分のことは棚に上げなさい」と聞いたことがあるのでそれに倣う。(まあ感想だけど)
ちなみにさなコン3全体の読書量は目についたものと、絞り込み検索と、一次通過作のうち三分の二くらいをランダムで読んだかな……って感じ。
オール・ユー・ニード・イズ・ロケット
ハリウッド的捕物劇を裏返して復讐譚にしたダイナミックな展開が良かった。上手いから二次行くかなとも思った。田中とAIの父子関係が後から浮かび上がってきたのが良かったし、復讐のエグさやサイコパス的な詰め方がAIならではでぐっと来たのだけど、
ラストの「憎悪を教えたのは」だけあんまりピンと来なかった。読み直してエマの息子が影響したのかな、と理解したけど読み違えているのかもしれないし分からない……。ここさえハマれば……! と思った。
ロボット遊園地
(見当たらなかったけど削除かタイトル変更されてしまったのかな? 記憶で書く)主人公が幼少期にオープンした遊園地のロボットにシューティングゲームを励まされ、引退して閉園する遊園地で出会ったロボットと寂しさを分かち合い、そして老いて介護施設で出会ったロボットにかつてゲームで言われた時のような言葉でリハビリを励まされる……と、同一かもしれないロボットに人生の要所要所で出会う、非恋愛なのに運命的な展開が良かった。短いけどエモかった。
エンタメ用に容姿が整っていたロボットが介護用に無骨なデザインに作り替えられていた、というのが個人的な萌えポイント。
どうせいくならこんなところ
タイトルが悠然としていて良い。主人公の老人が亡き妻と行きたかった地、幼少期に過ごした地、を順に選んで最後に選んだ場所が魂に刻まれた真に好きなもののところ……という話の流れが雄大。
「チャンス三回」を言い渡す上位存在ヘルメスが絆されちゃうところも個人的に萌え。
下世話な僕らのイカれた平穏
三毛猫型のロボットである「父さん」のキャラクターがすごく好き。最萌え。コミカルな文章もわくわくして楽しかった。だからこそ逃亡劇パートを膨らませて、この調子で大冒険(作中作デスゲームにも連想出来るような)を繰り広げて欲しかったなー! とも思う。最高の映画の序盤とエピローグだけ見せられた感じ。
必ずいつか会いに行く
言葉選びのセンスがぶっ飛んでいて良い。コオロギ亜人のK・Kさんのビジュアルとラブコメ展開が好みだったが(バイオリンと翅のセッションとか素敵)、ラブコメが好みだっただけに、最後の侵略受ける展開でそっちじゃない! そしてここまで来たならオチは再会まで見せてくれ! と思ってしまった……。
その他印象に残っている作品
「運命の日のリハーサル」
序盤の構成が読みにくかったが途中から突然謎の昭和ネタ満載(昭和マニアってことだったけどアラフォー同士くらいのラブコメでも良かったのでは)の漫才の応酬になってニヤニヤしながら読んでたら最後の台詞で相手の方もリハーサルしてたのか! 話が合うはずだよ! と大納得させられた。
「クロノトリアージ」
トリアージカードネタという発想が良かった。色を選ばせるのもトイレの怪人を思わせる。主人公の最後の選択が悲壮だし、それによって魂のステージが上がったという結末がなんとも皮肉で良かった。自己犠牲がかっこいい。
「かつては神だったのに今はぼっとんトイレに住むことになった我(ベルゼブブ)追い出される」
いくらなんでも後半横道に逸れすぎのダイジェストすぎでしょと思ったけどチャンス三回を言い渡すのが人間→魔王っていう導入部分が良かったし、魔王が可愛かった……。
「秋吉洋臣は傑作SFを完成させたい」
AIアッキーとのやりとりが良かった。元ネタの有名作をもっと知ってればもっと楽しめたんだろうな〜と思う。……あと秋吉さんご本人がブックマークしてるの何? そこまで狙ってのメタネタ? 冬吉さんは存在するの……?