韓国アニメ『整形水』のジェンダー論的考察(ネタバレ)
2020年の韓国アニメ。外国の"anime"は初めて見るかもしれません。
ジェンダー論的な考察ですが、ネタバレ含みます。
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まず、『週刊ストーリーランド』の「美人のシャワー」と、『ゴールデンカムイ』の家永カノさんの回を思い出しました。
「ニューハーフ」のシャルロットの回、懐かしいですね。
パクったとはいいませんが、「整形」関係だと、よくあるSF的題材なのでしょう。
さて、わからなかったのは、最後のところです。
物語は「ただの性格の陰湿な肥満体系の女性」が主人公で進むのですが、やはりというか、最後に、少し「倒錯」(⋯という表現にとりあえずしておきます)した自分が現れます。「男性の体」で化粧をしてウイッグをする人物ですね。その人物に主人公が食べられてしまうわけです。正確には、肉体の一部として取り込まれる。
で、どうやらその「男性」、実は、もともと「ブス」として虐げられてきた女性のようなんです。出生時は女性で、女性として育てられた、ということです(紛らわしい。。)
それで、美人を狙っては自分の体(皮膚)に取り込んでいるのですが、その人物が「完璧を目指して男性の体になったの」と言うシーンがあります。
いったいなぜ、「生まれたときに女性の身体だった人が、イケメン男性の身体になって、さらにはメイクをしてウィッグをかぶって女装して、美人女性のパーツを自分の皮膚に取り込む」のでしょう??
世の中には、「女装する男性(or"女装子さん")になりたい!」と言う生来の女性がいます。そういう感じなんでしょうか?
女性の身体性をなくし、そのうえで女性の綺麗さを求める。
なんとも複雑ですが、そうしたジェンダー論的な解釈の余地があるという点で、なんとも新鮮な映画でした。
ストーリー自体は、とくに目新しいことはなく、人物の描き方が少し韓国っぽいのかなあ、くらいなものでした。(コロナワクチンで寝込んでいたのでダラダラ見た感じです。)
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さて、「男性になって女装する」というのは、昨今韓国で興隆している「TERF」言説、あるいは半宗教的ラディカルフェミニズムの影響もあったりして。だとしたら、細かく批判していかないといけないわけです。が、そこまでして取り上げるべき映画なのかと言うと、なんとも言えません。
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