チートとmodの違い チートが何故いけないのか?
PS5の転売騒動も一時はどうなるかと思いましたが、各販売サイトの運営さんもしっかり対応してくださったようで、ほぼ撲滅したようですね。
今回はチートとmodの違い、何がいけなくて何が良いのか。それを理屈建てて解説していきたいと思います。
まず、チートについてなんですが、この記事を読むような人はどんなものかってのは分かると思うので、説明は割愛します。
では、modのことについては皆さんご存知ですか?
modというものがあることは知ってても、触ったことや目にしたことはなくて、実際どんなものなのかは知らないという方も多いと思います。
とはいえ、マインクラフトのゲーム実況は見たことある人は多いでしょう。有名なのは影modや竹modですね、マイクラ実況ブームが来た時めちゃくちゃ流行ってました。
modとはmoddification(変更、修飾などの意味)の略称で、要はゲームをより面白くする追加要素です。
modの導入方法は、mincraftであればゲームのプログラムファイルの中にmodを入れる専用の領域(modフォルダ)があって、そこにmodのプログラムを入れる、もしくは別に用意されたmodのソフトがゲームのプログラムを自動で編集します。そうすると次起動したときにmodがゲームのプログラムのうちの一つとして動くようになります。
では、皆さんはチートはどのようにして動かしていると思いますか?
私自身はチートは使ったことがないですが、おそらくmodと全く同じ手順を踏んで動かされていると思います。
つまり、武器やアバターのプログラムを編集したり、敵の位置を分かるようにするようなプログラムを入れているのでしょう。パッと見は本当に全く同じです。
ではなぜmodは良くてチートはいけないとされているのでしょか?
やってることが同じなら、もしかしたらチートって皆が言ってるほど別に悪いことでもないのではないか。もしくはチートとやってることが同じなら本当はmodもやっちゃいけないことで、黙認しているだけなのではないか。
もちろんそんなことは無くて、皆さんの認識通りmodは良くてチートは悪いものです。
では、それはなぜかと言いますと、チートは不正ツールに値するからです。
不正ツールというのは、名前の通り認められていない操作をするツールのことで、例を挙げると、特定のプレイヤーだけ攻撃力や防御力を異常に上げたり、ひどいときにはサーバーをハッキングして進行中のマッチを強制終了させてしまう、というものです。つまり、一緒にやってる他のプレイヤーに迷惑がかかるものです。
これはどのゲームでも基本的には規約によって禁止されています。
こう聞くとほとんどの人はチート行為がいけないものだということが分かるでしょう。
でもたまにいるんですよこういう人が...↓
もっとひどいと、人によっては「チートを使うことだって実力のうちだ」とか「チート使えるのに使わないのはただの縛りプレイ、勝ちへのこだわりが無い」とか言い出すんですよね.....,
今回の記事は言ってしまえば、正論と倫理と感情でチーターを論破してしまおうというものです。なのでここからは法律や過去の偉人が考えた理論、いちプレイヤーとしての意見を交えて話したいと思います。
まず、チート行為がだめな理由として、ゲームの利用規約とか以前に違法行為なんです。「たかがゲームでチート使うくらいいじゃねぇか、違法でもなんでもねぇし」
いや、違法なんです。
調べると、該当する法律としては、電子計算機損壊等業務妨害罪(ハッキングはだめだよ)、偽計業務妨害罪(デマ流しちゃだめだよ)。他にも同一性保持権だったり、不正競争防止法2条1項10号及び11号の条文にあたったり、著作権の侵害などという問題もあるのですが、複雑な話になってしまうので主に前に書いた2つについて書いていきたいと思います。
電子計算機損壊等妨害罪とは、
コンピューターや記録の破壊、または虚偽の情報または不正な指令を与え、使用目的とは違う動作をさせて人の業務を妨害する犯罪。つまるところハッキングというやつですね。
本来ゲーム、特にオンライン対戦ゲームというのは、運営の管理下のもと自分と敵が平等な状態でマッチが行われなければいけません。武器やマップなどで戦う前から不平等が発生してしまう場合がありますが、それは運営が意図してのものであり、しかもどの武器を使ってどのマップで戦うかの選択権はプレイヤーに委ねられています。
しかしチーターは自分の使ってる武器のデータやキャラクターの体力、防御力などを改ざんし、ゲームの処理を本来意図されてないものとすることによってゲームバランスを崩してしまい、他のプレイヤーは不公平なマッチをしなければならなくなってしまいます。これはオンラインゲームにおいて、とても許されないことです。
そして、チーターが好き放題暴れてそのゲームの悪い噂などが広まり、悪い印象がついてしまうと、ユーザーが離れてゲームが衰退してしまい、運営していた会社は収益を得られなくなってしまいます。
これが偽計業務妨害罪となります。
以上から、チートとはゲームの利用規約上だけでなく、法律上でも違法だとされており、決して使ってはならないものだということです。
「そんなにいけないことなら、ゲーム側も絶対にチート入れられないように作れよ!ちょっと楽しもうと思って使っただけなのに捕まるなんてあんまりだ!」という話も聞いたことがあります。
確かに、ゲームを運営して不正を規制する上で、運営側も規約を作るだけでなくその対策もしっかりする義務があると思います。そして、今のオンライゲームのチート対策が不十分......というより、パソコンでやるゲームの仕組み上、今の状況が限界というのも事実です。
ですが、これを現実に置き換えて考えるとどうでしょう?
とある田舎の銀行.....警備員もおらず、防犯設備も時代遅れのものしかありません。そしてその銀行に強盗が入ったとするならば、もちろん十分な対策をしていなかった銀行も責任は問われるでしょうが、だからといって強盗を無罪にしていい理由にはなりません。
ちょっと楽しもうと思って、ということについても同じことが言えます。
ちょっと魔が差してしまっただけでコンビニにある商品を万引してしまったとして、これは許されるでしょうか?許されませんね。それと同じです。
......とまぁ、正論だけでチートがどれだけ悪いか、と言うのを話したのですが、ここまでは他のチートを批判する記事にも書かれていますし、実際日本でもこの罪で逮捕されたという事例も何個か見たことがあると思います。
しかし、こんな法律という当たり前なことを話題に出されても納得行かない人も多いでしょう。(現にチートが無くならないのはその罪の意識が薄いからでしょうし......)
一度法律のことは忘れて、もうちょっと他の視点で話してみましょう。
なぜ皆さんはチートは悪だと考えていますか?
それはもちろんムカつくからでしょう。
こっちは真面目にゲームをプレイしてるのにチートを使われて簡単に打ち負かされる、そしてそのループでまともにゲームをプレイできなくなる......
純粋にゲームを楽しみたいだけなのに、こんなことをされるとムカつくのは当たり前です。
私のネットの友人はこう表現してました。
「オンラインにおいて他人の時間を奪ってるから」
ゲームを楽しもうと思って、10分ないしは30分ほどのマッチに参加してるのにそれを全てぶち壊してしまう。それだけではありません。FPSではただ楽しみたいだけではなく、何十時間、何百時間と時間を費やして磨いたゲームのテクが、どれだけ通用するか本気で試しに来てる、いわば真剣勝負をしにマッチに参加してきているプレイヤーも多く居るのですが、チーターがいるとそのマッチの時間だけではなく、その人達が今まで費やしてきた膨大な時間も全て無駄にしてしまうのです。
しかし、チート行為をあまり悪いことだと思ってない人たちの中には、先程画像で挙げたように「チート使って勝つのがだめなら、練習して勝つのもだめだろ」などという方も多少存在します。
もし、この言い分を一理あると捉えるとして(実際は全くありません)、もう少し分解して言い方を変えるとすると、
「うまい人たちはゲームをプレイすることが好きで長い時間をかけて上手くなって、チームを勝利に導けるようになったのだろうが、自分はまだ初めたばっかり(もしくはあまりプレイしていない)でそんな力もないし、今から練習するとなると同じようにとても長い時間がかかる。だけど自分はゲームをプレイしたいのではなく、手っ取り早く勝ちたいからチートを使うだけだ。頑張って練習するかチートを使うかで過程は異なるが、”勝つ”という目的は両方とも変わらないのだから、どちらも同じではないか?うまい奴だけ勝って楽しめるなんてずるい。」
......恐らくこういうことだと思います。自分で書いてて我ながら自己中心的だなと思いました。
さて、このことについて詳しく話していきたいのですが、その前にまず皆さんは”平等”と”公平”の違いは分かりますか?
意味がほぼ一緒で、認識的には正直違いは分からない、というのがほとんどだと思います。
そこで調べたのですが、岡山大学経済学雑誌の新村 聡先生が作った資料にはこう書かれています。
『平等と公平が異なることをはっきりと示すのが,悪平等批判である。たとえば,勤勉な労働者と怠惰な労働者に同額の賃金を支払うことは,悪平等であり不公平であると言われる。多くの人々は,勤勉に比例して異なる額の賃金を支払うことが,つまり勤勉な者により多くを支払い,怠惰な者により少なく支払うことが公平であると考えている。』
つまり、平等とは上手い下手関係なく楽しめること。公平とは頑張って上手くなった人だけがそれ相応に楽しめるということです。
そこで、さっきのチーターの言い分に話を戻しますと、確かに皆が平等に楽しめるというのはコンテンツとしてとても重要なことだとは思います。ですが、だからといって努力してきた人たちが不幸になるのは道理として間違いだとは思いませんか?自分が楽しみたいからと、他人の努力を無下にして良いわけでは絶対にありません。努力した人が努力しただけ報われる、それが公平というものです。
一つ余談で、不正行為としてチートとは違いグリッチというものもあるのですが、それについては皆さんご存知でしょうか?
グリッチとはゲームの仕様や、バグを利用してゲーム制作者の意図しないプレイをすることをいいます。先程私はこれを不正行為と言いましたが、明確に決めつけるのは難しく、なぜかというとゲームによってそれを容認してるものがあるからです。例を出すと、バイオハザードのRTAではショートカットグリッチ、同じくRTAで青鬼では階段を瞬時に上り下りすることによる鬼から逃げ切るグリッチなど、良しとされているものもあります。逆にレインボーシックスシージでの盾グリッチなど運営から認められてないものもあるので、使う際はよく利用規約などを読んでからにしましょう。
盾グリッチ↓
さて、ここまで一通りチートの如何について話してきました。ここからはmodの正当性について話していきましょう。
modとは最初にも言ったとおり、ゲームを更に面白くするための追加要素です。一般的に有志の方々が非公式に制作したコンテンツで、それをゲームに組み込むことによって、今までできなかった遊び方ができるようになるというものです。
ここでこの記事のテーマに戻るのですが、チートとmodの違いとはなんだと思いますか?
実はチートとmodは、やっていることを考えるとほぼ同じことなんです。これも最初に言った通り、両方ともゲームファイルの一部に組み込む、もしくは、もとからあるゲームファイルそのものを編集して、新しい遊び方としてプレイする、というもので、導入の過程を考えるとどっちも変わらないんです。
ではなぜmodが良しとされるのかというと簡単なことで、それは他の人に迷惑をかけないからです。
チートとは、オンラインで遊んでいると使ってる人だけが強くなって、真面目にやってる他の人が楽しめなくなってしまいます。
それに比べてmodとは、主にオフラインゲームでやられていることで、自分だけが楽しんでも他の人には迷惑はかけません。オンラインでも、Mincraftはmodを導入することによって、そのmodの影響が全てプレイヤーのプレイに平等に影響し、追加要素や追加制限なども一緒に楽しめます。他にも有名なのはモンハンで、これはオンラインゲームでもmod導入はできますが、それはキャラやモンスターのモデルの変更、BGMやそれぞれの効果音を変更するにとどまり、根本的なゲームプレイ(それぞれの武器やモンスターの強さ、プレイヤーの防御力)には影響しないので、基本的には他プレイヤーに迷惑はかけないことになります。
これが決定的なチートとmodの違いです。
漫画やアニメなどに例えると二次創作、ifストーリーのようなものですね。もしこんなゲームだったら、もしキャラクターが可愛かったら、という感じで。
modがあるゲームではmodを入れやすいゲーム環境だったり、開発当初はmodを導入するという考えがなかったとしても、シリース通してプレイヤー側がmodを入れる事が多かったり、ゲーム性的にmodを入れたほうが面白いとmodが数多く作られ、modを導入して遊ぶことが文化として定着するなど、ゲームの開発運営側がそれを容認するケースが多くあります。
......一部例外を除いては。
modの正当性についてはここまでになります。
さて、なぜここに来て含みをもたせたような表現をしたかと言いますと、オフラインゲームでmodとして導入しただけだったとしても規約違反、もしくは違法になる場合があるからです。
その例として有名なのを一つ出しますと、皆さんはDEAD OR ALIVEというゲームをご存知でしょうか。これはセクシーな女の子をメインとした(男性キャラも多少います)オンライン対戦も可能な格闘ゲームです。
そのDEAD OR ALIVEの2にて、「かすみ」というキャラクターが居るのですが、このキャラクターを全裸にできるCD-ROMがあったらしいです。所謂エロmodというやつですね。これを販売した事業者を相手に開発側が訴訟を起こした事例がありまして、裁判所側は同一性保持権の侵害に当たるとして、被告側に損害賠償を求める結果となりました。(日本知財学会誌 オンラインゲーム上のチート行為の法的対応 参照)
ここで出てきた同一性保持権というのは、『著作者人格権の一種であり、著作物及びその題号につき著作者(著作権者ではないことに注意)の意に反して変更、切除その他の改変を禁止することができる権利のことをいう(日本の著作権法20条1項前段。以下、特に断らない限り、引用法令は日本のもの)。』(wikipedia 参照)というものです。
難しそうと思いますが、法律に詳しい方々に怒られる覚悟で言うと、よく知られる著作権の親戚みたいなものですね。
つまり、DEAD OR ALIVE 2の開発者が、第三者が自分たちの作品に勝手に手を加えたことに対して難色を示してしまったわけですね。
まぁ確かに、自分が美味しいと思って作ったお菓子にタバスコたんまりかけて食べられたら、怒るまではしなくとも不満は湧きますよね笑
今でこそmodというのはゲーム内の一つの文化であり、エロmodもセクシーなキャラクターが出てくるようなゲームでは定番なのですが、DEAD OR ALIVE 2が発売されたのは2000年。当時はゲーム文化が確立されたばかりで、自分でデータを改変して遊ぶmodと言うのも広まってなかったのだと思います。
チートの方でも言いましたが、modというのは導入の過程を考えると、チートと全く同じです。それが他プレイヤーに迷惑をかけないものなだけであって、開発側、運営側がどう考えるとかはまた別の話になります。
今ではほとんどのゲームがmodについて寛容な時代となりましたが、ものによってはまだmodに否定的なものもあるでしょう。グリッチと同じで、利用規約を読んで使うことをおすすめします。
チートとmodについて、いかがだったでしょうか。
ここまで長々と難しいことを並べて記事を書いてきましたが、簡単に言えばチートは他人に迷惑をかけるから悪、modは他人に迷惑をかけず楽しみを提供するから良し、ということです。
これを機に、modを導入して遊んでみてはいかがでしょうか?今までやってたゲームがまるで別物になり、更に楽しめるかもしれません笑
そして、実はこの話にはまだ続きがありまして、また次回以降の記事にて書き連ねたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
長い上に難しい話も絡んできて、なおかつ私も法律は専門外だったもので、私自身書くのに大変苦労しました。ですので、読みにくい所、間違えてる所などがありましたら、コメントやTwitterで言っていただけると嬉しいです。
ではまた次回の記事でお会いしましょう。