ドーパミンの罠と真の幸福への道
心理カウンセラー・まきは、クライアントたちに繰り返し問いかける。
「あなたが求めているのは、本当の幸福ですか? それとも、一時的な満足感ですか?」
彼女自身、かつては無鉄砲で行動的な人間だった。しかし、パニック障害と鬱を経験したことで、一度は行動すら制限され、何もできなくなった時期があった。
それでも彼女は学んだ。人が本当に変わるためには、行動だけではなく、行動の「優先順位」を知ることが大切なのだと。
◆ 10代のまきと「手頃な幸福感」のない時代
10代のまきは、アメリカやインドネシアへと飛び出した。ポケベルが最先端の時代。SNSもスマホもない。
情報は簡単には手に入らず、夢を叶えるためには足を使い、人と直接話し、試行錯誤を繰り返すしかなかった。
けれど、今は違う。
「夢を叶えたい」と思った瞬間に、ネットを開けば無数の情報が手に入る。SNSでは、すでに夢を叶えたかのような気分に浸れる。YouTubeを見れば、誰かが努力し、成功する姿を疑似体験できる。
◆ でも、それで本当に前に進んでいるの?
まきはある日、カウンセリングのクライアントに聞いた。
「あなたは、昨日も今日も『やった気』になっていませんか?」
ネットを見て満足し、SNSで「いいね」をもらって安心し、動画で成功者のストーリーを見て、自分も一歩近づいたような錯覚に陥る。
けれど、それはあくまで脳が出すドーパミンによる「手頃な幸福感」にすぎない。
大きな目標を達成するには、本当の行動が必要だ。
でも、人は手軽な幸福感を味わうと、それで満足してしまい、行動を先延ばしにしてしまう。
◆ 優先順位を見直すことが「真の幸福」への第一歩
まきは続ける。
「手頃な幸福感を否定するわけではありません。でも、それがあなたを本当の夢から遠ざけているとしたら?」
大切なのは、優先順位。
「本当に必要なこと」と「今すぐ手に入る楽しさ」を見極め、目標に向けた行動を積み重ねること。
真の幸福は、手軽な満足の先にある。
だからこそ、まきは今日も問いかける。
「あなたが本当に手に入れたいのは、どちらですか?」
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