BIGRED主催:第一回九州合同ドラフト合宿参加レポート
BIGREDって?
宮崎のバイク屋さんカードショップです。
九州で長らくレベル2ジャッジをしてくださっているノマサさんがオーナーのカードショップです。九州の競技プレイヤーでノマサさんにお世話になったことがない人は多分いないと思います。
なんとあのプロツアーチャンピオン・井川選手が抜けたエリア予選会場のある場所が宮崎ですって? 世界で一番世界の頂点が近い場所、それが宮崎です。天孫降臨・高千穂峡を望む南九州の大地に皆さんもいらっしゃらない?(以上宣伝)
事の始まり
「ハルタカさんドラフト会参加しません?」
今年7月、福岡晴れる屋のエリア予選を負け散らかし、『寿司でも食いにいくか』と現実逃避をチームメンバーと話している最中、宮崎BIGREDのシミズくんから急に誘われたのが全ての始まりです。
実はこの手の会、憧れがありました。
鹿児島モルテンレインメンバーのアカザキくんが、福岡に転居してからは主に福岡コミュニティ中心で動いていますが、彼のSNSで『福岡のドラフトジャンキーたちと旨い飯を食いながらドラフト合宿をする』という趣旨のポストをしばしば見かける機会があり、祭好きの自分としては「うわ、めっちゃ楽しそうやん」と指をくわえて眺めていたわけです。
シミズくんのお誘いを二つ返事で首肯し、他に誰でも連れてきていいということで今回鹿児島からは若手のホープである中村くん(セイさん)に声をかけて二人で参加してみることとなりました。
アルコールについて
九州では特に有名なので、大体の方たちが懸念することが一つあることでしょう。宮崎勢の酒豪っぷりについてです。
見聞きした内容だけでよければこんな感じ。
ウルザの物語より真っ先に禁止指定した方がよさそうな英雄譚かな?
肝臓に特殊な訓練を受けている人間が多い宮崎勢との合宿は場合によっては生命の危機にも繋がる可能性がありました。鹿児島勢の私は先月から胃潰瘍でお酒を全然飲んでおらず、セイさんはそもそもお酒に弱いという感じなのでこの時点で私たちには致命的ハンディキャップがありました。
ただ私自身は勝算がありました。MTG歴の浅いセイさんに宮崎勢との飲み会の危険性について予め説明しなかったので、最悪彼をスケープゴートにしてハンドルキーパーになった私だけ敵前逃亡する作戦を準備します。
こうして完璧な作戦の元、我々鹿児島勢二人は現地入りしたのでありました。
現地入り
今回の会場は旅館の別邸を一棟貸し切りということで一体どんなスケールの宿なのか若干ビビりつつ現地入り。
突然現れる重厚な門構え。
ヘリポートがある庭って何?
普通にBBQしたくなるような中庭にテンションが上がります。
なぜ九州南端の辺境地に奥州の覇者が。
・・・レッツパーリーってこと?
そして備え付けの大型冷蔵庫に大量のアルコール類。マジでパーリーじゃねえか!!
ノマサさんも知らなかったらしく電話で尋ねると『冷蔵庫の飲料水は全部サービス』とのこと。ウェルカムドリンクに冷蔵庫の半分をアルコールで埋め尽くすサービスって聞いたことないんですが。エヴァのミサトさんちの冷蔵庫か?
その他、圧倒的なサービスとロケーション、施設備品等の充実っぷりに『10人全員で一人ずつ部屋を借りて寝られる』『でも山奥だからWi-Fiなくなったら電波悪すぎて陸の孤島になりそう』『今日のドラフトメンバーにコナンくんか金田一がいたら事件が起こりそう』『主催者であるノマサさんが最初に玄関の鎧武者の中から血だらけで発見されそう』など各々の感想が飛び交います。
そうした中、別々の車で出発したメンバーたちも会場に揃ったところで、いよいよメインイベントであるドラフトが開始されます。10人いるので2人が食材の買い出しにいき、残りメンバーで一回目の8ドラが始まります。
はい、名物チンチロで誰が買い出しに行くか決めます。ここは宮崎ですからね。車を出すノマサさん以外ということで9人の誰かが買い出しに行かないといけませんが、結果MUGENプロのイズミさんが買い出しに。
チンチロの結果とはいえ、まさかのプロプレイヤーがファーストドラフトから追い出されるというイカれた展開を当たり前のように受け入れる全員。ここは宮崎。ダイスと肝臓が強い漢がフリーパスです。
なお、今回はドラフト結果をデータ収集するため全員にシートが配られました。突然理知的な一面を見せてくるから油断できない。我々もまた考える葦だ。茎の根元にアルコール漬けの脱脂綿が敷き詰められているけども。
ドラフト結果
そんなわけで、ドラフト結果です。ここからはハルタカのドラフト結果なので色々言い訳のターンに入ります。ご了承ください。
一回目 赤緑t黒
1-1が救済の白鳥。しかしこの1パック目が払拭の光や人参ケーキなど白が濃く、色アピールになりにくいうえに上家から白が流れてきません。赤いカードの流れはよかったが、まだこの時点では色も絞り切れず悩んでいる段階で1パック終了。2-2が忌まわしい守護獣、ハグスで緑赤に舵を切る。3-1で大ボムである亭主の才能を引いて喜んだのもつかの間、上家から緑が全然流れてこず、何でもいいから2マナ域を欲していたものの結局ピック出来たのは髭羽ペンの書記官2枚だけ。
赤緑だけど積算がレアのアライグマぐらいしかおらず、絡み転がりや亭主の才能で食糧庫の備蓄でドローを進めていく半端なミッドレンジが完成。
とにかく2マナ域が薄いうえ、赤い生物は大量に流れてくるのに火力が全く流れてこなかったので青赤あたりに全部取られてしまったようなチグハグ感のあるデッキになってしまいました。3マナ域の赤いレアが多く2マナ域も薄いのでツーアクションも取りにくい。もうピックが終わった直後から0-3が脳裏によぎる始末。
ちなみに後でわかりましたが8人中6人が緑だったそうです。無理。
当初の予想通り0-3のヴァルハラスタート。当たった人全員緑。なんだこれ。1Rは才能エンチャントを大量に張られて負け。2Rは鹿児島対決だったけどセイさんのデッキが綺麗なカエルデッキになっていて完敗。3Rは悲しきミラー対決に。少ないプールで奪い合った仲なのでお互い苦笑いする程クロックが弱くて逆に楽しくなる。3/2/3の緑黒リスを給餌して3/4にしただけで突破できなくて膠着するとか丘巨人が現役の昭和の基本セットドラフトかよ。
膠着を割くため信じて送り出した亭主の才能が巣背骨のクズリで割られ、2マナ域の薄さがそのままテンポ差になってしまって負け。残当。
今回のドラフト3-0か0-3は無条件チェインというルールらしく、無限に0-3すれば最強とのこと。でも勝ちたい。
買い出し組が買ってきてくれたファミチキやらを急いで貪ってそのまま2回目のドラフトへ。この時点で時刻は6時頃。少しずつ日が傾き始めますが、風光明媚な景色より、目の前の動物の次元。そのまま部屋に引きこもり全員ドラフトに興じます。
二回目 白緑
1-1は機織りの季節で青をしたい気持ちでドラフト開始。夢露の幻惑者というバケモンが流れてきたので是非とも青緑をしたい気持ちだったが、2パック目から緑のカエルパーツが全然来ない反面、他の色、特に白の流れが妙に良いことに気付く。2パック目で穴ぐら守りの導師が一周してきたので確信。緑白t青に逃げる準備を開始。3パック目で人参ケーキ→穴ぐら守りの導師2連発という神ピックによって最後の最後でまぁまぁ形になった緑白が完成。タッチ青にするかだけ最後まで検討しましたが、2T穴ぐら守りの導師→3T跳び込めのブン周りがしたかったのでノイズになりそうな青マナ要素を排する決断をしました。
1Rはこのデッキの最大の欠点である飛行クリーチャーが止まらないという問題点がそのまま敗着になった感じ。実は除去も払拭の光と脚当ての陣形(飛行除去)しかないので、バットリか横並びでの物理で押し込む以外のプランがないのです。
2Rは残りライフ2まで詰めたところで精神をかき混ぜる者が2体並んでしまう。-2/0で虎の子の迅足対応はライフを落とし込むために既に使ってしまっており、除去もないこのデッキでは実質詰み状態。自分の気付かない勝ち筋が残っているかもしれないと頑張ってみるものの、やはりどうにもならずに負け。
3Rはこのデッキが一番やりたい動きが出来て何とか0-3チェインという地獄から抜け出すことに成功。
振り返ってみると緑白に完全に決め打ったのが2パック目の後半だったので、せめて2パック目の前半ぐらいから舵取りできていれば、人参ケーキや樹守りの二人組、汎用除去を1、2枚確保できた気もするのでバランスがさらに良くなったような気もしました。
三回目 白黒t青
分岐する嵐、アラニアが1-1でいよいよ青に舵を切ろうとしたのに青いカードが弱い。流れ的に白が良かったため白軸に切り替えて相方の色を何にするかを考えながら2パック目に入ると2-1で巣ごもりの季節でボムゲット。星見の導師が流れてきたので白黒軸に舵を切るが、途中風冠の者、ケストラルが取れたためt青にすることに。結果的に鳥があまり取れなかったので風冠の者、ケストラルをタッチで入れる必要は薄かった気もする。むしろ羽信隊の導師が地上をムキムキにしてくれる流れの方がヤバかった。
もうこの辺詳細を忘れている・・・申し訳ないです。フケイのくっくさんとは対面同士で謎の3連続バトルでしたがやっとリベンジ。『ここからシンデレラストーリーだ!!』と盛り上がったところで3-0をかけた試合が始まりましたが、イズミさんの方が上手でした。
全体的に巣ごもりの季節が強すぎました。2枚追放はバグ。
4回目 休憩(セイさんのピックを後ろからみる)
ここでチンチロに負けたので一旦休憩。セイさんのピックを後ろから見る。赤緑積算デッキっぽいのは2パック目には確定したが、パン職人を悩ませる二人組を無視するあたりから怪しい空気が流れだす。直接彼にアドバイスはできないので必死に我慢して経過を見守る。
ピック後セイさんからとんでもない一言が。
『アライグマ出して山積みの収穫でランパンして4ターン目に屑鉄刃の暴れ者を走らせれば勝ちっすよ!!!』
0-3
試合後にセイさんのデッキを全員で見て爆笑。積算なのに4マナが全然いないので達成しないとか、屑鉄刃の暴れ者を大量ピックして、あえて積算せずに素で殴りだすというキレッキレの構築に『鹿児島の魔人』『伸びしろしかない』『今回のMVP』というありがたい言葉が飛び出す。
全員深夜+アルコール+長時間のMTG脳の酷使で疲れてるところにセイさんの屑鉄刃の暴れ者ビートダウンデッキは相当ツボに入りました。
一通り爆笑したところで、主催者のノマサさんとakiさんが就寝。深夜2時。熊本勢はなんと翌日の昼に熊本のTLS予選があるので朝早く出発するとのこと。すごい体力や・・・。んじゃもうこれで宴もたけなわか・・・。
『このまま8ドラできないやつ、いねえよなァ?』
マジで?
起きている8人全員で丑三つ時のドラフトが始まる。
5回目 白t緑赤
1-1で巣ごもりの季節。え、また君なのか? そりゃ取るけども流石に別の色メインにしたいかな・・・と思ってたのに、人参ケーキが1パック目で3枚も集まるという異常事態。このあとも白の良質のカードが次々流れてくるので恐らく白が卓1レベルで空いている感じで、気づければ実質白単みたいなトークンアグロが完成。3パック目の最後に刈り手、ベイレンまで一周してきたので、タッチで刈り手、ベイレンを入れた白単トークンが爆誕。
1Rはセイさんが事故って勝ち。2Rはいのしょーさんが赤黒トカゲデッキでこちらが横に並べてバフって殴るというプランが普通にきつそうで何とか勝利。3Rはシミズくんで、奇しくも2回目のドラフトの時と同じような横並びビートダウンvs青系デッキという対決。今度はバフも多いしリソースを稼げるカードもあるので前回のリベンジが図れると思っていましたが、しっかり2ターン目の人参ケーキにまばゆい拒絶を合わせられたのでテンポ損をしてしまい、相手のタップアウト時のフルアタックでバフかけても微妙に削り切れず、返しの機織りの季節で一気に形勢逆転。最後は大型飛行クリーチャーがどうにもならず負けました。まばゆい拒絶がマジで強かった。
シミズくんの青いカードの使い方が光ってました。お見事!!
なお、この5回目のドラフトの終盤には夜は白んできていました。終わったのは6時前。大量にある布団を敷いて横になると一瞬で意識が飛びました。
合宿を終えて
9時頃起床。3時間しか寝ていませんが、恐ろしいことにあれだけ一緒にドラフトをしていた熊本勢は既にTLS予選に向けて宿を出発していました。流石MUGENプロ集団。MTGはフィジカルが大事だと痛感しました。
ノマサさんのデータ集計結果も併せてどうぞ。
(ノマサさん転載許可ありがとうございます)
当初の予想通り、圧倒的に緑が人気な環境。デッキの軸にもなりやすいので緑から入るプレイヤーが多かったようです。特に1回目のドラフトでは緑を選んだプレイヤーが6人もいたというのが印象的でした。
でも勝率的には赤黒がトップ。これは個人的な感想ですが、燻る殺し屋が安いのにこのアーキタイプだと強い。サイズアップ&威迫付与で終盤まで使えるのが偉いです。1/1/1威迫の山峡の略奪者なんかも人気がなかったように思いましたが、赤黒ならライフルーズによるボーナスを得やすい&サイズアップによる押し込みにも使えたりと一見弱そうなのにアーキタイプをしっかり強化してくれるパーツとして価値が高いので、そのことに気付いているプレイヤー(いのしょーさんとか)が上手だったと思いました。
逆に緑系はパイを奪いすぎて勝率がダウンしたように思います。
通常のブルームバロウだと一番人気が薄いといわれる青がそこそこいたのは青緑カエルや青赤カワウソなどテクニカルなデッキを好むプレイヤーが多かったことも起因していそうな気がします。この辺は勝率TOPのシミズくんが好んで青系デッキを組んでいたのも一因かも。
このカエルがどのドラフトでも必ず1体は紛れ込んでいるぐらいよく見かけたので、なんかパック的に出やすいとかそういうのあるのかな?と疑うレベルではありました。こいつが一生戦場を行き来されるのがきつすぎました。
一方で白と赤が人気が薄かったようです。赤白は岩山炎の後継者、メイブルのような超バケモノレアはあるものの、このメイブル自体が単独で完結しているパワーカードなのでタッチでも採用しやすいので赤白の理由付けとしては弱いかなと。そうなると指標になりやすいアンコモンのハイブリッド枠である豆殻刀の導師が赤白雄姿というアーキタイプに舵を切るレベルの強さかは若干怪しいというのもあり、実質ハツカネズミシナジーを期待したレア以上のデッキになってしまいやすいからでしょうか。緑白は僕も含めて大人気だったので、そこに赤白が割を食った感じもありそうです。
青白は飛行シナジーなのに非飛行クリーチャーにボーナスを与えるというカードが多いのが、このアーキタイプの組みにくさに起因してそうです。自分も青白飛行を目指しましたが、結果的に白黒になってしまったのでブルームバロウのドラフトにもっと慣れてきたらポテンシャルがまた違ってくるのではないかと思います。
最後に参加プレイヤーの勝率です。
僕は負け越しでした。1~3回目ドラフトの初戦が毎回MUGENプロのフケイのくっくさんだったので、最初の壁を越えるまでが険しかったです。プロはお強い。次回参加したときは勝率50%越えを目指したいと思います。その前に妻と子供の機嫌を損ねないことが最優先ですけども・・・。
久しぶりに夜なべしてMTGをするといった体験ができてとても楽しい二日間でした!
主催してくださったノマサさんらBIGREDの皆さん、遠方から参加された方たちも本当にご苦労様でした!最初から最後までクッソ笑いが絶えない楽しい会でした。疲労を吹き飛ばす『快』を感じられるのはやはりMTGしかありえない。そう改めて思わされた濃厚な時間となりました。
おまけ
現地解散後、日南から都城経由で鹿児島まで帰路へついていたのですが
日南の山道に入った途端近隣からガソリンスタンドが消滅して真っ青になりました(馬鹿)
少しでもエンストのリスクを減らすためエアコンを消して窓全開で峠越えをしたわけですが、炎天下30度を超える天候の中、近隣が牧場なので動物のう〇この匂いをダイレクトに浴びながら二人で悲鳴を上げながら鹿児島に戻ったのでありました・・・・。