スーパーのビニール袋の思い出
スーパーで買い物をして、袋詰めしているとき、昔のことを思い出した。
お泊りでもするんだったか、なんだったか忘れたが、そのとき一緒にいた人とスーパーで買い物をしていた。袋詰めするときになって彼はこう言った。
『ビニール何枚か持って帰らないの?』
袋詰めスペースにある、肉とか魚とかを入れるのに使う、必要なぶんご自由にどうぞの、あのビニール袋のことだ。
『え、いらないし持って帰らないよ』
特になにも考えずにわたしはそう返した。だって何枚もいらないし、せいぜい肉のパック入れる2枚分くらいでいいし。
あの頃からだいぶ時間がたって、大人にもなって、平和な暮らしになった今、ようやくわかった。
スーパーのビニール袋を、必要分以外持って帰ろうとする人とはわたしは無理だ。過去のわたしは知らんが今のわたしは無理だ。みんなの場所にある公共の物品を、必要なぶん以外持って帰ろうとするなんて、とんでもねえクソ野郎じゃねえかと思う。こういう人が不必要な買い占めとかするんじゃないかと思う。
なぜそのとき気付かなかったのか。幼いということは怖い。
そういえばわたしは数か月前、寝言で『泥棒じゃないですかぁ~』と言っていたらしい。過去の夢でも見ていたんだろうか。
そのあとその彼とどうなったかというと、まあいまわたしがこうしてるということは、声も顔も覚えてないくらいの存在だ。彼が今、このご時世、いろいろな物品を必要以上に持って帰って他人に迷惑かけてないといいなと思う。
だんなしにこの話したら『変だね~~~』と言っていた。だんなしは過去の話をするとよく『変だね~~~』と、笑顔で言ってくれる。変な過去が浄化されるような気持ちになる。
遠回りばかりして疲れる時もあるね。だけど最後にたどり着く場所って。
最近、M~愛すべき人がいて~を見ているので、中学時代に聴いていたあゆの歌をよく思い出す。大半クスクス、えーまじかよこれワロタって思いながら見ているけど、ところどころにはっとする言葉が散りばめられているので、あゆはすごい。でもお姫様抱っこで階段くるくるはごめん、夜中に声だして笑った。