妄想小説「海の魔物」 その1
海の魔物に会いにいこう、男は数年来思い続けていた。
どうせ、どうせここでは大したことは起こらない。
朝起きて、仕事して、ご飯食べて、穏やかだし、幸せだよ。
でもさ、なんかスリルっていうのかな、そういうのが足りないんだ。
仕事精一杯やればいいじゃんって、でもきついしだるい。
情熱が長続きしない。
でも怠惰だけど刺激は欲しいんだ。なんなんだろ、今の俺に足りないもの。
今の季節は冬。だんだん1月とか10月とか分かんなくなってきた。
寒いから1月っていうくらい。
肌感覚冬だけど、意識