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短い詩のいいところ

まど・みちおの詩「くまさん」を読んで、
笑いたいような、泣きたいような、喜ばしいような、羨ましいような、
なんとも言えない気持ちになった。
あたたかいものがじんわりと広がる感覚があった。
気づいたときには好きだった。

詩は短く、すぐに暗誦できた。
覚えようとせずとも覚えてしまった。
以来、毎日ふとしたときに頭の中で暗誦している。
その度に「じんわり」も再現するのが嬉しい。
そうか、詩の暗誦ってこれが嬉しいのか。

貰った手紙を手帳に挟んでおいで、何度でも読み返すように、
詩を暗誦できれば、それを読んだときに浮かんだ情景や生まれた感情を、
いつでも蘇らせることができる。
短かければ、覚えるのも簡単だ。

人類が数千年前から知っていたであろうことを、
今更発見して何を喜んでいるんだ、と思いつつ、書きたくなった。

「くまさん」 まど・みちお

はるが きて
めが さめて
くまさん ぼんやり かんがえた
さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ
だれだっけ

はるが きて
めが さめて
くまさん ぼんやり かわに きた
みずに うつった いいかお みて
そうだ ぼくは くまだった
よかったな

まど・みちお、渡邉良重『うたをうたうとき』(アノニマ・スタジオ)

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紙牛
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