病気でキャリア失う…悔しい
相談者:50代後半の会社員男性。
自分で稼いだお金で学費を払って大学を卒業し、大企業に就職しました。若い頃は大いに遊び、働き、やりたいことをやって日々暮らしてきました。その後、妻と結婚し、子供も生まれ、会社でも同期より早く出世しました。転勤のタイミングに合わせてマンションを購入し、順調な人生を送ってきました。支店長も任されましたが、大きな業務への不安感に急に襲われるようになり、コロナ禍もあって、精神疾患を患いました。半年で復職したものの再発、2年ほど入退院を繰り返しました。 昨年、何とか再度復職しましたが、30年間で築き上げてきた役職や資格はなくなり、平社員に降格されてしまいました。 精神疾患の原因はストレスだと思います。頑張って休みもなく働き、一番乗りで出世もしたのに、築き上げた地位を50代半ばでなくし、心の折り合いをつけられません。悔しくて悔しくて仕方がありません。
パパネギ:相談者の悩みについて、認知行動療法(CBT)の観点から以下のような助言を提供します。相談者のこれまでの努力や成果が突然の精神疾患や降格により大きく損なわれたという辛い状況は、深いストレスや失望感を伴うものと想像します。そのような状況で心の折り合いをつけることは簡単ではありませんが、CBTはその助けになる具体的な方法を提供します。
1. 感情の受容と名前を付ける
まず、今感じている「悔しさ」や「喪失感」に名前を付け、それを認めることが大切です。この感情は、これまでの努力や期待を重視してきた証でもあります。感情を認識することで、それをコントロールするための第一歩を踏み出せます。
2. ネガティブな思考への挑戦
CBTでは、出来事に対する自動的な思考(たとえば「もう何もかもうまくいかない」という思考)を客観的に捉え、それが現実的であるかどうかを検証するプロセスがあります。以下の質問を自分に投げかけてみてください:
「この考えはどのくらい事実に基づいているか?」
「別の角度から見るとどう思えるか?」
「友人が同じ状況にいたら、何と言ってあげるか?」
3. 前向きな行動目標の設定
過去の成果を無にすることなく、今後の新たな価値観や目標を設定することが重要です。たとえば、「今の役職でできることを見つける」「家族や趣味に集中する」といった新しい視点で自分の生活に目的を見いだしてみてください。
4. ストレス管理のための技法
相談者がストレスに対処するために取り入れられる具体的な技法は以下の通りです:
深呼吸法: 緊張を感じたときに、ゆっくりと息を吸い、吐くことで心を落ち着かせる。
筋弛緩法: 体の部位ごとに筋肉を緊張させた後に緩め、身体的なリラックスを促す。
マインドフルネス: 今この瞬間に意識を集中し、不安な考えや過去への執着を手放す。
5. 後悔と喪失を克服する
「築き上げた地位を失った」という後悔に対処するため、以下のステップを試してみてください:
感情を所有する: 感情を否定せず、「私は悔しさを感じている」と認識する。
ポジティブな側面を探す: たとえば、今後の人生で健康や家族と過ごす時間を重視できる機会と捉える。
価値観の再構築: 自分が大切にしているもの(家族、健康、趣味など)に基づいて新たな生活目標を立てる。
6. 専門的な支援を求める
もし感情のコントロールが難しい場合や再発の兆候が見られる場合は、心理療法士やカウンセラーに相談することをお勧めします。CBTを専門とする治療者とのセッションは、長期的な回復の助けとなります。
相談者が歩んできた素晴らしい人生の一部を再発見しながら、新たな章を築くためのステップとして、これらのアプローチを試してみてください。
各章の実践方法
1章「感情の受容と名前を付ける」方法
「感情の受容と名前を付ける」というのは、今の自分が感じている感情を否定せずにそのまま受け入れ、その感情に「名前」を付けて言語化することです。このプロセスは、自分の感情に向き合い、それを客観的に把握する助けとなります。以下の手順で具体的に行えます。
1. 感情に気づく
まず、何か不快な感情を感じたときに、その感情を「なんとなくの嫌な気分」で終わらせず、自分がどのように感じているのかに意識を向けます。
「今、自分はどんな気分だろう?」
「心がザワザワしているのはなぜだろう?」
2. 感情を言語化する
感じたことを具体的な言葉で表現します。感情の名前を付けることで、その感情が漠然とした不快感から明確な対象として浮き上がります。たとえば:
「私は『悔しい』と感じている」
「自分の努力が報われなかったことで『悲しい』と思っている」
「『怒り』を感じているけれど、それは失ったものが大きかったからだ」
感情のラベル付けには以下の言葉を参考にしてください:
喜び: 嬉しい、安心、満足
悲しみ: 悔しい、失望、喪失感
怒り: イライラ、憤り、嫉妬
恐れ: 不安、心配、恐怖
3. 感情を受け入れる
感情に名前を付けたら、それを無理に否定せず、「そう感じるのは自然なことだ」と受け入れます。自分に対して以下のように語りかけると良いでしょう:
「私は悔しいと感じている。それは、これまで一生懸命頑張ってきたからこその気持ちだ」
「不安を感じるのは、この状況が自分にとって大切だからだ」
感情に理由を見つけることで、それを受け入れやすくなります。
4. 感情を俯瞰する
感情を受け入れた後、少し距離を置いて俯瞰します。以下のように考えてみましょう:
「この感情はずっと続くわけではない」
「これは一時的な感情であり、自分全体を定義するものではない」
「感情をどう扱うかは自分次第だ」
5. 実践例
実際の場面で試してみると、以下のような流れになります:
心の中でモヤモヤした感覚に気づく。
「ああ、これは悔しいという感情だな」と気づく。
「この悔しさは、自分が努力してきたことが大切だったから感じているんだ」と受け入れる。
「この悔しさは永遠に続くものではないし、何か学びに変えられるかもしれない」と視点を変える。
効果
このプロセスを繰り返すことで、感情に振り回されるのではなく、感情を自分の手で扱う感覚を得られるようになります。感情を言語化する習慣がつくと、ストレスを軽減し、問題解決の糸口が見つかる可能性が高まります。
2章「ネガティブな思考への挑戦」の方法
相談内容を基に、「ネガティブな思考への挑戦」を具体的に説明します。相談者の「築き上げた地位を50代半ばで失い、悔しくて仕方がない」という気持ちに焦点を当てて進めます。
1. ネガティブな思考を特定する
まず、自分が頭の中で繰り返しているネガティブな考えをはっきりさせます。
例: 「こんなに頑張ってきたのに、すべてが無駄になった。」
感じている感情: 悔しさ、虚しさ、喪失感。
2. その考えを検証する
次に、浮かんできたネガティブな思考を以下の質問を使って検証します。
質問1: この考えはどのくらい事実に基づいているか?
自分に問いかける:
「すべてが本当に無駄だったのか?」
「自分の努力や成果はすべて失われたのだろうか?」
検証の視点:
これまでの努力があったからこそ、家族を支え、子どもを育て、大企業で重要な役割を担ってきた実績がある。
地位を失ったとしても、自分が積み重ねてきたスキルや経験、そして家族との絆は残っている。
回答例:
「地位を失ったのは事実だけれど、これまで積み上げてきた努力や経験が無駄だったわけではない。」
質問2: 別の角度から見るとどう思えるか?
自分に問いかける:
「この出来事を新しいチャンスや視点のきっかけと見ることはできるだろうか?」
「役職に縛られないことで、どんな新しい可能性が生まれるだろうか?」
検証の視点:
今まで責任が重く、休みが取れなかった日々から少し解放された。
家族や趣味、健康に時間を割ける機会と考えられる。
自分が努力家であることは変わらないため、現状を活かして再び新たな道を探ることができる。
回答例:
「降格は痛みが伴うけれど、今後の人生で大切なことに目を向けるチャンスかもしれない。」
質問3: 友人が同じ状況にいたら、何と言ってあげるか?
仮想の友人に置き換える:
「もし、長年努力を続けてきた友人が同じ状況になったとしたら、自分はどう声をかけるだろうか?」
「この友人が築いてきたものは無駄だと思うだろうか?」
自分への返答例:
「君がこれまで頑張ってきたことは、誰にも奪えないし、家族や周囲の人たちにとってかけがえのないものだよ。」
「今は悔しいかもしれないけれど、君の能力や経験を活かせる道が必ず見つかるよ。」
回答例:
「友人にこのように言うなら、自分自身にも同じ言葉をかけていいはずだ。」
3. まとめと新しい視点
ネガティブな思考を検証した結果:
「すべてが無駄だった」という思いは事実ではなく、成果や努力の多くは確かに存在し続けている。
降格は辛い出来事だが、新しいチャンスの可能性をもたらす側面もある。
自分が他者を励ます言葉は、自分にも適用できる。
実践のポイント
このプロセスをノートに書き出すことで、さらに効果的になります。
ネガティブな思考が浮かんだら、その都度上記の質問を使って思考を検証してください。
検証を繰り返すことで、現実的でバランスの取れた視点を持てるようになります。
このプロセスを続けることで、感情のコントロールがしやすくなり、悩みに囚われる時間が少なくなります。
3章「前向きな行動目標の設定」の方法
相談内容に基づいて、相談者が過去の成果を活かしながら、新たな価値観や目標を設定する方法を具体的に説明します。以下のプロセスを参考にして、人生の新たな方向性を見つけていきましょう。
1. 自分にとっての価値観を再確認する
まず、相談者が「何を大切にしているのか」を明確にすることから始めます。これは、これまでの人生を振り返り、何が自分にとって重要だったのかを考える作業です。
質問例:
これまでのキャリアで最も誇りに思うことは何か?
例: 部下を育てた経験、チームで成功を分かち合った瞬間。
仕事以外で大切にしたいことは何か?
例: 家族との時間、趣味に没頭する喜び。
自分の努力がどんな形で周囲に良い影響を与えてきたか?
例: 子どもが自分の働く姿を見て学び成長したこと。
目標: 自分にとって大切な「価値」を明確にし、それを新しい行動目標の基盤にする。
2. 新たな視点で自分の役割を見直す
現状に目を向け、現在の状況で果たせる役割を見つけることが重要です。
現職でできることを見つける
例:
部署内で若手社員の指導に注力する。
自分の経験を活かして業務の効率化を提案する。
実践法:
自分が培ったリーダーシップやスキルを活かせる場面を探す。
「平社員」ではなく「経験豊富なサポーター」としての視点を持つ。
家族との絆を深める
例:
子どもと一緒に新しい趣味を始める(例えば料理や旅行)。
パートナーと過ごす時間を増やし、絆を再確認する。
実践法:
家族とのイベントを計画する。
家族に相談し、自分がどのように貢献できるかを話し合う。
3. 小さな目標を設定し、実行する
大きな変化を目指すのではなく、達成可能な小さな目標を設定します。これにより、成功体験を積み重ね、前向きな気持ちを育てることができます。
例:
今月中に職場で1つの新しい提案をする。
週に1回、家族全員で一緒に夕食を取る。
月に1回、自分が興味を持っていた趣味に取り組む(例えば、ゴルフ、読書、ガーデニングなど)。
目標: 小さな成功体験を積むことで、自分に自信を取り戻す。
4. 長期的な目標を考える
現状を安定させた後、さらに大きな目標を設定します。
キャリア面:
役職や地位にこだわらず、自分の経験を活かせる分野で活躍する方法を探す。
例: 社内外での講師やコーチング活動、地域コミュニティでのリーダーシップ発揮。
キャリアの延長線上で新しい資格取得を目指す。
例: コンサルティングやプロジェクト管理に役立つ資格。
プライベート面:
家族旅行や新しい趣味を通じて「人生を楽しむ」目標を設定する。
例: 退職後の生活を見据えた趣味を探求する。
健康維持のための習慣を構築する。
例: 定期的な運動や栄養バランスの良い食生活を実践。
5. 相談内容を踏まえた行動目標の例
短期目標:
若手社員に週1回アドバイスを提供する場を設ける。
家族との時間を増やすため、週末の予定を調整する。
職場でのストレス軽減のため、休憩中に深呼吸法や軽い運動を取り入れる。
中期目標:
自分の経験を活かして、新しい仕事の方法やプロセスを提案する。
子どもと一緒に旅行計画を立て、絆を深める。
週1回、新しい趣味や学び(例えば語学、楽器、クラフト)を始める。
長期目標:
家族のための新しいライフプランを考える(例えば、退職後の移住計画)。
職場で「経験を後進に伝える」ポジションを築く。
定期的に体を動かし、心身ともに健康を保つ生活を送る。
6. 実行を支えるチェックポイント
進捗確認: 日記や手帳に目標の進捗を書き出し、定期的に見直す。
他者の助け: 家族や同僚に目標を共有し、サポートをお願いする。
柔軟性: 状況に応じて目標を見直し、必要であれば調整する。
新しい目標を通じて、相談者の人生に再び「やりがい」や「楽しみ」を見出すお手伝いができれば幸いです。
4章「ストレス管理のための技法」の方法
相談者の状況に合わせて、ストレス対処法を具体的に説明します。これらの方法は、日々の緊張を和らげ、心身を整えるために効果的ですので、ぜひ試してみてください。
1. 深呼吸法: 緊張を感じたときのリセットスイッチ
相談者の状況: 支店長としての責任や、その後の役職降格による不安で心が重くなりやすいかもしれません。このようなとき、深呼吸法は瞬時に心を落ち着かせるシンプルな方法です。
具体的なやり方:
静かな場所を見つけて、椅子に腰掛けるか背筋を伸ばして立ちます。
鼻からゆっくりと4秒間息を吸います。お腹がふくらむ感覚に集中してください(腹式呼吸)。
1~2秒息を止めてみます。
口から6秒間ゆっくりと息を吐き出します。このとき、「緊張が体から抜けていく」とイメージします。
これを3~5分程度繰り返します。
効果:
心拍数を下げ、不安を緩和します。
「吸う」と「吐く」に集中することで、過去の後悔や将来の不安から解放され、今この瞬間に意識を向けられます。
2. 筋弛緩法: 身体からストレスを解放する
相談者の状況: ストレスによる身体の緊張(肩こりや背中の硬さなど)を感じることがあるかもしれません。この方法は、筋肉を緊張させてから緩めることで、体全体をリラックスさせます。
具体的なやり方:
足先から始めます。
足の指を5秒間ぎゅっと丸めます(緊張)。
ゆっくりと力を抜き、10秒間リラックスします。
徐々に身体の上部に進みます。
ふくらはぎ → 太もも → 腹部 → 背中 → 肩 → 首 → 顔の順で行います。
例えば肩の場合、肩をすくめるように持ち上げ、5秒間力を入れてからゆっくりと力を抜きます。
全身の緊張がほぐれたら、深呼吸を1~2回行い、リラックス感を味わいます。
効果:
身体の緊張とともに、心の緊張もほぐれます。
身体的なストレスが軽減されることで、精神的な余裕が生まれます。
3. マインドフルネス: 今この瞬間を味わう練習
相談者の状況: 降格に対する後悔や「なぜこんなことになったのか」といった考えが頭をぐるぐる巡る場合、マインドフルネスが役立ちます。不安な思考のループから解放され、心を穏やかに保つ手助けをします。
具体的なやり方:
静かな場所で、椅子に座るか床に座ります。背筋を伸ばし、両手を膝の上に置きます。
目を閉じて、自然な呼吸に意識を集中します。
「吸う息」と「吐く息」の感覚だけに注意を向けます。
考えが浮かんできたら、「あ、考えが浮かんだな」と気づいて、それを手放し、再び呼吸に意識を戻します。
これを5~10分程度続けます。最初は短い時間から始めて、慣れたら少しずつ延ばしてみてください。
効果:
頭の中の雑念を手放し、不安やストレスの影響を減らします。
現実の「今ここ」に意識を向けることで、心が静まり、冷静に物事を考えられるようになります。
具体例: 相談者のシチュエーションに当てはめてみる
深呼吸法: 大きな会議や業務の締め切りの前に緊張を感じたときに行う。深呼吸をして「自分にはこの経験を乗り越える力がある」と言い聞かせてから取り組む。
筋弛緩法: 帰宅後、ソファでリラックスしたいときに取り入れる。肩や首の緊張をほぐし、一日の疲れを解放する。
マインドフルネス: 朝起きたときや夜寝る前に、5分間だけ行い、頭をクリアにして1日を始めたり終えたりする。
最後に: 小さなステップから始める
これらの技法をすべて一度に始める必要はありません。まずは一つ、やりやすいものを選んでみてください。そして、少しずつ日常に取り入れてみましょう。
もし取り組んでみて「こんなことを感じた」といったフィードバックがあれば、ぜひ聞かせてください!どんな変化があったのか、さらなる改善のためのヒントを一緒に探していきましょう。
5章「 後悔と喪失を克服する」の方法
相談者が「築き上げた地位を失った」という後悔を克服するために、以下の方法を具体的に相談内容に沿って説明します。
1. 感情を所有する
目的: 自分の感情を否定せず、自然なものとして認めることで、感情を整理する準備を整える。
具体的な手順:
自分の感情に気づく:
「地位を失ったことで、私は悔しさや虚しさを感じている」と心の中で言葉にする。
感情が大きい場合は、「この感情は自然なことだ。私は30年以上努力してきたのだから、この気持ちは正当なものだ」と自分に語りかける。
感情を否定しない:
「もう悔しがるのはやめよう」と押し込めるのではなく、「今、この瞬間、自分は悔しさを感じている」と受け入れる。
例: 「悔しい気持ちはあるけれど、これは私が努力を重ねてきた証でもある」と認識する。
効果:
感情に向き合うことで、ネガティブな感情が漠然とした不快感として居座らず、自分の感情を整理しやすくなる。
2. ポジティブな側面を探す
目的: 今の状況を別の視点で捉え直し、新しい可能性に目を向ける。
具体的な方法:
ポジティブな視点を見つけるための質問:
「今の状況で新しく得られる時間や自由は何だろう?」
「役職や地位がなくなったことで、これまで忙しさでできなかったことに挑戦できるのではないか?」
例: 「平社員として働くことで、以前よりも家族と過ごす時間が増えるかもしれない。」
具体例:
健康面: 「これからは無理をせず、自分の健康に目を向ける時間ができた。」
家族: 「役職に縛られず、子どもや配偶者との時間をもっと取れるようになった。」
新しいチャレンジ: 「今後のキャリアを一から考え直し、自分が本当にやりたいことを探す機会と捉える。」
感謝リストを書く:
例: 「これまで家族が支えてくれたこと」「子どもが元気に育っていること」「自分が大企業でキャリアを築いてきた実績があること」など、感謝できることを書き出してみる。
効果:
ポジティブな側面を見つけることで、現状を受け入れやすくなり、新しい視点が得られる。
3. 価値観の再構築
目的: 自分が本当に大切にしたいものに基づいて、新しい生活目標を設定する。
具体的な方法:
自分の価値観を振り返る:
以下の質問に答える:
「これまでの人生で最も大切にしてきたものは何か?」
例: 家族、健康、キャリアの達成感。
「これからの人生で大切にしたいものは何か?」
例: 家族との時間、自分の心と体の健康、新しい趣味。
新しい目標を立てる:
家族: 「毎週末に子どもと一緒に過ごす時間を設ける。」
健康: 「定期的に散歩や運動をする習慣を作る。」
趣味: 「かつて興味があった音楽や読書を再開する。」
目標の実現に向けた行動:
小さなステップから始める。
例: 「今月中に家族との予定を立てる」「1日10分のストレッチを始める」「月に1冊本を読む」など。
効果:
自分がコントロールできることに集中することで、喪失感を乗り越える力を得られる。
相談内容に基づいた例
相談者が新たに取り組むこととして、以下を提案できます:
感情を認める:
「地位を失ったことへの悔しさは自然な感情であり、それだけ自分が一生懸命やってきた証拠だ」と受け止める。
ポジティブな側面:
「今後は役職から解放され、心の余裕を持って家族と時間を過ごせる。」
「これからは健康管理を優先し、仕事と私生活のバランスを取ることができる。」
新しい目標:
短期目標: 職場で若手社員の指導を楽しむ、新しい趣味を始める。
中期目標: 健康管理を習慣化し、体力をつける。
長期目標: 家族との絆を深めつつ、キャリアの次のステップを模索する。
このプロセスを通じて、相談者は喪失感を受け入れつつ、新しい目標に向かって歩み出すことができます。「後悔」から「希望」へと気持ちをシフトする一助になれば幸いです。
6章「 専門的な支援を求める」の方法
「専門的な支援を求める」という選択は、感情のコントロールが難しくなったときや、同じ問題が繰り返し起こるのを防ぐための重要なステップです。相談者の具体的な状況に合わせて、このプロセスをわかりやすく説明します。
1. 専門的な支援を求める理由
相談者の状況では、以下のような点で専門家の助けが有益です:
感情のコントロールが難しいと感じるとき:
たとえば、過去の失敗や地位の喪失を思い出して「悔しさ」「虚しさ」が収まらない場合。再発のリスクがあるとき:
精神疾患の既往があるため、ストレスが再発の引き金になる可能性を予防するため。一人での対処が難しいとき:
CBTの専門家は、考え方や行動のパターンを変える手助けをしてくれる。
2. 専門的な支援の具体的な効果
CBT(認知行動療法)を専門とする治療者と相談することで、以下のようなサポートを受けられます:
思考の整理:
「自分の努力は無駄になった」というネガティブな思考を「地位を失ったが、これまでの経験は次に活かせる」という現実的な考え方に変える手助け。感情のコントロール:
怒りや悔しさがこみ上げるたびに適切な対処法を見つける方法を学ぶ。ストレス管理:
専門家がストレスの引き金を特定し、再発を防ぐための具体的な技法を教えてくれる。
3. 専門的な支援を求める手順
自分の状態を確認する:
「最近、感情がコントロールできない場面が増えているか?」
「仕事や家庭でのストレスが積み重なり、再発が心配だ」と感じることがあれば、支援を検討する。
CBTを提供する治療者を探す:
地域の精神科医や心理カウンセラーに相談する。
会社の産業医や人事部に相談する(場合によってはカウンセリングを無料で受けられる制度があるかもしれません)。
インターネットで「CBT専門のカウンセラー」や「認定心理療法士」を検索する。
初回の相談:
自分の状況を簡単に伝える(たとえば、「職場での降格や過去の地位を失ったことが悔しくて仕方がない」など)。
今、どのようなサポートを受けたいかを話す(たとえば、「感情をコントロールしたい」「再発を防ぎたい」)。
4. 専門的な支援に向けた準備
相談者が治療を始める前に準備すると良いこと:
自分の状態を書き出す:
たとえば、「どのようなときに悔しさを強く感じるか」「ストレスを感じる具体的な場面」などをメモしておく。
期待を明確にする:
治療に何を期待しているかを考える(たとえば、「もう少し気持ちを楽にしたい」「再発のリスクを減らしたい」)。
5. 専門的な支援の継続的な効果
相談者がCBTを専門とする治療者とのセッションを受けることで、以下のような長期的な効果が期待できます:
悔しさや喪失感に対する新しい視点:
地位や役職ではなく、自分の価値観や目標に基づいた人生の充実感を得る。ストレス耐性の向上:
ストレスが高まる状況でも、自分でコントロールする力を身につける。再発の予防:
自分の状態の変化に早く気づき、専門家と連携して適切な対策を取れるようになる。
具体例
相談者が「過去の地位を失った悔しさ」から抜け出せずにいる場合:
治療者と一緒に「悔しさ」の背景や、それがどのように生活に影響を与えているかを整理します。
「新しい役割の中でどう自己価値を見いだせるか」を考えるサポートを受けます。
相談者が「再発を恐れている場合」:
CBTのセッションで、ストレスを軽減する日常的な方法(たとえば、思考記録法やストレス管理技法)を学びます。
最後に
相談者が専門的な支援を受けることで、現在の悩みを安全に、かつ効果的に乗り越える手助けができます。心理療法士やカウンセラーは、相談者の立場に寄り添い、無理のないペースで進めてくれるので、必要を感じたらぜひ気軽にアクセスしてみてください。