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ミドルマネジメントもチーム化し、スクラムを始めよう

 「ミドルセカンド」について言及した。

 もう一歩、ミドルについての論を進めたい。圧倒的な行動量で牽引するミドルリーダーと、現場オペレーションを実地で支えるミドルセカンドという存在。この層の思考性、志向性、厚みによって、変化の進み具合が変わる。

 ミドルセカンドこそ、 "組織のスクラムマスター" を担う役割になる。ミドルセカンドがこれまでの方法や判断基準に囚われているようだと、変革は遅々として進まない。場合によっては、ボトルネックどころか変化に向けた抵抗勢力にすらなりえる。ゆえに、ミドルリーダーと、ミドルセカンドの間で十分に、意図と方針と実行をあわせる必要がある。

 そのためのチートはないように思われる。ベースを作るための対話に相応の時間を投じる必要がある。おすすめは「合宿」だ。意図的な「非日常」的な時間、状況を作り出そう。
 そもそも、考え方やものの見方といった深めのインサイトを語り合うのに、「日常」はあまり向いていない。日々の忙しさもさることながら、なかなか日常の流れの中で「お互いにどんな考えを持っているか?」を語る機会が自然と生まれることは少ないだろう(そういう機会がそこかしこにある組織はチームビルディングがかなり進んでいると言える)。
 機会がないならば、自分たちで作れば良い。合宿という非日常的な場所、時間の下で、非日常的な会話をしよう。

 ミドルにベースの関係性ができたところで、次に考えるのはミドルの「チーム化」である。今回はここが本論となる。

 これもこの数年でのファインディングの一つである。現代組織のマネジメントはそもそも難しくなっている。組織の中の多様性自体があがっている。さまざまな背景、経験をもったメンバーが渾然一体と存在しており、働き方も異なる。業務のデジタル化、デジタルサービスの利活用も進み、ツールや技術の使いこなしが求められる。やることに比して、メンバーの数が足りず、現場は常に逼迫している。もちろん、組織の効率性への最適化メンタリティは変わることなく強固に居座り続け得ている。この上で、成果が問われる。マネジメントが無理ゲーに近くなっているのは、珍しいことではない。

 どこから問題に取り掛かるか仮説を立て、様子をみては次の判断と行動を取っていく。思ったほど上手くいかなければその要因をふりかえりの中で学びに変えて、活かすようにする。進めていく中で、方向性自体にムリがある、誤謬があると分かったなら、カオスの中でも変えていく必要がある。一人の人間で背負うには、あまりにも組織マネジメント(変革のマネジメント)は難しい

 だからこそ、ミドルリーダーとミドルセカンドでミドルマネジメントとしてのチームを作って臨むのだ。そして、状況観察と判断を繰り返し、行動の優先度を適時変えていくというならば、それはスクラムの出番にほかならない
 ミドルマネジメントチームと、「ミドルスクラム」を始めよう。そのバックログで扱うのは、組織課題であり、チーム横断的な取り組みであり、変革のための挑戦になる。スクラムを理解しているならば、何をすると良いかそれほど迷わないだろう。ミドルスクラムのスプリントを決めよう。それは、変化に向けた適応のリズムを自分たちで決めるということだ。

ミドルマネジメントチーム

 ミドルでマネジメントチームを作り、スクラムを始める。この所作が実際のところ高いハードルになる場合が少なくない。その背景には「マネジメントは一人でこなすもの」という認識があるように思われる
 マネジメントを寄ってたかってみんなでやる、という発想はこれまでなかった。そんなスタイルは、「むしろマネージャーとして失格である」という見方もありそうだ。
 10年、20年前であれば、一人のマネージャーが組織全体をみて、中間管理職としての役割を果たしていけたかもしれない。しかし、現代においてはそもそもマネージャーにもプレイングが求められ、先のとおり環境的難易度が相対的に上がっている。同じものの見方、条件をあてはめようとするのは、典型的な最適化メンタリティだ。

 組織を変える云々以上に、自分たち自身を守り、日々の営みにワクワクを作るために、ミドルスクラムを始めよう。 


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