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正しいものを正しくつくる

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書籍「正しいものを正しくつくる」に関するマガジン。 https://beyondagile.info/ https://www.amazon.co.jp/gp/product/4…
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2023年12月の記事一覧

「かたち」と「しくみ」を、「俯瞰」と「詳細」で捉える

 最初に考え始めたのは、「プロダクト作りの上で、網羅的に検討するためにはどのように捉えれば良いか?」だった。何らか構造的に考えることになるだろうと思った。  観点としては何が必要だろう。外から捉える視点、内側を捉える視点、2つ要りそうだ。前者は利用者の視点、後者は作り手の視点。後者のみしかないと、使われないプロダクトを頑張って作るという構図になっていくし、前者しかなければ持続的な開発はできない。外側と内側という構造を常に意識する必要がある。  観点はもう一つある。全体を捉

プロダクトではなく、人の「意図」を作っていく

 何をプロダクトとし、事業を作っていくか、その切り口は大きく2つある。一つは「課題」の解決や「ニーズ」の充足。もう一つは、「課題」「ニーズ」そのものを作り出すこと。前者は課題が見つけられるか、後者は課題自体が現れてくるか、が主題になる。  「仮説キャンバス」の「状況」はプロダクトの対象者となる条件を列挙する仮説エリアになる。対象者の条件候補は多岐に渡るが、そのうちの一つに「意図」が存在する。意図とは「〜したい」「〜したいからXXXする」という意志を表すものである。ジョブ理論

「探索」の度合いを外側の基準で決めてはいけない

 「アジャイル」に取り組むには、より探索的なテーマや領域が良いだろう、組織にとって新規性の高いところ、分かりやすく言うと新規事業や新規のプロダクト開発などだ。…といった言い回しは、私自身説明として用いるし、「アジャイル」という言葉のそばによく存在する。  話がはやいので、それに乗せて会話を進めていくことがほとんどだが、この言い回し自体にミスリードを織り込みかねないと思っている。「より探索的」だとか、「新規性の高さ」とは、誰にとってのそれなのか。もちろん、当事者組織にとっての

探索はOKR、最適化はKPIで意思疎通する

 「効率の最適化」一辺倒から、他の選択肢を得るために、探索適応を取り入れていく。それは新規事業だけに限った話ではなく、既存事業においても、いや、既存事業でこそ必要としている。顧客は誰か?をあらためて問い、そして顧客を知りなおす。それは、自分たちを取り巻く環境、社会を知りなおすということでもある。  この探索適応を仕事に取り入れようとすると、「そんな時間はない」問題と直面する。なにしろ既存事業は「効率への最適化」を磨き続けてきた前線になる。そんな場所で、どうなるかもよく分から

「結果」のほうを見るのではなく、「初速」のほうをみる

 組織をどうこうする、という話は難易度が高い。難易度が高いというか、「前人未到」に近いと言って良い。冷静に考えてみれば、その組織でこれまで実現できなかったこと、やれた試しのないこと、はじまりもさえしてこなかったことに取り組むというのだから「前人未到」は何も言い過ぎではない。  そして、ある組織にとっての難題というのは、他の組織にとっても同様であり、共通の問題だったりする。つまり、世の中に手を伸ばして探れば、簡単に解決策が見つかるというものでもない。  よしんば、「何をする