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組織を芯からアジャイルにする

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「組織を芯からアジャイルにする」ために。あなたの居る場所から「回転」を始めよう。
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#スクラム

スクラムマスターやプロダクトオーナーがいなくて、アジャイルができるのか?

 関与する組織によっては、スクラムマスターがいない、プロダクトオーナーがいない、ということがありえる。  経験的にいないにも等しい、兼務でほぼいない、物理的に本当にいない、いずれの「いない」がある。まともに考えればスクラムに取り組む状況にはない。というときに、支援者としてどういうスタンスを取るか、は2つに分かれるだろう。  「いない」では話にならん。経験がゼロならまずスクラムガイドを読むところからはじめよ。しかる後に、自分たちにどのような支援が必要になりそうか、自分たち自

週に1回ミーティングを開いたらアジャイルなのか?

 気づけばすっかり隔世の感だが、アジャイルが当たり前になってきている。と書くと、言い過ぎでは?と思われるかもしれないが、出発地点に居た者としては真面目にそう感じている。当時の時間をともにした同朋ならば、きっと同意してくれるだろう。かつてから比べれば、アジャイルは遠くにまやってきた。  そして、仕事柄も踏まえて「アジャイルに取り組んでいるんですが」という枕詞も毎日、いや毎時間のように聞いている。アジャイルに取り組んでいるが上手くいっていない、そもそも上手くいっているかどうかわ

なぜ、アジャイルには「手順書」がないのか

 やり方とかプロセスとか、作法とか、私達の仕事を助けるものは沢山ある。そういったものを総称して「型」と呼んでおく。  「型」を使えば、うまく仕事ができるようになるかもしれない。「型」が分かるようになるために、ガイドを作ったり、レクチャーを受けたり、練習してみる。  ここで2つの問題がある。「型」を使いこなせない、そして「型」を使っても成果があがらない。この2つは混在しやすい。「型」に意味がないかどうかは、使いこなしてからの判断だ。  さて、苦労して「型」に合わせることが

這い回る経験主義に陥らないための「ものわかり」

 「這い回る経験主義」という言葉を知った。  とにかく経験が大事だ、ということでどれだけ経験したかが重視、偏重され、体系的な学習構造が当事者の中に構築されないままになってしまう。そうした状況への批判としての言葉、這い回っているだけの経験主義。  一方、経験主義といえば「スクラム」だ。  スクラムには、レトロスペクティブの機会が用意されている。チームとしての学びや課題が取り出されて、チームの次の活動に活かせるよう設計されている。  ところが、「ふりかえりは、まあスプリン

アジャイルコーチでメタスクラムを組む

 チームでスクラムに取り組む。チームとしてスクラムの経験がなく、スクラムマスターも含めて実践のための支援が必要となる場合、「アジャイルコーチ」を招聘する。単一のチームへの支援の場合、それほどややこしい臨み方が求められるわけではない。しかし、対象が複数のチームになる、組織的なスクラムの実践の場合は、アジャイルコーチ側の組織化が必要にもなる。  具体的にはアジャイルコーチ側で、現場のスクラムとは別のスクラムを仕組もう(仮にメタスクラムと呼ぼう)。メタスクラムではアジャイルコーチ

「型」と「作戦」と「運用」

 チームや組織で、ある一定期間以上持続に、一つのミッションに向かって動いていく仕事。例えば、プロジェクトとかプロダクト作り、事業運営など。こうした高度なレベルの協働が求められる仕事は、あらゆる観点で難易度が高い。  まずもって、漫然と取り組んでも上手くいかない。ゆえに、「どのように進めるか?」という算段を立て、なおかつ共通理解にすることが前提になる。ところが、この算段・企て・目論見といった観点が弱い、場合によっては無いこともままある。この傾向は組織観点でも現場観点でも、この

スクラムがみんなの「意志マネジメントシステム」になる

 結論から言うと、スクラムとは「意志のマネジメントシステム」でもある。  スクラムの紹介、説明を行う際には「適応の仕組み」として強調することが多い。未知なる領域に踏み出してみる、新手の取り組みを進めてみる。そうした局面で実践による「経験」を獲得していくことで、適切な判断と行動を取っていくための仕組み、ということだ。  プロダクト作りに限らずとも、現代の組織やチームにおいて「適応」の動きが不可欠になっている。これまでの判断基準ややりようから離れ、組織にとって「はじめての試み

スクラムマスターに期待される3つの「ともにある」

 「スクラムマスター」が果たす役割とは何か。スクラムマスターは「ともにある」ことをその根幹としている。チームとともにある。プロダクトオーナーとともにある。組織とともにある。 チームとともにある  スクラムが前提としてチームに期待する「自己管理型」というのはどんな状態か。自分で考えて、自分で動く、ということができることだ。では、それを一人ではなくチームとして立ち振る舞うためには何が必要か。  考えるための機会も、動きを整える働きかけも、その結果に向き合う時間も要る。こうした