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水力発電

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2020年4月の記事一覧

1.発電所の大枠について

水力発電所の発電方式には、水路式、ダム式、ダム水路式に分類されます。

水路式発電所とは何でしょうか?水路式発電所は、河川の自然勾配による落差を利用して発電する方式です。 
水の流れは、取水ダム→取水口→導水路→沈砂地→導水路→ヘッドタンク→水圧鉄管→水車→放水路→放水口となります。 

ダム式発電所とは何でしょうか?ダム式発電所とは、ダムによって、水をせき止め、水の貯水位による落差を利用して発電

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2.沈砂地について

沈砂地とは?沈砂地とは、その名の通り、流水中の土砂を沈めるための設備になります。

なぜ、土砂を沈める必要があるのでしょうか?流水に土砂が存在する場合、土砂がもつエネルギーによって、水圧鉄管あるいは水車を損傷してしまう恐れがあるためです。

どのような設備にする必要があるのでしょうか通常土砂を沈殿させるためには、流速を遅くする必要がありますので、水路の断面積を大きくすればいいですね。

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キャビテーションについて

What
キャビテーション(Cavitation)Cavity(空洞)という意味があり、水と機器(配管など)が接する表面付近に生じる空洞現象です。

Why
なぜキャビテーションが起きるのか?水路中において、その水温における、ある点の圧力が飽和蒸気圧力以下になると(沸点が下がった状態)、低温においても、流水が沸騰し、微細な気泡が生じることで、空洞(水が満たされない部分)が生じます。この気泡が流

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揚水発電所の同期電動機の始動方式について

揚水発電所の揚水時における同期電動機の始動方式に取りまとめてみました。それぞれの特徴に加え、始動時にどのような影響があるか要点を抑え、イメージできるようになりましょう。

【制動巻線始動方式】
突極型同期発電機の回転子磁極頭部に制動巻線を施し、界磁回路を短絡し、かご型誘導電動機のように自己始動する方式です。

〔制動巻線とは?〕
制動巻線は、かご型誘導電動機の回転子末端に取付けられる短絡環のような

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ペルトン水車(Pelton Turbin)について

①エネルギーフロー水がもつ位置エネルギーは、落差によって運動エネルギーに変換され、水車を回転させる機械エネルギーに変換され、さらに発電機によって電気エネルギーに変換され、そして電気設備を経由して、各需要家(工場、商業ビル、家庭等)に電気が供給されます。

②ペルトン水車の概要についてペルトン水車は衝動水車に分類され、ノズルから噴出するジェット水流をバケットが受けることにより、ランナを作用させる水車

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水撃作用について


What
水撃作用とは何でしょうか?水撃作用は流路を弁で急閉または、急開することで、水のもつ運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され、水路内を圧力波が伝搬する現象です。別名‘’ウォーターハンマー‘’といいます。

ここでは、弁が急閉したときの場合について、説明します。

水路におけるエネルギー保存則として、ベルヌーイの定理が適用されます。

位置水頭+速度水頭+圧力水頭=一定・・・①

従いまし

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ヘッドタンクについて

ヘッドタンクとは何でしょうか?ヘッドタンクとは、土砂の最終沈殿、スクリーンによる浮遊物の除去、さらには、過渡的な水量変動に対応できるように、水路断面積を大きくしています。