[ネタバレしかない] Mars After Midnight レビュー
PlaydateでLucas Popeの新作が!?
これはもうPlaydate自体の売上が伸びるんじゃないだろうか。まあ、それでもPlaydateのゲーム販売はビジネスにならないだろうけども…
とか余計なことを思ってしまったが、とにかく既にPlaydateを持っているものとしては買う以外の選択肢がない。
Papers, Pleaseやオブラディン号の帰還を開発したLucas Popeさんの作るゲームが面白くないわけがない。
なので、ゲーム情報は全く調べずにとにかく発売日に買って遊び始めたら、案の定面白かった。ただ、一気に遊ぶとすぐ終わってしまいそうでもったいなかったのでちみちみ楽しんでたら5ヶ月かかった。
ビジュアルは一見なかなか濃い。Papers, Pleaseの濃い入国希望者たちの顔よりも更に濃い。だって、火星人だから。
いや、あくまでも火星に住む人類たちなので、火星人と限ったわけではないのか?実際明らかにロボットだろうというくらいメカメカしかったり、目玉の数とかもキャラによって全然違うしなぁ。でもゲームの目的としては火星人をサポートすることなので、一応全員火星人とされているっぽい。
そしてこれまでのゲームと同じく、着眼点が違いすぎる。
というのも何をするゲームなのかと言うと、火星にある地球人コロニーの、更に外部居住区にあって深夜に開くコミュニティサポートセンターの集いを計画し、様々な火星人の人間関係問題を支援していく。
うん、何を言っているかわからないと思うし、クリアした今でも実際何をしていたのかよくわかってないけど、自分は遊んでて楽しかったし、サポートセンターに集まった人々も楽しんでたっぽいから何の問題もないのだ。
・遊び方
1. その日の集会のミッションを選ぶ
コミュニティにはそれぞれ最大6人までミッションに該当する人がいるので、ちゃんと全員選べると一回でミッションを達成できる。
もし何人か間違えた場合、また同じミッションを選択して残りの人達をサポートできれば完了。
特に意味はないが、誰も該当しなくても同じミッションを繰り返すことは可能。その場合、満足した人たちからのお金はもらえないが、おやつ代はもらえるので無駄にはならない。
該当するしないについては後述の「ゲーム性」で説明する。
たまに有料の器具が必要なミッションがあり、だいたい5ドル(実際はドルじゃないけど、通貨がわからないのでドルにしておく)追加でかかる。
2. チラシを貼るエリアを選ぶ
地味にここが一番大事。一番最初にだけ注意書きが出るのだが、該当する人が住むエリアにきちんとチラシを貼らないと、絶対にその人は来てくれない。なので、チラシを一枚も貼らないでミッションを進めると、該当する人は誰も来てくれないということになる。
関係ないところに貼ってもお金の無駄なので、ここはゲーム性と言うよりはお金を使うためのシステムか。
ゲーム序盤はあまりお金がないので、色んな地域に散らばっている人たちのためのミッションは後でやるというのでも良い。
3. おやつを選ぶ
これはほぼオマケ。ミッションに該当する人が好きなおやつがあるので、それをきちんと選ぶと、おやつ代としてボーナスがもらえる。好みじゃないおやつにすると、食べてくれないだけで、ミッション該当客が満足してくれないとかにはならない(はず)。
後述する行商人から買わないと手に入らないおやつもあるが、オマケなので買わなきゃクリアできないということはない。が、それぞれビジュアルが異なり、謎のサンドイッチ、オイルコーヒー、謎の魚など色々な火星人のおやつがあって楽しいので色々試してみるのをオススメ。
1,2,3を終わらせるとお金が減る。ここでお金が足りないと進めないので、チラシを減らすなりなんなりする必要がある。
4. のぞき窓から該当する客を吟味する
夜12時になるとイベントが始まる。
ドアの内側にルールがグラフィックスで描かれるので、最初はピンとこないかも知れないが、なんとなくわかってくる。
例えば「Gnat Knife Handling、ブヨのナイフ取り扱い講座」だと、拡大鏡を使ってハエみたいなのを拡大してみてみると、ナイフを持っていることが分かるので、ドアを開けてその人(?)たちを招き入れる。
まずハエじゃない時点で該当しないのでそっとのぞき窓を閉じて追い払い、ノックが聞こえたらまた開けて同じことを繰り返すだけ。これを6人分正しく行えればそのミッションはクリア。
ミスって関係ない人を呼んでしまった場合は、また後日同じ集会を開いて、今度こそ残りの人を呼べばOK。
5. これを全員サポートできるまで繰り返す
・ゲーム性
1. 正しい火星人選び
メインのゲーム性としては最初から最後までほぼ変わらない。その日の集いに該当する見た目や行動の火星人をしっかり見極め、全員揃うとミッション完了。その集いのタイプが何種類もあるという形。
難易度が高いとかも特になく、ミニゲームが要求しているコツさえわかれば失敗はない。むしろ失敗しないとゲーム内のセリフ図鑑が埋まらなさそう。
ただ、一番最初のチュートリアルミッションである、サイクロプスアンガーマネジメントがある意味一番難しかったかもしれない。サイクロプスだから1つ目であることは簡単だが、口がへの字口になっているかどうかというのが、火星人の口がバラエティ豊かすぎてアンガーなのかどうなのかわからん!実際最初のプレイでは数人間違えてしまった。
他のミッションも様々なものがある。単に見た目で判断するだけではなく、有料のガジェットを使って判断するものなども。そういった有料ガジェットは最初から持っているものもあれば、行商人から買うものもある。
まばたきしない = じっと見ててもまばたきしない人だけ誘う
屁をこきまくる = 見てると普通にブーブー音がする人だけ誘う
数字に強い = 計算問題パネル(有料)を見せて、正しい答えを返した人だけ誘う
ボクサー = パンチングマシーン(有料)でぶん殴って、全部かわす人だけ誘う
心を読める人 = 図形の書いたカード(有料)をこちら側にした状態で見せて、連続で当てたひとだけ誘う
驚かない人 = ブブゼラ(有料)を目の前で鳴らしてビクッとならない人だけ誘う
超重量級 = ピンボールのバネみたいな踏み台(有料)に乗ってもらって、跳ね飛ばしても飛んでいかない人だけ誘う
服デカ人間 = 服がデカい人を誘う
などなど。他にもたくさん。判別が難しいものはあまりなく、リアクションを楽しむのがメインか。
ボクサーだと、かわせない人はとことん殴り倒せるし、超重量級じゃない人は飛ばしたらそのまま帰ってこないなど、シュールで笑えるミッションも多く、楽しい。名前から内容を予想できる集いがないのが楽しすぎる。
2. おやつの片付け
おやつを一種類選んで提供でき、来た人の好みに合うと一切れ食べて、お金をくれる。
ここでちょっとしたミニゲームがあり、ほとんどの人がおやつエリアを盛大に汚していく。
なので、これを掃除して、元通りの配置に戻す必要がある。
ただ、これに関しては時間制限なども特にないのでじっくりやって全く問題がない。時間をかけていると次のお客がドアをノックし始めるが、別に待たせても怒られたり去ったりしない。
掃除が不十分だったり、配置を間違えたりすると、次に入ってきた人が「きったね!」と言って食べてくれないので、お金が手に入らない。でも集まり自体は満足してくれるのでそこまでペナルティがあるわけではない。
でもこのミニゲーム、おやつごとに配置が異なるし、汚され方も毎回違うのでプレイヤーとしてはタイムアタックでもしているかのような気持ちでパパパっと楽しめて、全然飽きない。
キレイにしたときにキラキラエフェクトが出るのも、ご褒美感あり、且つわかりやすくてとても良い。
3. カートリッジを差し込む
これはミニゲームというよりただの儀式なのだが、その日の集会用のプログラムを、相方のロボット君の頭にぶっ刺してロードする。
主人公の二本の触手がやけにフラフラしているので、ロボット君の頭のスロット位置に合わせてABボタン同時押し、且つ押しっぱなしでロード完了。ファミコンかな?
たまにロボット君がふざけて頭を動かすという微笑ましイラッとするときも。
4. 火星語の翻訳
ゲーム序盤で、行商人から翻訳機を買うことができ、火星人たちの話す言語が分かるようになる。分かると言ってもすぐ分かるわけではなく、ホームボタンを押すと追加されている辞書メニューに、単語一覧が表示されるという形。
日本語で「おいひぃ!」って聞こえるのがデリシャスだったり、英語で「No idea」って聞こえるのがそのままノーアイディアだったりして、なんとなくわかってくる火星語。でも基本的にはプレイには必須ではない。
必須になるミッションは、この心を読める人たちの集会。こちら側にしか見えないカードに書いてある図形を火星語で言ってくるので、ブラボデックスを見て正しいか判定するやつ。慣れてくると聞いただけで分かるようになってくるのが楽しい。
ただ、おそらくミッションを失敗したときとかしか喋らないセリフがあるっぽく、普通に順調にクリアしたら7割も聞けてなかった。なんかもったいない気分。
・失敗しまくった場合
ちなみにコミュニティに呼び込む人を間違えてしまっても別にゲームオーバーになるわけでもなく、来た人はそれはそれでそこそこ楽しんで帰っていくので、やっちゃったな感は薄い。ペナルティとしては、報酬のお金が手に入らないことだが、普通に遊んでいればお金は余るのでほぼ問題ない。
むしろ失敗しまくってお金がなくなったらどうなるのか気になったので試してみた。
誰もいない場所にも無駄に広告を出しまくった上で関係ない人を呼びまくり、おやつは汚くしておき食べる気をなくさせたところ、所持金をゼロ、一度に手に入るお金が最低2ドルまで減らせた。
2ドルというのは、おやつは何かしら出さなきゃならず、そして最初におやつを食べた人が2ドルくれるから。そのあとはおやつエリアを汚くすると誰も食べないので、一日の最低収入は2ドルになる。
で、最低額のおやつは2ドルなので、広告は全く出せなくなり、目的の人は誰も呼べなくなるという全く意味のないイベントになりはするが、お金が底をついてゲームオーバーになる、という展開はなかった。
関係のない人だったとしても、おやつを食べたら満足してお金をくれる優しい人ばかりなのでそれでお金を貯められて、再チャレンジできるようになる模様。
・行商人
お客かと思ったら行商人が来ることもある。サングラスのイケメンさん。
ここでは、一日に一つだけアイテムを購入できる。新しい集会プログラムのカートリッジだったり、新しいおやつだったり、相棒ロボが欲しがっているくまのぬいぐるみだったり、コロニーへの移住チケットだったりする(これだけ10万ドルと破格。当たり前だが買えない)。
おやつとかはオマケだが、カートリッジは購入しないとサポートできない住人が出てくるので、クリアには必須。
ただ、普通に遊んでいたらお金が足りないということもそうそうなく、頻繁に来てくれるので「新しいお客がまだ残っているけどカートリッジがない!」という状況には陥らない、はず。
・キャラクター
最初にも書いたが、印象的なのがビジュアル、というか火星人たちの彩り豊かすぎる見た目。
ほとんどのキャラの顔の造形がまず地球人ではない。目の数鼻の数口の数も違い、なんか触手ぽいものが生えてたり、ハエみたいに小さかったり、そもそもロボだったり。一応地球人型もいるけど。
開発ブログで語っているが、火星人たちの顔は全部自動生成なので、プレイするたびに全員顔が違うらしい。実際自分がプレイしていたときも、全員覚えてるわけではもちろんないが、こいつ見たことあるな、という火星人はいなかったと思う。
主人公たち
また、主人公である三つ目くちばし君と、相方のロボットがまた地味にいい味を出している。
三つ目くんはほぼ無表情で淡々と仕事をし、ロボットはもちろん表情はないのだが、たまにカートリッジを読み込む時に頭を動かして笑ったりするかわいさがある。
そして二人共いちにちが終わると寝る(ロボットなのに!?)のだが、そのときにそれぞれ夢を見ているのがなんともかわいい。
この夢、毎日違う。だが、あるとき、なんかロボの夢が3日連続で熊のぬいぐるみだった。単にランダム性のいたずらなのかと思ったら、次の日に来た行商人の持ってきたものがくまのぬいぐるみ!これは熱い。
すると…
その日からロボとくまが一緒に寝ている上に、夢にもくまが毎回出てくるように!なんだこれかわいすぎだろ。
・コロニー外コミュニティを全員サポート完了!
全員のサポートが終わったから残念だがゲーム終わりか… と思いきや、なんと行商人が地球コロニーへのチケットをプレゼントしてくれて、コロニーへ移住して、更にコミュニティサポートが続いた!
でもさっきのオフコロニーと違ってだいぶ狭いので、人数も少なく、すぐ終わった。住人はこれまでの明らかな異星人と違い、人間型が多い。さすが地球コロニー。
でも、正式な植民地よりも、その外部に住む人達のエリアの方が反映しているというのがなんか色々深いな…
街の見た目も全然違うし、二人の寝方も変わった。はいかわいい。
ミッションも新しいものが増えてて、見た目は地球人だけど特別なメガネを通して見ると異星人が地球人のふりをしているのがわかったり。…地球、大丈夫か?侵略されてない?
コロニーは狭かったのですぐ終わってしまい、とうとうエンディング。
すると…
81億4800万人の地球人がサポートを待っているという、俺達の戦いはこれからだ展開!これで三つ目くんもマチュピチュに行けるね!
もちろん81億人をサポートできるまでゲームが続くわけはなく、ここでゲームは終わる。いやー、良いゲームだった。
・クリア
今回はローカライズもないからマジで一人。QAとかも一人でやったんだろうか。PANICがサポートしたのかな。
しかしデザイン、音楽、ゲーム性、なによりクランクの使い方全てが良かった。売れる売れないより、Playdateでゲームを作りたかったんだろうな。これぞインディー魂。
オマケ
Playdateの中の人と、開発者のLucas Popeをゲストに呼んだWeb番組があったので該当箇所だけ見てみたらしっかり面白かったので、ここでざっとLucasさんの喋った内容をまとめておく。
playdateはただユーザーとして買ったし、クランクという頭のおかしい機能のついているハードウェアはまさに俺のためのものだ!と開発を始めた。あと、オブラディンが終わったタイミング、且つコロナ開始時期だったというのもあってちょうど暇だった。
Wiiでもおもしろいコントローラーでなにか作りたいと思ったことがあったができなかった。
Lucasの子供が9歳と11歳だから、Papers, Pleaseもオブラディンも遊ばせるにはちょっと若くて、せっかくなら自分の作ったゲームを遊ばせたかった。
福笑いツールみたいなのを作っていたことがあり、それをplaydateで使ってみるのもおもしろいと思った。
ので、ドアののぞき窓を開ける度に変な火星人が出てくるというのを作ってみたら、子どもたちはそれだけで楽しんでくれた。
「ゲーム開発のたびに何か新しいことを学ぶ」というマイテーマがある。
python, C, C++から来たのでLuaはなかなか新しくて大変だった。
あと、唯一のハードウェアのためにゲームを作るという体験は新しくて面白かった。スクリーンでどう映るかだけでも気をつけなきゃならない。これはコンソール開発とはだいぶ違った。
最初は見渡すのにジャイロを使おうと思ったが、本体自体を動かすことになるので、Dパッドでええやんってなった。
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