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[前半はネタバレなし] Caravan SandWitch レビュー

プラットフォーム:Steam
値段:2,950円
リリース日:2024年9月12日
クリア時間:8.8時間(実績コンプ)
日本語:対応済み。十分に遊べるが所々ミスが。


キャラバン サンドウィッチという、カタカナだとキャラバンでサンドイッチを売るゲームかなという感じだが、原題だとCaravan SandWitch

Wが大文字且つwitchと魔女になっているのがミソ。砂の魔女という響きがやけにエモくて前から気になっていたタイトル。

魔女ということで不穏な流れになるかと思いきや、ゲーム全体の流れは割とホンワカしていて、頑丈なバンに乗って未来の惑星にある廃墟を探索していき、たまに故郷の住人たちやロボットたちのお願いを聞いていく。

シェーディングと色合いが醸し出す独特な物寂しくも美しい惑星の姿。この惑星をバンで走り回っているだけでだいぶ満足できる。

このビジュアル、たまらん

ただ、ストーリー自体はなかなかシビアで、まず主人公のソージュは6年前に行方不明になった姉がいて、突然遭難信号が届いたから学校を休学して故郷の惑星に探しに来てるし、その故郷の惑星自体も昔から大企業が資源開発として荒らしていた上に事故を起こして撤退して自然は壊滅、事故の影響で巨大な竜巻が残ってるし、人口も激減した状態で未来は余りないという結構救いのない状況。

でもプレイヤーは基本的に楽しく廃墟探索をしていれば色んな物語は解決し、人々の結束は強まっていくのだ!

崩壊した世界、未来、廃墟、そして通り道のアイテムをとにかく拾いまくるのが好きな人にうってつけなゲーム。

アイテムはちゃんと各種別の色に光っていてわかりやすい

とても丁寧な作り

  • まず肝心のバンの運転がとても楽しく、どんどん強化され、しかもいつでもそのバンにクイックトラベルできる。とても使いやすいし強力な移動手段だった。

Yを押すとほぼ一瞬で戻れる
  • 登れる場所には岩の色が違ったり黄色いペンキがついていたりと、それとなくルートを誘導してくれているマップデザインがわかりやすい。

いっそ丁寧すぎるほど
  • それほど長いゲームではないのだが、サブクエストやフレーバーテキスト、適宜アップデートされるキャラ同士の会話も多く、キャラクターたちの性格や世界観がいい感じに伝わってくる。

知的なカエルたち
  • クエストは住人たちとのメッセージのやり取りで表現されるのだが、まあ要するにLINEのようなやり取りでリアルタイムっぽく更新されて楽しい。

イラストもかわいい
  • 幾つかその章限定のクエストがあるのだが、次の章に進むときにやり残したタスクがあるとちゃんと注意が出て、うっかり飛ばさないようになってる。

自分は全部やりこんでから進めたので、
残っているときの表示を見たことはないが、便利(でも選択肢が未翻訳…)
  • クエストでどこかに移動するときはちゃんと画面上に案内ルートが表示される。

ただこの状態だと降りて探索できないのがネック

強力な相棒、バン

バンは最初は特に機能がなく、少し早く移動できるだけなのだが、レーダーを初めとして、徐々に機能が豪華になっていく。

詳細はネタバレエリアで。

細かい良ポイント

  • そもそも敵がいないので主人公がダメージを受けたり戦ったりすることはないが、高所から落ちることは多々ある。
    特に何の説明もないが、落下には無敵なので特にリアクションもなくすぐに探索を続けられる(その分、高いところから落ちてしまったときの復帰が少しめんどくさいんだけども…)

ここから落ちても無傷です
  • 電波妨害されているところではメッセージが文字化けするという謎のこだわりも良かった。

  • 街や景色のいいところにクッションが置いてあり、そこに座ると少しずつカメラがパンしていってエモい景色が見られる。実績以外に意味はない。

光の差し込みも良い
  • 拠点や廃墟の色んなところに過去開発をしていた企業のポスターが貼ってあったり、住人たちの落書きがあったり。しかもポスターはちゃんと風化してボロボロ。

ポスターの落書きや破れ具合が良い
  • 過去働いていたロボットや原住民であるカエル族がこれまでの歴史を語ってくれたり、地面の下に埋まる謎の巨大生物の影など、メインとは関係ないところで深いストーリーがわかってくる。

レーダーが使えるようになったときにこれが見つかるのでゾクゾクする
余り活躍はなかったが印象に残るロボットたち
  • はしごの近くでボタンを押すと吸い寄せられるので上り下りにイライラすることがない。

ローカライズ:

ローカライズは各キャラクターの個性も出ていて良かったが、たまに話者間違いがあったり、画面からはみ出して読めなかったり、変な改行が入ってて読みにくかったり未翻訳の箇所があったり、イベントでエリアから出られないときは急に主人公がロボみたいな口調になったりと、チェックがちょっと足りない雰囲気はあった。

ゲーム開始直後に変な定型文を見たときの気持ちたるや
ゲーム始めてすぐに話者間違いと上の定型文を見たときは今後が結構不安になった
カメラを動かしたら動いてくれないかなと思ったが、無理だった

ただ、ゲームを遊ぶ、ストーリーを楽しむのには全く問題なかったし、フレーバーテキストも多くてわかりやすく、とても良い仕事をしていた。

一部気になったのは:

  • せっかくビジュアルが良いゲームで、ビューポイントもあるのにフォトモードがなく、スクショを撮ってもUIが入ってしまう。もったいない。

戻るB、邪魔ぁ〜!
  • 基本的に主人公であるソージュで走るかバンで走るかなのでRTはほぼ常に押しっぱになってしまい、なかなか疲れる。プレイ中は何度か人差し指と中指を交代して使っていた。

  • バンが動けなくなると拠点まで戻す選択肢しかなく、マップの端にいたりしたときにはかなりのやり直しになってしまう。
    なのに壁や段差に引っかかっただけで動けなくなったりすることもある。
    探索場所までの移動だけでなく、バン自体が謎解きやギミックに必要なので、ちょっと動けなくなるだけで探索を進めなくなり、なかなか致命的。
    バンにクイックトラベルすることでハマリが回復することもあったが、岩の割れ目などに引っかかるともうダメ。せめて近場にポップアップするとかしてほしかった。

街まで戻すのは勘弁してくれー
  • ところどころ行けそうで行けない地形

このくらいくぐらんかいボケェ〜

まとめ

とにかく探索とパーツ集めが楽しかった。
最初はエリアのギミックをいじれないイライラがあるが、バンのアップグレードはいいタイミングで行われていくのですぐギミックも使えるようになるし、後で来ればいいかと思える。
様々な住民のクエストをこなしながら砂漠を探索してマップを埋めていくという、期待通りのゲームで十分満足したと言える。
なによりビジュアルが良すぎたし、音楽も地味に良い。

満足はしたし、オススメはするんだけど若干の画竜点睛感もある。

キャラクターの語りは好き

以下ネタバレ:

ネタバレチラ見防止余白

バンの機能ネタバレ編

  • レーダーは最初は部品や電波妨害装置をサーチできるだけだが、そのうち装置をハッキングできるようになる。

  • そして次は強力なフックをつけて、シャッターを引っ張って破壊できるようになったり、地面に埋まっている宝を掘り起こしたりできるようになる。

ただ、宝を手に入れる頃にはもうあまりパーツが必要ないのであった…
  • また、グラップルフックはボタンを押すだけでガシンッと繋がり、シャーッと移動できて快適で楽しい。

  • 最後にはフックを繋げたところから機器にチャージできるようになり、遠隔からスイッチを入れられたりするようになる。

全部できるようになると何でもできてとても楽しいのだが…

これら機能が必要になる廃墟が割と序盤からアクセスでき、探索を始めたもののすぐにそれ以上進めなくなって別のところに行く、というのが多々発生した。
メトロイドヴァニアだと二段ジャンプが必要な段差が序盤にモリモリ出てきて、でもまだ二段ジャンプできるかわからないからがんばって行こうとするが行けず、諦めるみたいなイライラ。

ただ、これは結局ゲームのボリュームがそこまで多くなかったことで、そこまで気にならなかった。

でも拠点のグラップルフックが必要なロープは、グラップルフックを開発してから設置してほしかったわ。

そして機能が全部集まると、もう開発するものがないのでパーツを集める必要がなくなってしまう。

ストーリーネタバレ編

ゲーム序盤、ソージュが故郷に着いたときから既に怪しい人影、というか明らかにウィッチな人がソージュを見張っている。
そして6年前行方不明になったはずの姉から突然届いた遭難信号…
この2つを結びつけない方がおかしい。

オープニングで早速左上になんかいる〜

なので、普通のプレイヤーなら砂の魔女こそが姉なのだろう、6年前から暗躍していたんだと思うに違いない。

シガロに戻ってきたことを知ってる… やはり…

自分もそう思っていた。ってかそうじゃない可能性ある?ストーリー的に。
しかも竜巻の謎は色々手伝っていた幼馴染のネフル、ちょっとボケちゃってそうなおばあさんのローズも普通に知ってて、もうソージュだけが知らなかったレベル。

じゃあウィッチも家族か関係者なんだろうなという確信を深めていき…
ソージュが竜巻の中に入ったときに満を持して怪しい人影から大きな帽子が落ち…

なんと…!

誰だよこのババア!

姉じゃねえのかよ!!!

なんか、ローズの昔の知り合いである、プロジェクトのエンジニアの一人だったらしい。
事故で死んだはずだったらしいが、行きていた理由ややけにスマートな見た目については説明されない。機械の体に移って生きていたのだろうか。

そして姉はやっぱり普通に死んでて、ただ意識のちょっとだけ電脳スペースに残っており、ひょんなことで繋がったその意識が遭難信号を送ったというのが真相だった。

えぇ〜、ここまで来てウィッチに何の関係もないとかある?

無関係なババアがずっと見張ってましたと言われましても。ここまで思わせぶってくる必要、あったぁ!?

そしてエンディングは2つあり、と言っても結果は変わらないのだが、竜巻の原因となっている施設をぶっ壊し、巨大な爆発が起きる。
ひとつは姉の意識と話していたら脱出が遅れ、相方は電脳スペースに残り(=死)、主人公は衛星軌道砲だった施設からカプセルで打ち出され、宇宙空間を漂ったところで終わり。
もうひとつは相方と脱出して、住人たちと話している様子が遠くから写って終わり。

という感じに、最後のミッションからエンディングまで、そしてその終わり自体がだいぶ唐突でシンプル。
ここまでずっと楽しかったのに一気にガッカリポイントが連続で来た。

特にそこからいきなり「プレイしていただきありがとうございました」+タイトル名がバーンと出てきて、なんかこう、これまでずっと良かった雰囲気を一撃でバリバリに壊された気分だった。はいはい終わり終わりー、解散!

一応エンディングでカエルが撮っていた写真という形でかわいいイラストが流れていくが、多くはクリア後のエピローグではないので、結局どうなったのかは消化不良のまま終わる。

一応、ゲーム中は赤子だった子が自転車に乗っているので、
クリア後の世界を紹介してくれてはいるが…

そう考えると、なんか全体のゲームボリュームバランスがちょっと不思議だった。
パーツは気持ちいいほどたくさん手に入るのだが、そもそもパーツの使い道がメインイベントでもあるバン用の装備作成しかないため、最後のアクションを覚えたあとはもうパーツの使い道があまりなく、探索の目的がゴソッとなくなってしまう。

序盤中盤はイベントも探索もたくさんできて充実しているのだが、終盤がなかなか唐突。そして上記のあっさりエンドになる。

また、ワープゾーンも使えない場所が幾つかあったり、ところどころに開かないドアがあって、結構な時間をこの開け方を探すのに費やしたのだが、結局開かないままだった。
そういうのもあり、どうも本来はもっとボリュームがある物語だったのを削って、しかもそこまで調整できないままでリリースしたのかなという感じを受けた。

オマケ

がんばってたどりついたけどアイテムもなく、イベントもない場所があった。ただ、どうも気になるQRコードみたいな模様。一応カメラで撮ってみたけど、明らかに部分的なものなので反応もせず。

Steamの掲示板で投稿してみようかと思ったところ、やはり既に調べた人がいて、どうやらゲーム外の隠し要素らしい。ゲーム中に4枚散らばっており、全部集めて1つのQRコードにするとあるウェブサイトに繋がり、そこに現実のフランスのどこかの座標が表示されている、と。

実際にそこに行ってみた人がいるっぽいが、続報はまだなかった。

いやー、Incryptionみたいなことをしたかったのかもしれないが、ゲーム外に秘密を仕込むくらいならまずゲーム内の秘密を全部組み込めよ!としか思わなかった。

それを除いても、正直ゲーム内に現実でなんかしなきゃならないことをほぼノーヒントで組み込む風潮は余り好きではないなぁ。

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