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[ネタバレしかない] Superliminal 感想
プラットフォーム:Steam
リリース日:2020/11/6
ジャンル:パズル
値段:2050円
クリア時間:5時間。隠し要素全部やって12時間。12時間!?
翻訳:いい感じ
Steamdeck:プレイ良好。3Dアドベンチャー系は大体遊びやすい。
名作だと聞いていたことと、錯視というか遠近感狂わせゲームだということは知っていた。
そしてゲームを始めると実際そんな感じだった。楽しい!…が、パズルかと思いきや、突然部屋が暗くなり、地面や壁に赤い染みが… 急に閉じる扉… ホラー要素あるじゃねえか!やめろぉ!
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そしてホラーかと思った?ペンキでしたテヘペロと誤魔化したあとに、今度はどうやっても夢から覚めないという、じわじわ精神をダイレクトアタックしてくる。やっぱりホラーゲームだった。画面暗いところでおどかしてくるホラーよりは、じわじわ系ホラーは好きだけども!ホラーの準備してなかったんだから勘弁していただきたい。
なのにゲームのタグにホラーがないのは、なんか既プレイ者が後ろでニヤニヤしている空気を感じる。今ホラータグ追加しても誰かに消されそう。
ホラーのようでホラーじゃなくてやっぱりホラーだったけど、それをさておきしっかりと頭はおかしくなりそうだった。
そしてある意味ウォーキングシミュレーターかもしれない。
特に、自分のサイズを調整するところでは下手すると小さくなりすぎてしまい、歩くのがめちゃ遅になる。やり直したほうが早いくらい。小人になった感じを味わえる。
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クリアまで5時間しかかかってないのに、なんかすごいいろいろな体験が凝縮されていた。確かに素晴らしいゲームだった。ずっとアハ体験。
遠近感はあくまでもパズルの一つであり、ゲームのテーマは「視点を変える」ということ。
視点を変えて考えないと同じことの繰り返しになってしまいますよという、色んな意味で役に立つアドバイスをぶつかり稽古で体験させてくれる。ホラー部分はなくても良かったけどな!
ツボおじみたいなものかと思って、最初の方は博士のスピーチはほぼ聞き流していてすまんかった。
- ストーリー
改めて博士のスピーチとかを聞いてみると、夢治療の治験に参加した主人公が、夢から覚められなくなってしまう。
設定だけで既に普通に怖い。
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夢の中で夢だと言われた場合、通常夢から覚めてしまうが、ほら、起きないでしょ?そういうテストなんですよ、と余裕こいた感じに指導してくるものの、徐々にテスト用の夢じゃないところに言ってしまったり、強制終了して夢から覚めるシーンでも全然覚めない主人公に博士が慌て始め、わけわからん命令を書き込んでバグらせて終了させるという怖いやり方をしてきたりと、冷静にパズルを解いていく主人公というかプレイヤーと違って慌てふためく博士たちが正直おもしろくなってくる。
と思いきや、博士の人生観が語られ始め、視点を変えることが大事なんだという、ゲーム内重要メッセージを伝えてくれたりと、突然とてもエモくなってくる。不具合っぽい展開も含めて想定通りだったんだと言っていたが、本当にその通りだったのだろうか…
- 錯視(だけじゃなかった)パズル
遠くのものはどれだけ大きくても小さく見える。近くのものは大きく見える。
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つまり、小さく見えても実は大きいかもしれない。というかキミが大きいと信じれば大きいし、逆もまた然りなのだ!
ゲーム内でも最初のメッセージが「Perception is Reality」、認識こそが現実であるというもので、このメッセージは最初から最後まで有効。たまにそれを忘れて現実的に考えてしまって沼にハマるというのを何度もやらかしてしまった。
そしてこのゲームのポイントは、オブジェクトが見えていればどこにあっても手に取れるということ。
なので、小さく見えているときに手に取れば小さくなるし、その物体を遠くに置くと遠くで大きくなってくれる。
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ただ、だいぶ後半になるまでうまくでっかくする方法に全然慣れなかった。頭上に持ってきても思ったほど大きくならなくて、持ち上げて振り回してちょうどよい大きさになるまで試行錯誤するというのを長く続けてた気がする。特に壁際に大きなものを落としたいという時の距離感調整の難しさよ…!
壁の向こう側に持っていくとあっちがわに落ちるとかも含めて、ゲーム後半でようやく感覚を掴んできた。
とりあえず手前に持ってくるとなんでも小さくなってコトンと落ちるのがかわいい。つい色々なものを小さくしてしまう。
しかし、なぜ小さなものはかわいく感じるのか。赤ん坊がかわいく見えるのは、庇護欲を感じさせて子どもを守らせ、子孫を反映させるためという生物の作戦と言われているが、さすがに小さいチェスの駒や小さい扇風機にかわいさを感じるのはバグとしか言えない。
でもまあ、かわいく感じて悪いことはないから、別にいいのか…
大きくしたときには重量も増えて、床に落ちるときにゴトンと大きな音がしたり、ゆっくりと落ちてくる、大きさによるエフェクトの違いもまたとても良かった。マジで認識が現実に影響を与えている感を味わわせてくれる。
で、物体の大きさを変えるだけのゲームだと途中まで思ってたが、そんなことはなかった。
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壁や天井に絵が描かれているが、それをある方向から見るとちゃんとした物体に見える!というだまし絵パズルは、だましではなく物体を実体化させることができるし、立方体だと思ったら薄い木片が6枚くっついてるだけだったり、影だと思ったら穴だったり、触った瞬間に物体が「その場で」コピーされたり、家やドアのサイズを変えることでプレイヤーのサイズも変えられたり… うーん、まさに夢!
そういえばだまし絵みたいなのを一つの絵にすると物体が顕現するやつは、viewfinderで見たなぁ。viewfinderは2023年リリースだから完全にviewfinderがインスパイア受けてるわけですけど。
そして「認識こそが現実」が更に進化して、「認識すると現実になる」という、観測すると確定する量子力学めいたパズルでもまただいぶ苦労した。自分の頭の硬さに絶望!
行き止まりを見ることで確定させると先に進めるという仕組みがわかってなくて、最初はなんか運で行けてしまったらしく、隠し要素探索のときに初めて詰まるという珍しい体験をしてしまったが、これって今考えると結構8番出口の元ネタになってそう。でも、こないだ聞いた8番出口開発者の講演ではインスパイア元ゲームとしては挙げられてなかったな。まあ、似たようなシステムは案外あるか…
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そんな力技なわけないかと思い直してちゃんと攻略した
3Dホラーゲームだと、最初は何もないけど、目を背けた瞬間にオブジェクトを出現させることで、もう一度振り返ってギャーという脅かしギミックをよく見るし、仕組みとしては似ている。
最初の物体サイズを変えて足場にしたりするのがメインのパズルゲームなんだ!という思い込みに無駄に囚われてしまった気がした。博士の言う通り、視点を変えることこそが重要なんだな!
- 音楽もビジュアルも最高
BGMは落ち着いたジャズのようなものが多いように見えて、後半の床が落ちるところから急にノリの良い音楽も流れ出し、更にmanifold gardenめいたビジュアルになってきてモノのサイズを変えられるという以前に完全に夢の景色になってきてスクショタイムが始まる。
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また、上記のモノのサイズを変えたときに重いものはドカンと重量感のあるエフェクトになり、軽いものはスコンと軽いエフェクトになったり、コピーするときのポコポコ音やそれを戻す時のシュルッという音などなど、SEがまた秀逸だった。
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- 隠し要素
なんか正規ルートとは違うところに進むと、実績解除されたり、なんか怪しいオブジェクトがあったりしたので、portalみたいに隠しルートとか色々ありそうだなと思いながらプレイしていた。とりあえず最初のステージで目覚める前に穴に落ちるやつはがんばれば越えられそうだったし。
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また、振り返ると暗闇の奥に光が見えて、進んでみたところプラネタリウムみたいな場所があり、星座としてコップが隠れてたりした。
ドアの上に極小の水色のチェスの駒みたいなのがあったり、消火器をいじれたりする。が、何も起きない。
実績自体も解除されないから、全部集めたら何かありそうだな〜、ワクワクする。けどあんまり見つからないから単に一度だけのイースターエッグみたいなものなのかも…
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と、クリアしてステージ選択を見てみると、各エリアに消火器マークやチェス駒マークなどがついてる。これはもしかして全部コンプリートしたら何かある…?というか、消火器とか全部触ったくらいのつもりだったけど全然コンプリートできてなかったし、プラネタリウムもこんなに取り逃がしていたとは。そもそもブループリントやチェスの駒は1ステージに何個かあったりもするらしい。
ということで自力で探してみた。行けそうにないところに無理やり行ってみると実際なにか隠されているって、開発者の手のひらの上で踊らされているには変わらないけど、めちゃめちゃ楽しい。
ニーアオートマタの白い街みたいなエリアを頑張って屋根を越えてみるとイースターエッグが落ちてたり。マジで実績もなにもない、ただ見つけてニヤッとするだけのネタも転がっている。バナナとか。
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残りの隠し要素は、1、2回自力でめちゃめちゃキョロキョロしながら全ステージを巡ってみると、半分くらいは見つけられたが、それ以外はSteamコミュニティにあった、「直接答えを教えるのではなくヒントでほのめかしてくれる」という神の作り給うたガイドが大変役に立った。
消火器系はさすがに気づかないときは何度通っても気づかないので攻略ビデオ見たけど…
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また、ホラーエリアのここでネタバラシ〜されたあとに前暗かった場所に戻ってみるか、と振り返ってみると、アホっぽいSEと共にチェスのポーンがチラ見してくるのでそれを追いかけていくと…
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なんかゲームクリアになった。隠しエンド、しかも犬エンド、だと!
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そんな感じで、一周クリアするまでは5時間だったのに、隠し要素を全部見つけよう!できるだけ自力で!と息巻いていたら12時間も遊んでいたらしい。でもずっと楽しかった。
いっそ実績も全部解除したるわ!と思ったものの、幾つかはワークショップ関連のものと、チャレンジモードという、アクション回数を限定してパズルを解くやつのものだった。ワークショップはやる気ないし、チャレンジは楽しくないことはなかったんだが、割とイライラ要素が強かったのでやめとく。
タイムアタックは頑張ってみたものの、36分50秒だった。1時間以内クリアの実績は取れたけど、30分切るのだいぶしんどそう。
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クローンりんごをどかすやつと、迷路でめちゃめちゃ時間食ったけど、それでも7分はかかってないから、細かいところで時間節約しなきゃいけないんだろうなー。でも他のところはほとんど立ち止まりもせず進めたんだけどな…
そもそもコントローラー操作というのがまずハンデなのかもしれない。
どうやら、Steamだと30分以内なのがPS4などのコンソール移植版では35分以下になってるらしい。つまり公式がコントローラーは難しいですよと認めているところを自分はSteamdeckで縛りプレイしてしまっていたわけか… まあいいけど。
- まとめ
文句なしに神ゲーだった。
「All you need to do is to Wake Up」という最後のメッセージのあとに画面が暗くなってプレイヤーの顔がモニターに写るのだけがアレ。これが… 現実…夢の中に戻してくれー。
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